OpenAIがSearchGPT(その後「ChatGPT search」と表示することが増えているようなので、以後、後者で統一します)の提供を開始したことが、すわGoogle検索キラーの本命か、とかなり話題になっておりました。Googleも、かなり危機感を持っていると思います。
ChatGPT Plusユーザーで、SearchGPTのウェイティングリストにも登録していたので、私もすぐに使えるようになりました。
ChatGPTの質問枠に地球儀マークが表示されるようになったら、ChatGPT searchが使えるしるしです。
(▲ChatGPTでSearchGPTが使えるようになった)
ChromeブラウザでChatGPTを使っていると、ChatGPT searchが使えるようになると同時に、ChatGPTの画面に「すべての検索にChatGPTを使用」というアピールが表示されます。OpenAIがGoogle検索に取って代わろうとしてるんだなぁと感じます。
(▲「すべての検索にChatGPTを使用」)
画面の「拡張機能を取得」をクリックするとChromeウェブストアに移ります。こちらではGoogleが防衛するかのように「この拡張機能は、セーフブラウジング保護強化機能で信頼されていません」と表示。
(▲Googleも防衛)
それでも拡張機能をインストールすると、Chromeのデフォルト検索エンジンがChatGPT searchになります(この件については後述)。
ChatGPTのプロンプトに表示されるようになった地球儀マークをクリックしてから質問を送信すると、「ウェブを検索しています」と表示されて検索結果が出てきます。
ChatGPTへの普通の質問の答えとの大きな違いは、「情報源」ボタンが表示され、これをクリックするとソースが右側に表示されて、リンクに飛べることです。
■それぞれの情報源(ソース)の表示方法
ソースをしっかり表示するのは、メディアと仲良くやっていくために必須なので、各社気を使っている感じです。
「どうしたら腰痛が治るか」という同じ質問を、ChatGPT search、GoogleのGemini Advanced、GoogleのAIの概要(AI Overview)、MicrosoftのCopilot、AnthropicのClaude(無料版)にしてみました。
Claude以外は、それぞれの方法でソースのリンクを開けるようになっていました。
SearchGPTは後発だけに、リンクに飛びやすいデザインです。
(▲SearchGPTの回答例。右のカラムにソースの一覧)
Gemini Advancedのリンク先は最初から表示されるのではなく、回答の下にある「G」をクリックしないと出てきません。Gをクリックすると、ソースごとにテキストが色分けされて、文末に∨が付いてます。さらにこの∨をクリックするとソースが表示されます。
(▲Geminiの回答例。緑は信頼性が高く、文末の∨をクリックするとリンク先が表示される)
Google検索のトップに表示されたりされなかったりする「AIの概要」のソースは、最近右に表示されるようになったみたいです。
(▲AIの概要の回答例。いつの間にかSearchGPTと似たデザインに)
Copilotは立ち上げ当初からソースに気を使っていました。回答の下に「詳細情報」としてリンクを並べています。
(▲Copilotの回答例。こちらは昔からこのフォーマットでした)
Claudeはどんな質問にもソースを表示しないようです。「ソースを教えてください」と聞くと、「これらの情報の具体的な出典や引用を挙げることは難しいです。というのも、私は2024年4月時点の情報で学習を行っており、また検索機能を持っていないため、具体的な医学論文や研究を正確に引用することができないためです」などと答えます。
■ChatGPT seachとGemini Advanced、幻覚対策はどっちがまし?
Gemini Advancedで面白いのは、回答のテキストで、信頼度が低い部分はオレンジ色になっていて、その場合は文末に∨ではなく!が表示されるんです。そして、これをクリックすると「Google Search didn’t find relevant content」と表示されます(じゃぁ、どこから持ってきたの?!)。つまり、オレンジ色の部分はハルシネーション(幻覚)の可能性があると判断しやすいです。
例えば、Gemini Liveの日本の音声について尋ねた結果がこれです。今のところGemini Liveの10種類の声の名前は英語版と同じで、SakuraとかYumeとかはいないのですが……。
(▲Gemini Advancedの回答例その2。いったいどこから持ってきた?)
もちろん、ChatGPTのWeb検索もハルシネーションを起こします。例えば、「日本シリーズの優勝チームは?」と2024年11月5日午後2時ごろに尋ねたところ、「2024年の日本シリーズは、セ・リーグ優勝の阪神タイガースとパ・リーグ優勝のオリックス・バファローズが対戦し、阪神タイガースが4勝3敗で勝利し、38年ぶりの日本一となった。」という答え。これはさすがに間違いだと分かるので情報源を見ると、ソースが古いのでした。
(▲ChatGPTの幻覚例)
ChatGPTの名誉のために言うと、「2024年の日本シリーズの優勝チームは?」という質問にはちゃんとベイスターズだと答えました。
幻覚かどうかの確認は、Gemini Advancedの方が便利だと思います。
■ChatGPT search拡張機能、使う?
ChatGPT search提供開始直後は「Google検索キラー」と騒がれましたが、しばらく使った感想としては、当面は使い分ければいいかな、という感じです。
なので、拡張機能は外しちゃいました。
だって、Googleで検索するのって、いわゆる「とは検索」が多く、そういう場合は多様なソースを何ページも並べてくれるGoogle検索の方が、少ないソースからの情報を長いテキストで説明するChatGPTより(私にとっては)便利なんです。
あとは買い物ですね。若い人はGoogleよりもInstagramで検索するかもしれませんが、私世代は「秋のジャケット」とかググり(Googleで検索し)ます。そうすると、良くも悪くもSponsoredのAmazonとかベルーナなどのカード(最近はTemuが多くてちょっと食傷気味)が並び、その下にもたくさん候補が表示されます。ChatGPTは写真も並びますが、まずOggiとメンズファッションからもってきたテキストが表示され、「情報源」をクリックするとはじめて楽天やAmazonへのリンクが表示されます(画像はなし)。
ChatGPTのWeb検索はこれからどんどん良くなっていくはずですが、Googleもとりあえず、胸をなでおろしているんじゃないでしょうか。
■そういえばGemini Liveの日本語版が出てます
OpenAIが検索で追い上げる一方、音声で会話できるAIについては、先行するChatGPTの「高度な音声モード」にGoogleが「Gemini Live」をぶつけてきました。で、これが最近ようやく日本語に対応しました。
先ほどちょっと書いたように、日本語の声も英語同様10種類で、名前は英語のまま(SakuraもYumeもいない)。10人の性格も英語と同じ設定です。
ChatGPTはリアルタイムの質問(今日の天気とか)には答えられませんが、Gemini Liveは答えられます。
あと、これは個人の好みの問題ですが、ChatGPTの声はみんな明るくて積極的な日本人離れした感じで私は苦手なんですが、Gemini Liveの方がまだおとなしそうで親しみが持てます。
Geminiのいいところは、答える前に必ず同意してくれるんです。例えば「雪見鍋を作ろうと思うんだけど、材料を教えて」と聞くと、まず「雪見鍋、いいですね~」とか言うんです。
でも、面白い話をするのはいまひとつ苦手なようです……。(ちなみにChatGPTの高度な音声は、それなりに面白い話をしてくれます。)
(▲これが面白い話……?)