Twitterが、透明性に関する情報を更新し、新型コロナウイルスに関する誤情報を扱うポリシーの施行(enforcement)をしなくなったことが明らかになりました。
Twitter透明性センターの当該ページには「2022年11月23日をもって、Twitterは新型コロナウイルス(COVID-19)の誤解を招く情報に関するポリシーを施行しなくなった」と記されています。これは、Twitterが今後、新型コロナに関する誤解を招いたり、被害が出る恐れのある誤った対応策などの誤情報を削除したり、タグ付けしたりしなくなることを示しています。
新型コロナのパンデミック初期にはさまざまなデマが主にSNSを通じて拡散されました。極端な例としては、「ワクチンにはナノロボットやマイクロチップが含まれていて政府が人々を監視するのに利用される」だとか、「ワクチンを打つと身体が磁気を帯びて金属がくっつくようになる」、「ワクチンによって遺伝子が組み換えられる」といったうわさがあったのを覚えている人もいるでしょう。
こうした誤った情報に対処するため、Twitterは2020年1月から2022年9月までの間に、新型コロナウイルスの誤報ポリシーに違反したとして1万1000件のアカウントを停止し、約10万もの誤情報コンテンツを削除してきました。この成果はアメリカ公衆衛生局長ビベック・マーシー博士に称賛され、企業が誤情報と戦うための好例だと紹介されていました。
2021年1月に実施されたカイザー・ファミリー財団(KFF)による世論調査では、ワクチン接種を躊躇、または接種に反対している大人は、マスコミや医療機関などよりもSNSから情報を入手したと述べている割合が高いと報告されています。
一方、現在Twitterを率いているイーロン・マスク氏は、2020年4月の業績報告において、政府の新型コロナ政策に反対の意を唱え、感染防止対策として当時行われていたロックダウンを「強制的に自宅投獄するものであり、憲法で定められたあらゆる権利と、自由を誤った方法で侵害している」などと主張していました。マスク氏は自身の電気自動車メーカー、テスラにおいても、ロックダウンに逆らって工場を稼働させたりもしていました。
マスク氏はTwitterを買収して以降、プラットフォームにおける言論の自由を約束しており、今回の変更もそれがポリシー停止の理由と言えそうです。しかし、Twitterの主な収益源である広告主らは、マスク氏が言論の自由を掲げた結果、プラットフォーム上のヘイトスピーチや嫌がらせ行為、誤情報の増加を招いたとも報じられていることを懸念しており、アップルをはじめとする主要な広告主はTwitterへの支出を控えるようになっています。
ちなみにTwitterは、新型コロナの誤情報ポリシーの他にも、児童ポルノなど児童に対する性的虐待を含むコンテンツ取り締まってきた専門家チームを解体し、約20人以上いたメンバーを10人未満に削減したことが新たに報じられています。マスク氏は11月24日に「児童からの搾取をなくすことが最優先事項だ」とツイートし、対応が必要な問題を発見した場合は連絡するようユーザーに呼びかけていましたが、それよりも人を減らすことの方が優先事項だった模様です。