暗号通貨取引所を運営するCrypto.comの子会社が昨年、ユーザーへの100豪ドル(約9500円)の送金処理を誤り、約1050万豪ドル(約10億円)を振り込む失態を演じていたことがわかりました。
Crypto.comは約7か月も誤送金に気づかず、2021年末の監査の際に指摘されてようやく事態に気づいたとのこと。しかし時すでに遅し、受け取った女性は一部を不動産購入などで使ってしまっていました。
裁判資料によれば、誤送金が発覚したのは2021年12月。送金処理を行ったのはCrypto.comの関連会社Foris GFS Australiaで、送金先はメルボルン在住の女性Thevamanogari Manivel氏でした。Foris GFSはお金の返還を求めて法的措置を講じ、2月にManivel氏の口座凍結命令を得ましたが、すでに大半は別の口座に移され、一部が消費されていたことがわかりました。
お金のゆくえをたどっていくと、まず1050万豪ドルのうち43万ドルがManivel氏の娘に送金されていることが判明、そして135万ドルがメルボルン市内の住宅購入に使用され、その所有権はManivel氏の妹であるThilagavathy Gangadory氏(マレーシア在住)に移されてていました。
こうした事実を受け、Crypto.comは3月にはManivel氏が資金を移した複数の銀行口座を凍結したものの、Crypto.comの弁護士によるManivel氏との面会やGangadory氏の口座凍結には成功してないとInsiderやFortuneなどが伝えています。
豪ビクトリア州の裁判所は、Crypto.comからの申立てについてManivel氏のやGangadory氏の明確な回答が得られないため、そのまま欠席裁判によって判決を下し、二人に(Gangadory氏の)不動産を売却して135万ドルをCrypto.comに返還し、さらに利息や諸経費約2万7400ドルを支払うように命じました。豪Seven Newsによれば、もしGangadory氏がこの物件の売却に応じなければ、売却を手配する管財人が任命される可能性があり、さらに命令を無視すれば法廷侮辱罪に問われる可能性もあるとのことです。
誤送金で個人に大金を振り込んでしまったというニュースは、少し前にわれわれの国でも聞いた気がしますが、間違って振り込んでしまい、すでに一部使われてしまったお金をすべて取り返す作業は、どこの国でも至難の業のようです。