Twitterは12月12日夜、サービスに対する安全性や製品開発についての助言をする「Trust & Safety協議会」を解散したことを明らかにしました。すでにヘルプページからTrust & Safety協議会に関するページは削除されています。
Trust & Safety協議会はこの日、Twitterの代表者と会合を開く予定でしたが、その予定時刻の1時間ほど前に、Twitterは協議会メンバーに共有したメールのなかで「製品およびポリシー開発において外部からの見識を取り入れる最善の方法を再検討している。このプロセスの一環で、Trust & Safety協議会は、その役割を果たすのに最適な組織ではないと判断した」として、協議会の解散を伝えたとのこと。
Trust & Safety協議会はTwitterが2016年に設置した、約100もの個人や人権団体などからなる諮問グループ。協議会はプラットフォーム上での安全、人権とデジタル権から自殺防止対策、メンタルヘルス、児童に対する性的搾取、人間性の喪失などの問題について助言する役割を担うと説明されていました。
なお、協議会の役割はあくまで助言であり、意思決定や何かを実行する権限はありません。またこの協議会は、マスク氏がTwitter買収の前後に設置すると述べていた「コンテンツモデレーション評議会」とは関係ありません。
先週、この協議会から3人のメンバーが離脱を表明しました。メンバーのひとりは「若者のオンラインリスクに関する調査を追ってきた経験から、(Twitterのような)プラットフォームが、若いユーザーの保護と参加そしてプライバシーの権利を同時に尊重し、正しい方向に持っていくことがいかに難しいかを知っている」「しかし調査によると、Twitterは(これまでの取り組みとは)逆の方向に進んでいる」と指摘し「マスク氏は彼が言う「表現の自由」のように、デジタルの安全性をも定義することが許されるのだろうか?私たちの答えは、断固として"NO"だ」と述べています。
しかしこの批判はすぐにマスク氏の目に留まり、マスク氏は「協議会は何年もの間、児童搾取に対して行動を起こすことを拒否した。これはまさしく犯罪だ!」とツイート。これについて、マスク氏の発言が誤りだと指摘するツイートや、マスク氏に同調し評議会を批判するツイートがリプライに入り乱れる格好になりました。ちなみに、離脱を表明したメンバーのひとりEirliani Abdul Rahman氏は、協議会で児童の性的搾取の防止に取り組んでいた人物です。
週明けの月曜日、協議会のメンバーはTwitterを率いる人物による誤った告発が「現在だけでなく過去の評議会メンバーまでも危険に晒している」とTwitter宛てのメールに記し、会社が協議会の役割を正しく伝えるよう求めたとAPは報じています。
2016年に協議会の設置に携わった元Twitter従業員、パトリシア・カルテス氏はAPに対し、Trust & Safety協議会の解散は「チェックと、バランスを取る仕組みがなくなることを意味する」と述べました。
そして協議会はマスク氏が最近よく行なっている、何かを決める際に自身のフォロワーのからの意見を調査するやり方とは対照的なものだったとし、「彼は専門家の意見をあまり重視していない」と述べています。
一方、Twitterは協議会の解散を伝えるメールのなかで「Twitterを安全で有益な場所とするための取り組みは、いまだかつてないほど迅速かつ積極的に進められている。今後も目標達成のための外部からのアイデアは引き続き歓迎する」としています。