ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が、リモートプレイゲーム機PlayStation Portal のアップデートを配信しました。
今回の目玉は、ベータ版ながらついにクラウドゲーミングに対応したこと。自分のPlayStation 5と接続するかわりに、クラウド上のサーバから直接ストリーミングできるようになります。
PS Portal は、プレイステーション伝統の機能「リモートプレイ」を遊ぶための製品。PS5本体上で動くゲームを映像としてストリーミングし、PS Portal からはコントローラの信号を送ることで、WiFiがつながればどこでも、携帯ゲーム機のようにPS5ゲームが遊べる仕組みです。
■ あそびかた。PS Portal側の設定から有効化が必要
新たにベータ版として提供されるクラウドストリーミングは、自分のPS5からではなく、データセンタにあるソニーのクラウドサーバからストリーミングする技術。
サブスクの最上位プランPS Plus プレミアムに加入していれば、これまでもPS5から利用することはできました。ゲームをダウンロード・インストールする必要がないため、カタログ内のストリーミング対応タイトルならばすぐプレイできる点が魅力です。
遊び方は、最新のシステムソフトウェアアップデートを適用後、PS Portalのクイックメニューから「クラウドストリーミングゲーム(ベータ版)」のスイッチをオンにすること。
■ ご家庭の上り回線に左右されないクラウド対応
なお、クラウドストリーミングではない従来のリモートプレイも自宅内限定ではなく、WiFiさえあればインターネットごしに自宅のPS5に接続して遊ぶことはできます。
しかし家庭内のリモートプレイでさえ、PS5からルータまでの接続やWiFi環境に影響を受けるところ、インターネット経由では自宅のルータからインターネットへの「上り」が増えるため、引いている回線の品質によっては、ゲームの画質や応答性(遅延)がさらに悪化する原因にもなります。
(逆にネット環境さえ良ければリモートプレイでもローカルと錯覚するほど快適に遊べるため、ゲームの種類や場面によっては何の問題もない場合もありますが)
対するクラウドストリーミングは、最初からインターネットに高速回線で直結したサーバでゲームが動くため、自宅のPS5からPS Portalまでの経路の影響を最小化できることが大きな利点。だからこそ、PS Portal の発売当初から、せっかくクラウドストリーミングサービスやってるのに対応しないんかい!と提供を待望されていた機能でもあります。
■ 当初はカタログ内PS5タイトル120本のみ、PS4 / PS3非対応
自宅の上り回線に依存しないこと以外にも、クラウドストリーミングはPS Plus プレミアムの遊び放題に含まれるサービスなので、対応ゲーム多数がすぐ遊べるのも魅力です。
PS Portalにベータ提供されるクラウドストリーミング機能では、当初は約120タイトルのPS5ゲームに対応。クラウドセーブも提供されるため、ゲームによってはクラウドで始めて自宅のPS5で続きを遊ぶといったことも可能です。
条件・仕様・制約としては、まず利用には月額サービスの最上位プランPS Plus プレミアムへの加入が必要です。これは以前から、PS5でクラウドストリーミングを遊ぶ場合でも同様でした。
(クラウドストリーミングは高速で大容量な回線のゲーム用サーバを、ネット的にユーザーから近い距離に設置する必要があるため、維持費がかかるのは仕方ありません。
最上位のPS Plusプレミアムは熱心なPSファン向けの価格で決して安くはなく、割引キャンペーンでスルーされるなど露骨に「釣った魚」扱いではありますが、これでもかつての単体PS Now時代(価格改定前)に比べればまだマシです。)
対応するゲーム品質は最大1080p / 60fpsまで。
必要なネット回線は最低が5Mbps以上、720p HDでのプレイには7Mbps以上、1080pには13Mbpsが必要。
帯域で書いてありますが、クラウドサーバまでのレイテンシが高い(応答速度が遅い)回線ではゲームもさらに遅延します。
また、今回対応するのは『Ghost of Tsushima』『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』『モンスターハンターライズ』など、PS5ゲーム約120タイトルのみ。
PS Plus プレミアムではPS4に加えてPS3ゲームもクラウドストリーミングで遊べる(むしろPS3はクラウドでしか遊べない)ことが魅力なので、これは今後改善してほしいところです。
PS5 DualSenseコントローラの機能、たとえば手触りに近い繊細な振動のハプティックフィードバックや、LRトリガーの負荷が動的に変わり手応えを感じられるアダプティブトリガーなども、従来のリモートプレイ同様にしっかり対応。ここはPS Portalの魅力なのでありがたいところです。(実はリモートプレイをDualSenseで遊ぶ場合にもアダプティブトリガー等は使えます)
このほかベータの制約として、3Dオーディオや一部ゲームのボイスチャット・招待、クリエイトボタン(キャプチャボタン)等には非対応。
自分で購入したゲーム(プレミアムのクラウドストリーミング遊び放題に含まれないゲーム)のクラウドストリーミングにも対応しません。こちらは、自宅のPS5にインストールして、従来の自宅からのリモートプレイで遊ぶことになります。
■ オーディオの最小音量やPS Link設定なども更新
今回のシステムソフトウェアアップデートでは、ベータ版のクラウドストリーミング以外にも、オーディオ系の改良が加わっています。
スピーカーのオーディオ出力を調整し、音量レベルを最小に設定したときの音を小さくしました。
PS Portalの設定メニューから、PlayStation Linkデバイスの設定を調整できるようになり、主音量やサイドトーンの音量を最適化できるようになりました。
最小音量は、特に寝室で寝転がって遊ぶなど状況を選ばないポータブルゲーム機では重要な点です。
PlayStation Link は、ソニーが導入した独自の低遅延ワイヤレス音声伝送規格。遅延としては、他社の2.4GHz帯ドングル接続のゲーミングヘッドセットと同程度ですが、PS Portalはドングル不要でこのPS Link対応ヘッドセットにネイティブ対応します。
¥22,980
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)