プレイステーション5独占の三人称視点シューティングゲーム、『Returnal』(リターナル)がPCでも遊べるようになります。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)によると、PC版『Returnal』は2023年の早い時期に発売予定。
具体的な発売日や価格などの商品情報、配信プラットフォーム等についてはまだ情報がありませんが、すでにPC版のスクリーンショットと、発表トレーラー映像を公開しています。
『Returnal』はPlayStation 5で2021年4月に発売されたローグライク三人称視点シューティングゲーム。開発はアーケードライクなアクションシューティングの老舗で、昨年ソニー傘下に入ったフィンランドのスタジオ Housemarque。
プラットフォーム移行の過渡期では、最新世代向けゲームは発表時に華々しく「Exclusive!」(独占)を謳ったり他プラットフォームへの言及を避けつつ、小さな注意書きでは「ゲーム機において」独占つまりPCとマルチであったり、それすら時限つきだったり、ゲーム自体がすでに発売された作品のリマスターであったりすることが多いなかで、『Returnal』は初期に完全なPS5独占として発売された数少ないゲームのひとつでした。
『Returnal』はジャンルとしては三人称視点のアクションシューティング x ローグライク、お話的にはSFホラー x サイコサスペンス。公式の紹介文は:
「姿を変え続ける謎の惑星“アトロポス”に墜落した宇宙飛行士セレーネ。脱出の方法を探すため、謎めいた廃墟の広がる荒地を探索していた彼女は、異形の敵に襲われ、命を落とし――なぜか墜落の瞬間に戻り、再び脱出の旅を始める運命となる」
開発したHousemarque は360度シューティングの『Stardust』シリーズや、PS4の初期に無料配布されていた円筒周回シューティング『Resogun』など、手触りにこだわった軽快なツインスティックシューターや2Dアクションを得意とするスタジオ。
スタジオとして初の3Dかつ大予算の大作として作られた『Returnal』ではアクションシューティングとしての基本がさらに洗練されており、高速に走り回って無敵ダッシュで弾幕をすり抜ける、敵に肉薄して必殺の近接攻撃で切り裂く、凶々しいトラップに満ちたプラットフォームをジャンプで抜ける、といった古典的アクションとしての楽しさは格別です。
ローグライクゲームとしてマップがプロシージャルに生成されること、中断セーブこそあるものの「チェックポイントからやり直し」がないため、毎回のランは一回性で新鮮。
計画どおりに行かないことがストレスではなくむしろ楽しみになるタイプのゲームで、順調だったランがわずかな偶然やミスから瓦解してゆくパニックや、不運のパーフェクトストームをなんとか切り抜けるのがもっとも楽しい瞬間です。
「死ぬと最初から」ゲームは賽の河原的徒労を感じることもありますが、『Returnal』は近年のローグライクゲームを大きく発展させた『HADES』のように、挑戦を繰り返すうち永続するアイテムや能力がアンロックされてゆき、プレーヤーの技量上昇だけに頼らず少しずつ先が見え、ゲームが進行する要素も取り入れています。
SFとゴシックホラーをかけ合わせた世界観と、少しずつ解き明かされる主人公の過去をめぐるストーリーも出色。
「はるか昔に滅んだ異星文明の遺跡」はSF的にありがちといえばありがちで、『Returnal』も革新的に新しいビジュアルを提示できているわけではありませんが、それでもPS5の機能をぜいたくに使った表現は美しく、独自のシェーダーや処理で実現した霧の表現など見るべきものもあります。
プレイステーションのゲームが遅れてSteamで発売される場合は価格も手頃になる傾向があるため、PS5を買うほどでもなかったけれどアクション好き、さっと遊べて歯ごたえある3Dシューター好きにはおすすめできる作品です。語弊を恐れずいえば、むしろSteamのほうが売れそうなゲームではあります。