Google Pixel 8a レビュー。期待に応える高コスパモデル、最大競合はPixel 8

ガジェット スマートフォン
Yusuke Sakakura

スマートフォンやタブレット、アプリ、サービス、アクセサリを総合的に取り扱うブログメディア「携帯総合研究所」を運営。高校生で立ち上げて15年以上が経過しました。エンジニアの経験も活かして大手4社比較できる料金シミュレーターも開発しています。

購入しやすい価格のGoogle Pixelスマートフォン「Pixel 8a 」のレビューをお伝えします。

Google Pixel A-Seriesは、前年に発売された上位機種と同じチップ、自然ながらも彩度が強調される絶妙なバランスの色合いを表現するカメラ、消しゴムマジックや周囲のノイズを除去してクリアに通話できる通話アシストなどのGoogle AIを搭載しながら、Googleストアの販売価格は約5~6万円と、高いコストパフォーマンスが評価されて日本市場でもシェアを大きく伸ばしています。


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¥63,400
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

最新作のPixel 8aは、競合機種と比べて劣っていた性能や機能をキャッチアップしつつ、編集マジックやベストテイクが追加されるなど、Google AIがさらに進化したことでさらに魅力的な1台に仕上がっています。

■ 持ちやすくなった新形状


Pixel 8aは、デザインもアップデートしました。

背面を大胆に横断するカメラバーは、レンズを保護するガラスの面積が増加したことで、カメラがより強調された見た目になっています。背面パネルはツヤツヤな光沢からサラサラなマットに変化。Pixel 8 Proのように最近ではマットなガラスを採用するハイエンドスマホも増えていますが、それとは見た目も触れた感触も異なるザ・プラスチックです。

カラーは全4色。今回レビューするObsidian、Porcelainに加えて、新色のAloeとBayも選ぶことができます。

▲画像:76%のリサイクルプラスチック素材を使用した背面

▲画像:アルミニウムフレームもマット仕上げ

最大の変化は形状です。

角の丸みがかなり強調されたことで、深く握れるようになり、片手操作でも7~8割の範囲に指が届きます。幅は72.7mm。ベゼルが太いため、同じ6.1インチの画面を搭載するPixel 8(幅70.8mm)よりも幅広です。

■ 明るくなめらかなActuaディスプレイ

新たにActuaディスプレイが導入されました。リフレッシュレートがついに最大120Hz(1秒間に120回の画面を書き換え)に到達。スクロールなど日常的に行う操作でも画面表示はなめらかで、ヌルヌルと滑るように画面が動きます。

画面輝度は前作から40%も向上。日差しの強い屋外でも画面をくっきり視認できます。ただし、画面の明るさの自動調整をオンにすると、発熱の影響か、カメラ利用時は思うように輝度が上がらず、ゲームをプレイする場合も短時間で画面が暗くなります。

ちなみに、この事象は上位機種のPixel 8 Proでも、Galaxy S24 Ultraなど画面輝度をアピールする他のメーカーの機種でも見られる事象でPixel 8a固有のものではありません。

▲画像:なめらか動作、明るく表示のActuaディスプレイ。画面下部のベゼルが太いアゴ仕様

ディスプレイは指紋認証センサー内蔵で、画面に指を乗せるだけで画面ロックを解除できます。光の状況によっては指紋が正しく認識されないこともありますが、顔認証にも対応しているため、画面ロックはスムーズ。ストレスなし。

簡易的な顔認証はセキュリティレベルが下がるものの、Pixel 8aの顔認証はなりすまし攻撃に強いクラス3仕様のため、銀行系アプリやパスワード管理アプリ、決済といった重要な情報や機能にアクセスする時も顔認証が利用できます。なお、顔認証が通らないときはすぐに指紋認証に切り替わるためストレスなしです。

▲画像:セキュリティが強化された顔認証に対応

■ AI強化、発熱改善のGoogle Tensor G3

専用のハードウェアを必要とせず、クラス3の顔認証が実現できたのは機械学習が進化したGoogle Tensor G3チップのおかげ。AIを活用した機能も豊富に追加されています。

まずはカメラ。家族や友だちと撮る写真を後から見返すと、目をつむっていたり、目線が合っていなかったり、残念な写真になることはよくありますが、新機能の「ベストテイク」を使うと、複数枚撮影した写真の中から顔だけを抽出し、好みの表情を選ぶとAIが元の写真に自然に合成してくれます。










▲画像:ベストテイク。利用はGoogleフォトの編集機能から。簡単なタップ操作で簡単にベストな表情を合成できる

AIを活用した強力な編集機能「編集マジック」では、目立たせたい被写体を写真の真ん中に移動したり、大きさを拡大・縮小したり、曇り空も晴天や夕焼けに変えられるチートのような機能です。

消しゴムマジックのように被写体を消すことも可能。編集マジックはサーバーサイドの高度なモデルを利用するためか、消しゴムマジックでは不自然な痕跡が残るような場合も、より自然に消せる印象です。

ちなみに、編集マジックを利用する写真はGoogleフォトにアップロードする必要があります。無料で15GBまで使える容量が減ってしまうので、容量を減らしたくない場合は消しゴムマジックを使いましょう。








▲画像:編集マジック。Googleフォトにて写真を選択→編集をタップ後、左下のアイコンをタップすると利用開始

動画編集では「音声消しゴムマジック」を利用すると、AIが動画に収録された音を「声」「ノイズ」「自然」「風」「音楽」などの種類別に分けて、それぞれの音量を手動または自動で調整できます。

動画の音を細かく編集する際は、PCを使って音の波形を見ながらカットしたり音を小さくする必要がありますが、タップとスライドというカンタンな操作で実現したことに拍手です。

ただのノイズカット機能はCapCutのような動画編集アプリにも備わっていますが、音量調整まではできず、ノイズがゼロになることで不自然な仕上がりになることもあります。

その点、音声消しゴムマジックは音量を調整できるため、撮影時の雰囲気を残せるのがメリットです。












▲画像:音声消しゴムマジック。Googleフォトにて動画を選択→編集をタップ後、音声タブから利用できる

GoogleのAIを活用した Geminiアプリにも対応しています。

チャット形式でAIと対話して、休日の過ごし方を考えたり、生成AIについて小学生でもわかるように説明したり、スポーツのスタッツを表にまとめてくれるなど、秘書のように働いてくれます。









▲画像:選手や期間を指定したスタッツをまとめて、特定の選手と比較するといった複雑なオーダーにも答えてくれる

一方で、テレビやエアコンなどスマートホームデバイスの操作や音楽の再生、アラームの設定など、Googleアシスタントにしか利用できない機能もあります。

現時点では必ずしもGeminiの方が優れているというわけではないため、電源ボタンの長押しでGeminiとGoogleアシスタントのどちらを起動するか選ぶことができます。

画面に表示されたものを丸でかこむだけでググれる新しい検索方法「かこって検索」は、Google AIの中で最も便利な機能の1つ。

これまでスマホで見ている画像や動画に映った「これ何?」を調べる場合は、ヒントとなる検索ワードが必要でしたが、丸で囲むだけで検索できます。

また、丸で囲った後に検索ワードを追加して気になった車の価格やシューズの色違いを検索することもできます。












▲画像:ホームボタンやナビゲーションバーを長押ししてかこって検索を起動したら丸で囲むだけで検索できる

Google Tensorシリーズは、上記のようなAIの処理性能を活用した豊富な機能を利用できることが特徴。CPUやGPUといった性能は控えめですが、それでもミドルレンジでは十分な性能を誇ります。

性能を数値化できるベンチマークスコアを計測したところ、前世代のTensor G2に比べてCPUの性能は5%の微増ですが、GPUの性能は約20%向上しています。

特に長時間負荷をかけ続けて、本体温度や性能の変化を検証できるストレステストのスコアが大きく伸びていて、Google Tensor G3の性能低下時のスコアが前世代のベストの値に肉薄しています。

Pixel 8a

Google Pixel 7 Pro

チップ

Google Tensor G3

Google Tensor G2

Geekbench 6

シングルコア:1465
マルチコア:3704

シングルコア:1387

マルチコア:3120

3D Mark WILD LIFE EXTREME

2408

1,836

3D Mark WILD LIFE EXTREME Stress Test

ベスト:2398

ロー:1662

安定性:54%

電池増減 : -8%

温度上昇 : +10°C

ベスト:1,811

ロー:1,238

安定性:68.0%

電池増減 : -8.6%

温度上昇 : +8.6°C

実際の使用感としてハイグラフィックゲームのDead by Daylightをプレイすると、デフォルト設定では目立った発熱もなく快適にプレイできます。フレームレートも45fpsまでなら快適。60fpsに設定すると発熱が気になりました。

特に気になったのはカメラの連写が遅いこと。そもそもGoogle Pixelのカメラは連写機能がないため、シャッターボタンを連続でタップする必要がありますが、手動連写を他のスマホと比べたところ明らかに記録される枚数が少ないことを確認しています。

■ 普段使いなら1日は十分の電池持ち

バッテリーの容量は4,492mAh。最近のスマホは価格帯に関係なく5,000mAhを搭載する機種が多いことを考えるとやや少なめです。

電池持ちを検証するために、画面の明るさを自動調整に設定し、購入直後はオフになっているスムーズディスプレイをオン、ロック画面の時間と情報を常に表示をオンにして、11時30分に充電器から取り外して利用を開始しました。

この日は目的地の自由が丘まで1時間かけて電車移動。移動中はワイヤレスイヤホンを使ってNBAをピクチャーインピクチャーで視聴しながらGoogleマップで乗り換え検索したり、ニュースをチェックすると到着時には残量が80%まで低下。

その後はInstagramのフィードを見たり、50枚の写真と4K/60fps動画を撮影すると14時30分には残量が60%に低下しました。16時から19時はPC作業のため、Pixel 8aはポケットに入れたまま。作業終了後、今度は夜景を撮影するために再びカメラを使用すると19時30分には残量が30%に。

最終的に約360枚の写真と動画を撮影し、動画を2時間程視聴して電池が切れたのは22時でした。

動作時間は約10時間30分を記録。ほぼ無操作だった3時間を除くと、7時間30分程度の電池持ちになりました。普段使いなら朝出て夜帰ってくるまで十分持ちます。旅行などスマホを使い倒す場合はモバイルバッテリー1つ持っておくと安心です。

電池持ちは優秀な一方で充電速度は遅め。18W出力の急速充電でも0%から100%まで充電するのに約120分必要でした。

競合機種には1時間以内、さらには20分以内のフル充電を謳う機種があるため見劣りします。さらに遅いのは7.5W出力のワイヤレス充電で、1時間ごとに約25%しか充電されません。ワイヤレス充電対応は嬉しいものの、できるだけケーブルを使って充電したくなる充電速度です。

■ Google Pixel品質の優秀なカメラ

カメラは広角と超広角レンズの2眼構成です。

広角カメラは前作と同じ64MPの高画素センサーを搭載。4つの画素を1つに束ねて受光量を増やすことでノイズを抑るピクセルビニングによって16MPで出力されます。

また、センサーで捉えた中心部を切り出すことで高画質な2倍クロップズームにも対応。2倍ズームは撮影機会の多い料理やポートレート撮影に最適な画角で撮ることができます。

Google Pixelらしい自然ながらも絶妙に彩度を強調した色合いで筆者好みです。

▲画像:2倍のクロップズームで撮影。ディテールがしっかり出ている

▲画像:超広角カメラで撮影。画質や色合いが広角カメラと大きく変わらず使いやすい

▲画像:自然にボケるポートレートで撮影。料理も美味しそうに撮れる

▲画像:新たにウルトラHDRに対応。HDR+よりもハイライトがより明るく、シャドウがより暗く、色鮮やかに撮影できる

▲画像:夜景モードで撮影。暗い環境ではディテールが甘く、ノイズが目立つ

▲画像:昨年刷新されたカメラアプリ。撮影モードの増加に合わせて写真と動画が分離された

■ 販売価格

コストパフォーマンスが魅力のGoogle Pixelですが、止まらない円安に加えて、昨年秋に発売されたPixel 8、Pixel 8 Proでは、日本市場を優遇した価格設定が終了したこともあって、今年は大幅な値上げを予想していましたが、筆者の予想価格よりも1万円も安い7万円台前半に落ち着きました。

Googleストアでの販売価格は72,600円。他社製を含めスマートフォンの下取りも実施しています。

国内キャリアではドコモ、au、ソフトバンクが販売。機種代金は7~8万円ですが、オンラインショップでのMNPと、端末返却を条件にしたプランでは非常に低い実質負担額で購入できます。

■ まとめ

Pixel 8aは歴代のモデルと同じように、高い期待に応えるコストパフォーマンスを実現しています。

昨年10月にアップデートの保証期限が切れたPixel 5、今年8月に保証が切れるPixel 5a (5G)を利用していてGoogle Pixelのソフトウェアに不満を感じないのであれば、買い替えをオススメできます。

Pixel 8aのアップデート保証期間はOS、セキュリティ、feature drop(3ヶ月に一度の機能追加)いずれも発売から7年間保証です。実際に7年間同じスマホを使い続ける人は少数だと思いますが、アップデートの保証切れを心配する必要がないのは嬉しいところ。

6月の Feature Drop では、Pixelシリーズの大きな弱点だった有線の映像出力にも対応。USB-Cケーブルで外部のモニタや、サングラス型ディスプレイなどに画面を表示できるようになりました。

また「デバイスを探す」機能のアップデートで、バッテリーが切れて端末が利用できなくなってからも、23時間以上は「デバイスを探す」ネットワークで位置を特定できるようになったなど、アップデートによる機能追加や向上はPixelシリーズの大きな魅力です。

5万円~8万円、いわゆるミドルレンジに該当するスマートフォンの競争は激化していますが、Pixel 8aを候補から外すのは難しいです。この価格帯に要求できる機能や性能はひと通りそろっているため、ここを基準にして予算と相談しながら購入する機種を選ぶことをオススメします。

ただ、悩ましいのはキャリアから購入する場合、上位機種のPixel 8も大きく変わらない負担金で購入できることです。

より優れたイメージセンサーを搭載したカメラと背景をぼかして撮影できるカメラ機能、より薄いベゼル、大容量のバッテリー、高速な有線充電およびワイヤレス充電、IP68等級の防水防じんを備えた高級感のあるボディに魅力を感じるのであれば、Pixel 8を選択するのもアリです。

Googleは8月にPixel 9シリーズの正式発表を控えていますが、従来どおりのスケジュールであれば、廉価版のAシリーズが出るのは数か月後。Pixel 9シリーズの発売で期待される8シリーズの価格改定やキャンペーンも含めて、Pixel 8aを改めて狙うタイミングです。


SIMフリー Google Pixel 8a 128GB(8GB RAM)スマートフォン本体 (Obsidian)
¥62,516
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
SIMフリー Google Pixel 8a 128GB(8GB RAM)スマートフォン本体 (Bay)
¥62,865
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《Yusuke Sakakura》

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