なんでAppleのiPadイベントにぶつけて唐突に発表したんだろうという「Pixel 8a」。
先代の「Pixel 7a」はGoogle I/Oでの発表でした。
今年のI/Oではもっと違う何かを発表するからなの? Nestの新モデルとか?(たぶん違う)
既に予約受付中ですが、発売はGoogle I/O開催の日、5月14日です。
それはともかく、今回の「Google Tales」は、発売前に少し使ってみた「Pixel 8a」についてです。
▲Bay(水色)のPixel 8a(別売り純正ケースは4900円)
恒例のスペック比較
Pixelの「a」シリーズの位置付けは、毎年だいたい10月に開催する「Made by Google」イベントで発表するハイエンドPixelの機能を約半年後にお手頃価格で使えるようにする、というものなんですが、年々無印(現行ではPixel 8のことです)との差がなくなってきています。8を買ったユーザーは、半年待てば良かった!と思うくらい、ほぼ同じ機能を約5万円も安く手に入れられるのです。
▲左から、Pixel 7a、今回の主役のPixel 8a、Pixel 8 Pro
恒例のPixelスペック比較表は今回、Pixel 7a/8/8 Pro/8aを並べてみました。
▲Pixel 7a/8/8 Pro/8aの主なスペック比較
表の中の赤い字の部分は、8aで7aより大きく変わったところです。価格(9900円高くなった)以外はよい変化。価格も、米国では据え置きなのですが、円安なので日本では高くなっちゃいました(お得な購入方法は後述)。
なんといっても、プロセッサがTensor G3になるのは大きいです。これのお陰で編集マジックやベストテイクなどの写真AI編集機能が使えるし、Gemini Nanoも使えるし。
日本ではまだモバイル版Geminiの良さが発揮できていない感じですが、I/Oで発表されるであろうAndroid 15ではたぶん、Geminiもパワーアップすることしょう。
8と8 Proに先駆けて使える新機能
さらに、8と8 Proではまだ使えない機能がついてます。そのうち8と8 Proでも使えるようになるでしょうけれど、一足先に楽しめます。
8aを子供の初めてのスマートフォンとしてセットアップ
1つは、初めて電源を入れて設定を始めるところで、その8aが自分用か子供用かを選択できるようになったことです。
子供用を選ぶと、まずは自分のアカウントでログインし、子供の名前と年齢を入力し、子供のGoogleアカウント(候補として、名前の入ったものがいくつか表示される)を作ります。子供にとっての初めてのスマートフォンにするための設定ということですね。なお、16歳の架空の子供で設定しようとしたら「16歳なら自分で設定できるんじゃないの?」と言われちゃいました(そのまま設定を進めることはできた)。
▲Pixel 8aを子供の初めてのスマートフォンとして設定する
Googleファミリーリンクでプライバシー管理や利用時間制限、位置情報確認なども設定できます。
謎の「音声絵文字」
もう1つは、「電話」で謎の「音声絵文字」が使えること。少なくとも日本人は使わんだろうと思いますが、通話中に「音声絵文字」をタップすると6種類の絵文字(拍手、泣き笑い顔、クラッカー、泣き顔、うんち、ドラムロール)を選択するメニューが表示され、いずれかをタップすると相手にそれぞれを表す音が届くというものです。
▲今はPixel 8aでしか使えない「音声絵文字」
画面にそれぞれのアニメーションが表示されますが、これは相手には見えません。でも、相手の電話機がPixelじゃなくても音声絵文字は聞こえます。例えばうんちをタップすると、おならみたいな音が相手に届きます。これを使いこなせるオトナがいるかどうか。相手を選ばないと嫌われそうです。
▲うんちサウンドを送ったところ
新鮮な手触り
さて、実際に触った感じですが、背面は「マット仕上げ複合素材」ということで、7aや8/8 Proのようなつるつるより少し滑りにくい感じになっています。アルミの上から樹脂をかぶせてあった「Pixel 5」ほどはざらざらしていませんが、7aよりすべりにくく、手に馴染む感じです。プラスチック素材を76%使っているそうです。
筐体のサイズはほとんど7aと同じですが、滑りにくい分、より持ちやすいです。重さも5.5g軽くなってるし。
見た感じは、かどかどの丸みが強くなり、iPhoneみたいになりました。
▲左から7a、8a、iPhone SE
▲ディスプレイもかどまるに(今度は左が8a、右は7a)
色については、まだBay(水色)しか実機を見ていませんが、8 ProのBay(水色)よりちょっと濃くなりました。またカメラバーと側面のフレーム部分が8 Proのようなアルミ色ではなく、本体色と同じ(Bayなら水色、Aloeなら緑)なのは7aと同じですね。私はこの方が好きです。Pixel 9ではハイエンドもこうなるといいな(カメラバーじゃなくなるという噂がありますが)。
それと、なぜかディスプレイが滑りやすくなっているようで、少し傾斜のあるテーブルに伏せて置いておいたら、ずるずると滑って落ちてしまいました。同じ場所に7aや8 Proを置いても動かないのに。
▲2度落としました。最初はなぜ落ちたのかわからず、2度目に滑り落ちる瞬間を見たのでした。(イラスト:ばじぃ)
米9TO5Googleによると、ディスプレイは「pOLED」だそうなので、そのせいなのかなぁ。pOLEDパネルは、ガラスの代わりにプラスチックを使うことで柔軟性をもたせることができるというものだそうで、折りたたみ端末ではよく使われています。「Pixel Fold」の内側ディスプレイもpOLEDなのでした。試しにPixel Foldも開いてうつ伏せにして傾斜したデスクに置いたところ、これも滑りました。
使い心地は?
例えば複数のアプリを起動したままYouTubeを再生したりすると、7aはかなり熱くなるんですが、8aはあまり熱くならないと感じました。このコラムを書きながらかれこれ1時間、充電台に載せた状態でYouTubeで音楽を流していますが、8 Proの「温度測定」によると背面温度は31.0度で、私の手のひら(28.2度)に少し温かく感じる程度でした。同じことを7aでやった結果温度は32.4度になりました。
アプリの起動速度は、少しですが7aより8aの方が早いです。
私は普段、主に6.7インチの8 Proを使っているので、6.1インチの8aは持ちやすくて楽ちんです。
8aは買いなのか?
7a以前のPixelを持っている人には、かなりお勧めです。プロセッサがアップグレードした分の快適さは買い替える価値があると思います。
それに、Googleストアで状態のいい7aを下取りに出せば3万2800円で引き取ってもらえて、ストアクレジットを2万円もらえるので実質1万9800円です。
8ユーザーは買い替えの意味はあまりないですが、今度の10月に9を買うくらいなら来春の9aを待つ気持ちになるでしょう。その後はaシリーズを更新していくのが幸せかと。
8 Proユーザーは、大画面が好きとか、最先端の機能を真っ先に使いたいとか、カメラの30倍ズームとマクロ撮影が好きとか、そういう人であれば、経済的に頑張れるのであれば、今後もProシリーズを更新していくべし、と思います。
▲30倍ズームは8 Proの特権(左から、8aで撮影、8aの最大ズーム、8 Proの最大ズーム)
▲マクロ撮影も8 Proの特権(左は8aで被写体に寄り過ぎると出る警告、右は8 Proで、被写体に寄ると黄色いお花アイコンが表示されて、マクロ撮影に自動的に切り替わるところ)
というわけで、ぱっと見は7aとあまり変わらない8aですが、普段使いにはとてもお勧めな、バランスの良いスマートフォンだと思いました。