誰でも無審査で「認証済み」バッジが手に入る新Twitter Blue有料プランが始まった直後から、Twitterではいたずらや悪ふざけによる偽の「公式アカウント」が急増し、企業や著名人が注意喚起を呼びかけるなど対応に追われる事態となっています。
こうした状況のなか、Twitter は約2日前に開始したばかりの新Twitter Blue加入受付を停止しました。
Twitter「認証済みバッジ」本人確認なしで一般発売。買ったアカウントを区別する方法
Twitter Blueは一部の国で提供中の月額課金プラン。従来は月5ドルでしたが、Twitterの新CEOイーロン・マスクは料金を月8ドルに値上げし、本人確認なしで誰でも「認証済み」バッジが手に入る特典を追加しました。
将来的には広告の半減や、自分のツイートやリプライの優先表示といった特典も提供予定です。
Twitterはアプリ更新の通知で「あなたもセレブや企業や政治家と同じ青いチェックマークがつけられます」と売り込み、イーロン・マスクは「持てる者と持たざる者、貴族と平民のような仕組みはクソ」「民衆に力を」「(課金ユーザーの投稿を優先的に表示することが)スパムやBOT、詐欺と戦う唯一の方法」などと語っていました。
Twitter、月8ドルで認証マークの販売を開始「あなたもセレブや企業や政治家のように青いチェックマークが持てます」
一方で、従来は本人確認済みの「公式アカウント」の証だった認証済みバッジが、8ドル払ったアカウントすべてに与えられるようになれば、本物が見分けづらくなり詐欺やなりすましの温床になるのではとの懸念は当然ながら出てきます。
イーロン・マスクはこれに対して、紛らわしいアカウントは無警告で永久凍結など厳罰化の方針を掲げていました。
Twitter、なりすましや紛らわしいアカウントは警告なし即永久凍結へ。「認証マーク」一般販売へ対応
同時に、「認証済みバッジ」をタップすることで従来からの認証済みアカウントなのか、Twitter Blueに加入したことで「認証済み」になったのか区別できる仕組みも追加しています。
こうした抑止策を講じたうえでのサービス開始だったはずですが、しかし悪ふざけや凍結覚悟でなりすましアカウントを作るユーザーは多く、任天堂やコカ・コーラ、ロッキード・マーチン等々、大企業を含め無数の「名前が同じで認証済みバッジも付いている偽アカウント」が話題になる事態となっていました。
事後にでも凍結されるならば狙いどおり、健全に回っている証と言えないこともありませんが、広告を出稿している大企業、イメージが資産のブランドにしてみれば、一時であれ自社のファミリー向け看板キャラクターが中指を立てたり、公式アカウントを装って他社製品のほうが優れているとツイートしたり、経営状況に影響を与えるフェイクを流されれば、その時点で大きな損害が発生しているともいえます。
分かりやすい悪ふざけの場合はすぐに話題になり凍結ができるものの、もっと当たり障りのないツイートで良からぬサイトに誘導したり、ユーザー情報を盗もうとするアカウント、偽物ですと注意喚起する公式アカウントがいない場合などは、被害が発覚するまで分からないことも考えられます。
Twitterサポート公式は「なりすましと戦うため一部のアカウントに「公式」ラベルを付与しました」とツイートしています。
新 Twitter Blueの受付再開予定は不明。
イーロン・マスクはTwitterの今後について、これから数か月はたくさんの馬鹿げたことをする、上手くいったものは残しそうでなかったものは変えるとツイートして、積極的な試行錯誤により改善を進める意図を表明していました。
まずトライすることが大事、チャレンジすれば失敗から学んで良いプロダクトができる云々は確かに事実で、イーロン・マスクの企業でも実験失敗を恐れず爆発映像を大々的に公開して改良を続けた SpaceX などはその好例です。
とはいえTwitter は多くの生きたユーザーや企業、公的機関が日々利用しており、データ取りのために作られた無人ロケットとは若干事情が異なります。
イーロン・マスク的には振り回されてもついてゆくテスラドライバー程度の認識なのかもしれませんが、大手企業にとっては資産そのもののキャラクターやブランドイメージを「悪ふざけ」で毀損されたり、顧客が被害に遭いかねない状況では、広告出稿について再考する可能性もあります。
追記:大量解雇でも残っていたTwitterの最高プライバシー責任者・最高情報セキュリティ責任者・トラスト&セーフティ責任者が揃って辞任。