史上もっとも希少価値が高い NES(海外版ファミコン)ソフトのひとつ、『Nintendo World Championships 1990 Gold Cartridge』が、オークションサービスGoldinで20万7400ドルの落札価格をつけました。日本円にして約3000万円。
『Nintendo World Championships 1990』は、米国で1990年に開催された大会イベント『ニンテンドーワールドチャンピオンシップス』のために作られた特別な非売品ソフト。
スーパーマリオやテトリスなどから大会の競技として切り出された部分を含むほか、カートリッジの外側にあるDIPスイッチで制限時間などを変更できることが特徴です。大会で使われたほか、上位成績者には賞品として授与されています。
ゴールドカートリッジ版は、大会用の非売品ソフトを特別なゴールド外装に収めたバージョン。雑誌 Nintendo Power の読者プレゼント企画として26本のみが当選者に贈られました。
今回オークションで落札されたのは、現存が確認されている13本のうちの1本。完品にはほど遠いラベル欠損のコンディションにもかかわらず、20万ドル / 3000万円超という価格になりました。
単純に数が少ないファミコンソフトであれば、たとえば未発売ゲームのテストROMなどを含めて無数にあります。しかし Nintendo World Championships 1990 は、北米の任天堂ファンにとってある意味で特別な集合的記憶である『1990年ファミコン世界大会』を象徴するソフトであること、そのなかでも特別なゴールド外装、わずか26本のみ(現存10数本)という物語があり、コレクターが最終的に求める聖杯的な存在といわれています。
任天堂自身にとってもこのNintendo World Championships イベントには特別な意味があり、2015年・2017年には復刻リアルイベントを開催しています。トップ画像は2017年大会のもの。
今年2024年夏に発売されたばかりのNintendo Switchソフト『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』は、この大会を誰でも手元のスイッチで、家族友人や世界中のプレーヤーと遊べるようにするコンセプトです。
北米版デラックスセットにはこのゴールドカートリッジのレプリカが含まれていることも、任天堂とNESの歴史で特別な存在であることを思わせます。
世界大会といっても米任天堂のイベントであり日本では開催されていないため、『あの熱狂が蘇る!』的な売り方にはどう反応すれば良いのか微妙なところがありますが、とはいえ同時代にはファミコンブームがあり様々な大会があり、競技のゲーム自体は今も世界的に有名なクラシックばかり。
ファミコン世代にとっては若き日の思い出を喚起される一方、若い層にとっては時代を超えて任天堂キャラクターとゲームに触れる機会にもなり、いまの任天堂が「ありましたよね?あのファミコン世界大会!」的に力をいれるのも分かる話です。