英ロンドンの警察のサイバー犯罪捜査ユニットが、オックスフォードシャー在住の17歳の少年を逮捕したことが報じられています。
逮捕理由については警察からの公式発表はないものの、一部報道はこの少年が先日発生した、Uberの内部システムへの侵入や人気ゲーム『Grand Theft Auto』の次回作『GTA 6』の開発中のテストプレイ映像を大量に流出させた、teapotuberhackerを名乗るハッカーとみられると伝えています。
元Reutersの記者であるマシュー・キーズ氏がTwitterや自身のウェブサイトThe Deskで「情報筋からの話」として伝えたところでは、今回の逮捕はFBIと英国警察の共同捜査の一環とのこと。ただし、その日の午後に予定されていた逮捕に関する公式発表は延期されており、週明けになると見られています。
またBBCのサイバー犯罪専門の記者は、この件について報道規制が敷かれたことを明らかにし、法的許可が出るまではこの件について報道できなくなったと述べました。したがって今回の容疑者逮捕に関する続報は、英国警察またはFBIによる公式の発表を待つほかない状況となっています。
これまでの報道では、Uberや『GTA』開発元Rockstar Gamesに侵入したハッカーは、ハッキンググループ「Laspus$」に属するとされています。Laspus$は過去マイクロソフト、Cisco Systems、サムスン、NVIDIA、Oktaといった企業への侵入に関与したとされており、2021年に発生したブラジル保健省へのサイバー攻撃も関与したとみられています。一時は活動を停止したと言われていたものの、今月になって再び活動を活発化させ、そのさなかにUberとRockstar Gamesのハッキング被害も発生しました。
特に『GTA 6』のテストプレイ映像が90本もの大量流出をした件は、ゲーム業界における流出案件としては市場最大級のものだったと言われています。なかには以前にうわさされていたゲームのストーリー内容を裏付けるような動画も含まれており、Rockstar GamesはたまらずSNSなどにアップロードされた動画の削除申請。しかしこれが逆に、流出した動画が本物であると裏付ける格好になりました。
そして、Rockstarは何者かが「違法に」同社内にアクセスし、オンライン上にファイルを公開したことを確認したと発表。また動画のリークについては「非常に失望」しており、しかるべき時が来たら適切な形でゲームを紹介すると述べています。
なお、流出した動画の映像は開発初期のものが含まれていると言われており、テクスチャーが貼られていなかったり、キャラクターやオブジェクト自体がまだ配置されていない映像も多いようです。したがってゲームが実際に発売される頃には、流出した動画とはかなり違った印象になっている可能性も十分ありそうです。
ちなみに、警察は今年3月、Laspus$に関係するとされるWhiteまたはBreachbaseと名乗る16歳の少年をハッキング容疑で逮捕していました。この少年と今回逮捕された少年が同一人物なのではとの見方も一部ではうわさされています。