Googleが8月のMade by Googleイベントで発表したいろんな新製品の中で、実は結構楽しみにしていたのが無線イヤフォンの「Pixel Buds Pro 2」なのでした。
▲待望の「Pixel Buds Pro 2」がやってきた
Pixel 9シリーズやPixel Watch 3が発売された後、Pixel Buds Pro 2は一番最後の9月26日に発売になりました。3万6800円。色はPorcelain(クリーム)、Hazel(グレイ)、Wintergreen(緑)、Peonhy(ピンク)の4色です。
Pixe 9 Pro XLのRose Quartz(淡いピンク)はないんです。残念。
▲色は4色。ピンクと緑は結構派手です
先代が出てから2年以上経つので、もう撤退しちゃったかと思っていました。でも、2年待った甲斐のあるアップデートだと思います。
■良いところ、今ひとつなところ
最初にレビュー記事っぽく、良いと思ったところと今ひとつだと感じたところをご紹介。
良いと思ったところは、
小さく、軽くなった
耳にしっかり固定できるようになった
ANCが向上した(公称2倍、実際にも違いがわかる)
会話検知機能(ちゃんと動作すれば便利)
バッテリー持続時間が長くなった
今ひとつだと感じたところは、
先代より1万3000円も高い(米国では30ドル高い)
「音声の切り替え」がWindows PCとも自動でできればいいのに
がんばれGemini Live(今のところGoogleアシスタントの方がいいかも)
■つけ心地が大幅改善
Googleが「3200人以上の耳をスキャンして4500万のデータポイントを収集し、多様な耳の形状とサイズをより包括的に把握した」と言うだけあって、私の耳にもかなりぴったりフィットします。
▲こんな感じに収まっているそうです(画像はGoogleのブログより)
付属のチップはXS、S、M、Lの4種類。最初から付いているのはMで、大抵はこれで合うみたいですが、左右で耳の形が違うこともあるので、最初に一応2つくらい試してみるといいと思います。
▲付属のイヤーチップはかわいい箱入り
私の場合は、先代(Pixel Buds Pro)は耳の中のおさまりが悪く、ノイキャンもいまひとつ効かない感じだし、小首をかしげるとぽろっと落ちそうになりました。
AppleのAirPods Pro 2でさえ、いまひとつおさまりが悪いので、私の耳の方に問題があるんだとは思いますが、残念な気持ちだったんです。
でも、Pixel Buds Pro 2にはぴょこっと固定用アーチが付いていて、耳に入れたBudをちょっと回すとこのアーチが支えてくれる落とし所が見つかり、これで耳甲介(じこうかい)にしっかりフィットするのです。
▲左から、Apple AirPods Pro 2、Pixel Buds Pro、Pixel Buds Pro 2装着の図
長いビデオ会議で寝そべってても(こら)、ヘビメタを聴きながらヘッドバンキングしても、外れませんでした。
▲(イラスト:ばじぃ)
ちなみに、Googleによるとサイズは27%小さく、重量は24%軽くなったそうです。重さはMサイズチップ使用時で片方4.7g。1円玉4枚+5円玉1枚くらいです。
▲新旧Pixel Buds Pro(右が新しい方)。ぴょこっとした背びれみたいなアーチがポイントです
■明らかに良くなったノイズキャンセリング
個人的には先代もいいと思っていたアクティブノイズキャンセリング(ANC)が、目に見えて(耳に聞こえて)良くなりました。Googleは「2倍ブロック」と言ってます。
掃除機を使いながらPodcastを流すと、先代はちょっと聞こえにくかったのが、今モデルはちゃんと聞こえます。高めの音のカットはあまり変わらない気がしますが、低めの音は明らかにカットできてます。
今、冷蔵庫を開けて麦茶を出して閉めたんですが、ドア開閉の音が全く聞こえないので開けっ放しになっていたのかと思ったほどです。
外を歩くときはANCはオフにした方が良さそうです。細い道で後ろから走ってきた車の音とか、ほとんど聞こえないので怖い。
■母艦のPixel Budsアプリも機能アップ
Pixel Budsシリーズは基本的にAndroidスマートフォンを母艦として使うことが前提だと思います。で、この母艦にインストールするPixel Budsアプリも機能向上しました。
前述のノイズキャンセリングもここで選択できます。
▲Pixel Budsアプリでいろいろ設定できます
■会話機能はちょっと自分本位
ANCがこれだけ効いてると平和な気持ちで音楽が聴けますが、話しかけられても気づかないという不便さもあります。
話しかけられる可能性のある場合はANCを切るか、さらに「外部音取り込み」設定にすればいいんです。左右どちらでも、Buds本体の表面を長押しすることで、ANCと「外部音取り込み」のモードを切り替えられます。
さらに、この画面の下の方にある「音」をタップすると中央の画面になり、ここで「会話検知機能」をオンにしておくと、自分から声を出すとそのとき流している音楽やPodcastが一時停止になります。
そのまま黙っていると再生が再開します。
残念ながら誰かに話しかけられても再生は一時停止しないんですが、いつか「ねえ、ゆき(私の呼称)」と誰かが言うとそれを検知してくれるようになるといいなぁと思います。
■「音声の切り替え」をPCでも滑らかに使いたい
Pixel Budsシリーズは、複数のデバイスとペアリングしておけます。Pixel Buds Proシリーズだとさらに「マルチポイント接続」という機能で、同時にペア設定してある2台のデバイス(PC、タブレット、テレビ、スマートフォンなど)の間で接続先を自動的に切り替えられます。
例えばペアリングしたAndroidタブレットでNetflixの映画を見ているときに、やはりペアリングしたPixel 9に電話が着信すると、自動的にイヤフォンの接続先がタブレットからPixel 9に切り替わります。
通話終了後にBudsの表面をタップすると、前の音源で音楽の再生を再開できるはず、です。
Windows PCでビデオ会議中にPixel 9に着信があったときも、ちゃんと自動的に接続先がPixel 9に変わりました。でもその後で会議に戻ろうとしたらうまくいかなくて、これはWindowsの方の問題なのかもしれませんが、それがうまくいくようになったら便利だなぁと思いました。
両方のイヤフォンを接続先から削除して再ペアリングしてみたり、スマートフォンを再起動したりしているうちに正常に戻りましたが、技術的なことが分かっていないのでちょっとおろおろしました。
■音質は?
すみません、そもそも音質を語れるような耳を持ち合わせていないので、なんとも。そういう意味では豚(私)に真珠(Pixel Buds Pro 2)なんですが、その程度のレベルの人にとってはとてもクリアできれいな音です。もっと低音がずんずんほしいなぁという場合はアプリで調整できます。
■Gemini時代のイヤフォンだと言うけれど
Googleとしては、Gemini Live(ChatGPTの「高度な音声モード」のような音声会話モード)との会話がPixel Buds Pro 2でできる、というのも大きなウリなんだと思いますが、Gemini Liveは英語では使えますが、まだ日本語に対応しておらず、完成度があまり高くないこともあり、その使い方はまだいいかな、と思いました。
目指すのは映画「Her」のようなAIとの自然な会話なんでしょうけれど、相手の声は自分にしか聞こえないので、周りに人がいると独り言を言ってる変な人に見えそうです。最近は、ハンズフリーで電話しながら歩いている人が増えてきたのでまあ、気にしなければいいんですが。
■耳を大切に
若い頃、大音響のライブハウスに行ったり仕事中に(集中するために)ヘッドフォンの爆音でヘビメタをずっと聴いてたりしたことが祟ってか、今では補聴器のお世話になっております。
Pixel Budsアプリには、「ヒアリングウェルネス」機能があり、音量レベルが安全圏かとか、累計音量が「推奨曝露レベル」の範囲内かどうかを示してくれます。ANCにせずに外で音楽をかけて、思わず音量レベルを上げすぎたら通知してもらう設定もあります。
▲聴覚の健康維持のためのさまざまな設定
まだ元気な耳をお持ちの皆さんは、鼓膜を大切に、老後も素敵な音楽を聴き続けられるよう、Pixel Budsアプリを活用してください。