マイクロソフトがWindows 11の大型更新『Windows 11 2022 Update』の配信を開始しました。
Windows 11 PCに対して本日より順次、段階的にWindows Updateとして無料提供します。
『Windows 11 2022 Update』は、従来の呼び方では『Windows 11 22H2』。22H2は2022年後半の意味。年に一度の大型更新になったため、H1やH2ではなく2022年アップデートとシンプルな名称です。
内容はプロダクティビティ、アクセシビリティ、セキュリティ、ゲーミング等々、Windowsの機能全般にわたる新機能や改善。
ファイルエクスプローラーのタブ化やOneDrive統合、スタートメニューのピン留め領域をフォルダ管理、スナップレイアウトの強化など日常作業の効率を上げてくれそうなQOL改善から、Google Pixel の自動字幕起こしに似た「ライブキャプション」、背景ぼかしや音声分離などNPU搭載のPCでのみ使えるAIカメラ・オーディオエフェクト、ゲームの遅延軽減、コントローラのXboxボタンで起動するランチャー「コントローラバー」、潜在的に危険なアプリを実行前に止めるセキュリティ機能SAC (Smart App Control) 等々、多数の新機能や改善の集合体です。
Windows 11のバージョン21H2を導入している場合は、設定のWindows Updateから「更新プログラムのチェック」でアップデートできるようになります。
膨大な新機能・改善点からごく一部を抜き出せば、
アクセシビリティ
ライブキャプション (※現状英語のみ)
システムレベルで全ての音を聴き取って字幕化。字幕が用意されていない動画でも、そもそも字幕の機能がないアプリでも、マイク入力の音声でもリアルタイムにテキスト化して表示する。Google Pixelの「自動字幕起こし」と同種。ただし今のところ英語のみ。
音声アクセス (※プレビュー、現状英語のみ)
音声操作。テキスト入力だけでなくアプリを開く、メニュー等を自然な音声でナビゲート。ウェブブラウズやメール作成といったタスクに対応。
より自然なナレーター音声、Edgeを使った音声ウェブブラウズ改善
プロダクティビティ
スナップレイアウトの強化・スナップアシスト改善
ウィンドウをきれいに並べるスナップレイアウトが強化。ウィンドウをドラッグすると画面上部にガイドが現れ、そのままドラッグして載せるとレイアウトの候補が出現。好みの枠に落として配置。一回のドラッグ&ドロップだけで自在に、ぴったり配置できる。
スナップアシストで表示されるアプリ候補を改善。Edgeブラウザのタブもウィンドウとしてスナップできる。ファイルエクスプローラーがタブ化
Windows 9X時代から拡張機能として定番だったエクスプローラーのタブ化が標準機能に。スタートメニューのピン留め領域をフォルダ化管理。入れ子も可能に。
Windowsがたまに先祖返りして忘れてしまう機能をまた思い出しました。フォーカスセッション
集中モード。時計アプリと連動した集中力タイマー(高いパフォーマンスを維持できるよう、一定時間で休憩を挟むやつ)、集中できる音楽、To-Do表示等がセット。タスクバーの時計クリックで通知センターを開く、「フォーカスを開始」ですぐ始められる。Do Not Disturb
フォーカス中やゲーム中など、通知で割り込まれたくないときに。重要な相手の場合、DND設定中でもオーバーライドして届く通知を設定もできる。Windows Studio Effects
NPUを備えた対応PCのみで使える、システムワイドのカメラ・オーディオAIエフェクト機能。ビデオ会議向け。
カメラの背景ぼかし・ポートレートぼかし
アイコンタクト(目線を修正して、相手と目を合わせているように見せる)
自動フレーム。いわゆるオートフレーミング。PCの前で姿勢を変えても動いても、カメラがズームして追従。
ボイスフォーカス。ノイズを除去して音声を分離。
いずれも、アプリの機能に依存せずシステム側で作動します。Teamsでは高度な統合とアプリ内からの操作が可能になる予定。タッチ操作の改善
タスクバー中央から上にスワイプでStart表示、下にスワイプで閉じる。
Start上の左右スワイプで「ピン留め・おすすめ」と「すべてのアプリ」を切り替え
タスクバー右下から上にスワイプで「クイック設定」、下にスワイプで閉じるなど。
フルスクリーングリッパー。タッチ対応ゲームなど、フルスクリーンから誤って戻ると困るアプリて有効になる機能。画面端をスワイプした場合はグリッパーが表示される。もう一度スワイプすると本来の挙動に。
ゲーミング
ウィンドウ動作時のゲームのレイテンシ大幅改善。ウィンドウまたはボーダーレスウィンドウで動作するDirectX 10, 11ゲームの入力遅延を大幅に削減。AutoHDRやVRR (可変リフレッシュレート) も有効に。システム > ディスプレイ > グラフィックス > デフォルトのグラフィックス設定の変更で有効化。
コントローラーバー。ゲームコントローラのXboxボタンを押すと、最近プレイしたゲームや使ったランチャーにコントローラだけで即アクセスできるコントローラーバーが開く。
全般にスマホでしばらく前に導入された機能への追従が目立ちますが、スマホはスマホでPCライクなマルチタスクやプロダクティビティを強化するなか、フォームファクタは違えどユーザーにとって便利になる機能は歓迎です。
Windowsの本領発揮ともいえるプロダクティビティでも、突然のエクスプローラータブ化や、他社デスクトップOSの追従を許さないスナップレイアウトの利便性など強化点は多数。高度なアクセシビリティや、ゲーミング関連の黒魔術的な最適化など、マイクロソフトの莫大な投資とエンジニアリング力で初めて実現した機能も多々ありつつ、多数のQOL改善で神は小ネタに宿ることを実感するアップデートです。