インドの月探査機チャンドラヤーン3号が、日本時間8月23日21時ごろより、月の南極付近への軟着陸を試みます。着陸予定時間は21時34分。もし成功すれば、インドはロシア(旧ソビエト連邦)、米国、中国に続く4か国目の月面軟着陸成功国となります。
チャンドラヤーン3号は7月14日に打ち上げられ、8月5日に月軌道へ到着、17日には着陸機ヴィクラムが探査機本体から分離して、着陸への準備を進めてきました。
もしヴィクラムの軟着陸が成功すれば、この着陸機は探査ローバーのプラギャンを展開し、約14日間の地表探査を行います。この14日間という期間は、月面が常に昼の時間帯で、それが過ぎると、今度は夜が同じぐらいの間続きます。月の南極付近には水氷が存在することが期待されており、大量に発見できれば、将来人類が月面基地で生活するための貴重な資源になるはずです。また月に着陸した宇宙船がふたた飛びたつ際の燃料も、水から得ることができます。
ただ、月への軟着陸は、21世紀の現在でも難しい試みです。今週はじめ、ロシアの探査機『ルナ25号』は、やはり月の南極付近への着陸を目指したものの、軌道修正のためのスラスター噴射で何らかの問題が発生し、月面に衝突してしまいました。
また今年春には、日本のispaceが『HAKUTO-R ミッション1』での月への着陸に挑戦しましたが、センサーが高度を見誤り、月面に落下する格好になってしまいました。
そしてインドも2019年、チャンドラヤーン2号から分離したヴィクラム着陸機の月への軟着陸で失敗を経験しています。インドの宇宙機関ISROは、今回のチャンドラヤーン3号および着陸機に、前回の失敗経験を踏まえた改良を加えており、悲願達成が期待されるところです。
ちなみに、チャンドラヤーン2号は現在も月軌道上で活動を続けており、今回の着陸ミッションでは、チャンドラヤーン3号と地球との通信を支援する役割を担っているとのことです。