Twitter の CEOイーロン・マスクが、本日よりユーザーを対象とした広告収益のレベニューシェアを開始すると発表しました。
ツイートのリプライスレッドに挿入される広告から得た収益の一部を投稿者に還元する仕組みです。ただし分配を受ける資格を得るには、まず月額料金を支払い有料プランの Twitter Blue に加入する必要があるとしています。
イーロン・マスクは以前から、Twitter を告知や宣伝、交流に利用する様々な種類のクリエーターに対し収益化のサポートを強化することで、外部のサービスではなくTwitter内で作品そのものを公開させたい意向を表明していました。
長尺動画を投稿できるようにする施策も、Twitterでコンテンツを公開するクリエーターが増えれば視聴するユーザーも増え、広告のインプレッションも伸びて収益改善につながるという、つまりはYouTubeを目指す狙いです。
また有料プラン Twitter Blue を値上げして、青色の認証バッジなど特典を増やした際も、Twitter Blueによる収入はコンテンツクリエーターに報いるための原資にもなるのだと説明していました。
今回のツイートでは「広告収益の」レベニューシェアにしか言及していませんが、Twitterで稼ぎたい、収益化できるかもと期待する人たちも含めBlue加入者から毎月徴収した料金を原資として、そこから一部を還元することで、仕組みとしてはTwitterが胴元として利益を上げつつ、一部のクリエーターについては「Twitterで生きてゆく」を実現できることになります。
イーロン・マスクは本日よりと述べたものの、今回の施策についてTwitter Blue加入以外にどんなユーザーが対象なのか、「クリエーター」の定義、レベニューシェアプログラム参加の手続き等はまだ不明。
Twitterはイーロン・マスクによる買収前からユーザーの収益化サポート(と手数料の徴収)を志向しており、 動画クリエイターには動画再生の前に流れる広告からの収益分配を、それ以外のテキストや画像のツイートに対しては有料の「スーパーフォロー」やチップの受付先を設定できるようにしていました。
歩合で稼ぎたければまず毎月支払ってねという仕組みは「あなたなら稼げますよ!先に始めた人はどんどん儲けて好きなことをして生きてますよ!」や「本にして出版したらベストセラーだって夢じゃありませんよ!」のあとに「ほんの少しだけシステムの利用料が必要なんですよ。むしろ自分への投資だと思って!ここで小銭を惜しんで機会を逃したら勿体ないなあ」的なビジネスを連想しないでもありませんが、前述のとおりユーザーが払ったTwitter Blue月額料金の一部が還元に回ることになれば、あるいは広告収益が大きければ、少なくとも一部のクリエーターは毎月の支払いより多く稼げる可能性はあるはずです。
イーロン・マスクは「Twitterはクリエーターの時間と才能に対してどこよりも高く報いるサービスになる必要がある」とも述べています。
まずはTwitterで快適に作品を視聴閲覧できる環境の整備が必要ですが、ユーザーにツイート以外を消費する習慣がつけば、また広告収益の規模と分配率によっては、YouTubeやTwitch等々よりもまずTwitterで作品を公開して稼ぐクリエーターが増える可能性もあります。
「クリエーター」登録がTwitter Blue加入だけで可能で、ただのツイートがバズったときも広告収益を得られるなら、職業YouTuberのような「職業ツイ廃」が増え、投稿者の行動やツイートも収益化を前提にした最適化が進むかもしれません。