マイクロソフトは2009年から、Googleのライバルとしてウェブ検索サービス「Bing」を展開してきました。
今年2月にはOpenAIの大規模言語モデルを統合したBing AIを発表して注目を浴びています。
しかしアップルの社内情報に詳しいMark Gurman氏は、マイクロソフトが2020年にこのBing検索サービスをアップルに売却しようとしていたと伝えています。
もしこの話が成立していれば、いまごろはiPhoneのデフォルト検索エンジンがBingになっていたのかもしれません。
Gurman氏によれば、マイクロソフトは2020年にエディ・キュー氏を含むアップル幹部と会談の場を持ち、Bingの売却について話しあったとされています。
ただ、アップルの幹部らは、Google検索をデフォルトとして使うことから得る収益と、Bingに切り替えた場合を比べたとき、BingがGoogleに対抗できないという判断から、この話を真剣に検討し掘り下げるには至らなかった模様です。
MacRumorsによると、Googleはアップルデバイスのデフォルト検索エンジンの座を確保するため、年間数十億ドルをアップルに支払っています。
今週、アップル製デバイスにおける支配的立場に関してGoogleと米連邦取引委員会(FTC)とのあいだで訴訟が進行していますが、その場でもエディ・キュー氏はアップルがGoogleをデフォルトの検索エンジンとしていることについて、「アップルが他の検索エンジンプロバイダを選んでいないのは、妥当な代替案が存在しないためだ」と発言しています。
しかし代替検索エンジンの側からはまた別の声もあります。たとえばDuckDuckGoのCEOは、iPhoneのデフォルトの検索エンジンを変更するのに必要な「手順が多すぎる」と主張しています。
切り替える意思があり、やり方が分かれば、設定アプリを開いて数タップで変更が完了できるため、手間自体はそれほどかからないのが実際のところですが、ほとんどの消費者はわざわざデフォルトのGoogleを他の検索エンジンに変えるほど不満や動機がないと言えるかもしれません。
アップルは2013にリリースしたiOS 7以降、SiriとSpotlightの検索のデフォルトにBingを使用していました(2017年にGoogleに変更)。
最近ではマイクロソフトとOpenAIの提携によるAI機能の統合で、改めてBingも注目を浴びるようになりつつあります。