米国の火炎放射器メーカーThrowflameが「世界初」と称する火炎放射器搭載の4脚ロボット『Thermonator』を発売しました。価格は9420ドル、米国内は送料無料です。
このロボットは昨年6月に発表されていたもので、背中にThrowflame社のARC火炎放射器が取り付けられており、そのノズルから最大30フィート(約9m)の炎を噴射することが可能です。燃料にはガソリンまたは増粘されたナパーム燃料を使用するとのこと。ARC火炎放射器は単体でも販売されているものです。
一方、ロボット部分はその外観から中国Unitreeの「Go2」が使用されているようです。Go2はLIDARで周囲のマッピングと障害物検知が可能で、イメージセンサーによって、コントローラー側の画面を使った一人称視点(FPV)での操作を提供します。また Wi-FiおよびBluetooth通信機能を備え、スマートフォンアプリを使った操作も可能です。
Thermonatorはレーザー照準を備えており、目的とする場所に炎が噴射しやすくなっています。バッテリーは最長1時間持続するため、燃料がもつならば、かなり広範囲を焼き払うことができそうです。
Throwflameは、このロボットの主な用途として山火事の制御や防止、生態系保全に役立つと主張していますが、その具体的な方法については説明していません。ほかには農業管理、娯楽用途と特殊効果、融雪および氷の除去、といった項目が挙げられています。
米国では、48の州で基本的に火炎放射器を使用することは合法とされています。唯一明確に禁止しているのはメリーランド州で、この州では火炎放射器は「人に怪我を負わせたり、財産に損害を与えたりする可能性がある」破壊装置とみなされるとのことです。
カリフォルニア州では、ノズルからの炎が10フィート以上に延びるように設計された火炎放射器の所持には 州の消防当局の許可が必要であるため、この4脚ロボットを購入した場合は許可申請が必要です。そのほかの州でも基本的には合法かもしれませんが、細かい規制がないかを確認しておくのが無難でしょう。
いずれにせよ、どんな用途であれ火炎放射器を使用する場合は、安全を最優先しなければならないことに違いはありません。山火事を予防するはずが、その火種になっただとか、家の周りに積もった雪を溶かそうとしたら家も燃えてしまったなどと言うことがないよう、また使用時には必ず周囲に小さな子供などがいないことを確認すべきです。また日本の場合は火炎放射器のような不必要に強力な炎を発する道具を使用すると「火気乱用」として軽犯罪法に触れる可能性があります。過去にはYouTuberが自作の火炎放射器を使用する動画を公開して逮捕された事例もありました。
ちなみに、科学技術系ニュースサイトInteresting Engineeringは、Thermonatorが将来的に、軍事利用の可能性のある地上無人ロボットの有力候補に含まれる可能性があると指摘しています。米軍は先月、様々な部隊が参加して、UAVやドローンや無人車両を用いた部隊実験を実施しました。Project Convergence Capstone 4 (PC-C4)と呼ばれるこの実験には、英国や日本も参加しており、火炎放射器は背負っていないものの、何種類かの4脚ロボットやドローンを使った実験を実施したとのことです。
¥380,100
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)