Twitter社が従業員に対しメールで解雇通知を送信しました。Twitter上では従業員らが解雇の報告ツイートをしている様子も見受けられます。
新CEOに就任したイーロン・マスク氏は、買収の直前に全従業員の75%を削減する計画が報じられると、「75%も削減したりはしない」と述べて社内の緊張をいったん緩和させていました。ただ、それでも多くの人が大幅な人員削減を予想しており、いまやそれが現実のものとなっています。
Twitter社は通知を送る直前の11月3日夜の時点で、混乱を避けるためとしてオフィスを閉鎖し、Slackや社内の各種システムへのアクセスを制限したため、社内では混乱が広がっています。
事前の報道では解雇は全社員の約半数に上る3700人との情報もありましたが、CNBCはTwitterが地方当局に送付した3通の書類から、カリフォルニア州だけで合計983人が解雇対象になったと報じました。
またマスク氏は、解雇対象にならなかった従業員に対しても、新型コロナのパンデミックを機に一般的になったリモートワークを終了するよう呼びかけており、出社して勤務するよう指示しました。これは、マスク氏がSpaceXやテスラで打ち出し実行してきたのと同じ方針です。
またこの方針は、パンデミック中にリモート勤務を条件に就業した従業員にも適用されるとのこと。こうした従業員たちはもともと移住できないか、リモート勤務を保証される条件で雇用されています。Twitter前CEOのパラグ・アグラワル氏は、従業員に対してそれぞれが最も快適かつ生産的な場所で働くことを推奨していました。
しかしAxiosによれば、こうした従業員に対してTwitterは即時の判断を求め、60日以内に出社が可能な地域へ移住するよう求めているとのこと。マスク氏は例外を認める場合もあると発言しているものの、基本的には、引き続きTwitterに務めたければなんとかして通勤しなければなりません。できない人が多ければ、全体の解雇人数は50%を超える可能性もありえます。
マスク氏がTwitterの買収を完了した直後に、アグラワル氏をはじめとする幹部は一掃されました。そしてマスク氏はテスラから数十人のエンジニアと数人の幹部クラスを呼び寄せてTwitterの従業員の評価に当たらせ、Twitterのコードに関してどれほど貢献しているかを評価基準として解雇対象のリストを決定したとされます。ひととおりの作業が完了した時点で、最高会計責任者(CAO)のロバート・カイデン氏も社を離れ、アグラワル体制での幹部取締役はもはや残っていません。
従業員の評価基準がコードへの貢献度だけというマスク氏の方針は、広報、マーケティング、販売、コミュニケーション、その他の非生産部門を必要最小限の人数に抑えようとするものです。ここ数年、広報部門を置いていないテスラの例もあり、マスク氏が同じような体制にTwitterを持っていこうとしているようにも思えます。
なお、これほど大規模な解雇を実行する状況であるにも関わらず、従業員は管理職指導職の立場にある人から、ひとつも正式な情報を与えられていないと、Washington Postは伝えています。こうした状況に対して、今回解雇された従業員のなかから5人が代表となって、解雇の事前通知期間を定めた法律に反した不当解雇であるとして、サンフランシスコ連邦裁判所で集団訴訟を起こしています。
人員削減による運営への影響も気になるところです。セキュリティやコンテンツモデレーションに関連する部門の削減は、今後問題になる可能性があります。米国では中間選挙がもうすぐやって来ますが、Twitterは今回の人員削減に伴い、コンテンツにおけるヘイト行為や争いを助長するような発言、フェイク情報などを検出し対応するキュレーションチームを解散させたと報じられています。
セキュリティおよびトラスト担当管理者のヨエル・ロス氏は、Twitterはモデレーションポリシーを変更しておらず自身の部門は(従業員の半分が解雇される中にあって)15%しか影響を受けていないと述べています。またヘイトスピーチもむしろ減っていると主張しています。
しかし第三者機関の調査では、マスク氏がCEOに就任して以降ヘイトスピーチや差別発言が大幅に増加したとの報告もあります。これからのTwitterがどうなっていくのか、気がかりなところです。