イーロン・マスク「TwitterのCEO辞めたほうがいいかな?」とツイッター投票募る。結果に従うと公言

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Ittousai

Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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Twitterを買収し豪腕で変革を進める実業家イーロン・マスクが「自分はTwitterの最高責任者から降りたほうが良いか」を問うツイッター投票を投稿しました。「結果には従う」とまで付言しています。

イーロン・マスクはTwitterの買収を言い出す以前から、頻繁にツイートして一般ユーザーへもリプライするヘビーユーザーでした。

買収を言い出したきっかけは、当時のツイッター経営陣がヘイトスピーチや「他ユーザーの安全を脅かす」等の理由でユーザーを凍結していたことに対して、言論の自由を尊重していない、私ならばどのような意見でも(明確な殺害予告等でないかぎり)削除せず、自由に言論を戦わせるプラットフォームとして蘇らせるといった発言でした。

その後「Twitter経営陣は不都合な情報を隠していたので買収契約は無効」、提示した価格が高すぎるなどと主張し、買収の不履行をめぐって裁判になったものの認められず、結果的に生まれたのが現在のマスク体制ツイッターです。


このような経緯のため、イーロン・マスクは買収前から批判的だった旧Twitter経営陣や体制について、裁判や買収を経てますます敵対的になり、偏向した旧Twitter経営陣を追放した解放者としての自分、かれの言う「文化戦争」の最前線としてのツイッター、不透明で恣意的な決定にかわりオープンな「民の声」で決まるプラットフォームを主張してきました。

もちろん、何を「民の声」として投票にかけるか、どんな選択肢を用意するか自体をイーロン・マスクが決めるため、本当の意味でユーザーの声で経営方針を決定してきたわけではありません。

それでもトランプ前大統領のアカウントを凍結解除するか、公開情報に基づきイーロン・マスクのプライベートジェットの発着情報を伝えるアカウントについて報道した記者の凍結をいつ解除するか等、頻繁にツイッター世論調査を実施し、「民の声は神の声」と結果どおりにしてきました。

今回の「Twitterの最高責任者を降りるべきか」も、そうした流れから出た発言です。

結果が出るのは日本時間で2022年12月19日夜。結果により具体的にどのような行動をとるのかは分かっていません。

なおTwitterのCEO職については、就任以前から一定期間務めたのち誰かに譲ると発言していました。もとからこのタイミングで辞めるつもりだった、あるいは辞めたくなったので「民の声」で勇退したかたちにするための投票という見方もありますが、当人は「Twitterを存続させられる人材は誰もこの仕事をやりたがらない。後継者はいない」とツイートしています。

余談ながら、イーロン・マスクは就任直後の大量解雇など何度かの人員整理を繰り返したのち、残る社員に対して「超ハードコア」な労働環境を受け入れる者のみがTwitterにふさわしい、不服なものは3か月分の手当を与えるので退職せよ、その選択肢を捨てて新体制に従うものは返信せよと呼びかけていたことで話題になりました。

州や米連邦の労働法に従う限り、合意のもとに結ぶ労働契約であればそれ自体としては問題ありませんが、しかし「受け入れてイーロン・マスクについてゆく」と回答した社員であっても直後に解雇し、しかも二択で提示した「3か月分の手当てを受け取って辞める」権利は放棄したのだからと、退職手当をさらに削って1か月分にした超ハードコアにケチくさい話はあまり知られていません。常に自分の設定した選択肢で相手に「選ばせる」のは得意技です。


こうしたTwitterの運営状況を目の当たりにしたユーザーが他社のソーシャルプラットフォームに登録したり、他のサービスではこのアカウントでとフォロワーに伝える例が増えたことに対して、インスタグラムやFacebook等へのリンク投稿やユーザー名書き込みを禁止するルールを「民の声」投票なしで追加するなど、「いくらなんでも」という露骨な動きも増えてきました。

今回も「辞めるべき」に投票したユーザー名を集めることが目的なのでは?言論の自由がない国で疑心暗鬼に駆られた独裁者がやる選挙のテンプレムーブでは?という反響はさすがに邪推と思いたいところですが、もはや予測の及ぶ範囲を軽々と超えてくるのが現在のツイッターです。


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《Ittousai》
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