TwitterのCEOイーロン・マスク氏は先日、公開情報に基づきプライベートジェット機の発着情報をツイートするアカウント ElonJet を凍結したさい、理由として(イーロンジェットのせいで) 家族の乗った車がストーカーに追跡されたと主張し、その犯人だという人物と自動車のナンバーを撮影した動画をツイートして特定を呼びかけていました。
しかしカリフォルニア・サウスパサデナ警察の発表によると、マスク氏のセキュリティチームと思われる人物から突然ストーカーであると犯人扱いされ、暴行を受けたという男性が被害を訴え出ています。
このストーカー事件は、マスク氏の家族の乗る車が「クレイジーなストーカー」に追いかけ回され、停車させられたうえにボンネットに飛び乗られたとマスク氏が主張したことで、世間の知るところとなりました。
マスク氏はこの問題に対して、マスク氏の自家用ジェットの位置を定期的にツイートする@ElonJetアカウントを凍結し、それを運営していたジャック・スウィーニー氏、さらにそのできごとを報じたジャーナリストらのTwitterアカウントまでも次々と凍結する対応をとりました。
またマスク氏は後に「クレイジーなストーカー」だという、顔の下半分を覆った人物が映る動画を、そのクルマのナンバーとともにTwitterに投稿、フォロワーに「この人物とクルマに見覚えのある人はいるか?」と特定を呼びかけています。
この動画については、Uber Eatsのドライバーとして働くブランドン・コラードという人物が自分こそ撮影された人物だと名乗り出ており、Washington Post紙がインタビューを公開しました。
マスク氏の公開した動画では「ストーカー」のほうも撮影者にスマホを向けており、お互いが証拠を残そうと動画を撮りあっていた様子が映っています。
インタビューによると、Washington Post紙はコラード氏が提示した動画を確認して、このときに撮られた「ストーカー」目線の動画のようだと判断しています。コラード氏の動画にはマスク氏本人ではなく、マスク氏のセキュリティチームのメンバーとされる人物が映っていたとのことです。
インタビューに答えたコラード氏の発言は、マスク氏の子供の母親であるアーティストのグライムスが、Instagram投稿を通じて自分に暗号メッセージを送ってきたなど、かなり奇妙な内容でした。
一方、警察による新たな発表は、このコラード氏とはまったく別の人物からの「自動車などの致命的武器による暴行」を受けたとの訴えについての内容です。
今回のストーカー問題が発生した12月13日に男性から通報が入り、警察が現地に到着すると、被害者だというコネチカット州の29歳の男性が「ロサンゼルスのフリーウェイ110号線から降りてパーキングに電話を掛けるために停車したところ、見知らぬクルマに進路を塞がれた」と訴えたとのことです。
通報した男性によると、進路を塞いだクルマからはドライバーの男が降りてきて「フリーウェイで後を追いかけてきただろう(お前はストーカーだろう)」と被害者男性を非難しました。口論の最中、双方は互いに動画を撮影していたとされます。そして容疑者の男は被害者を非難したあと、パーキングを出ていく際に、クルマを男性にぶつけて走り去ったとのこと。
被害を訴えた男性は、この進路を妨害しストーカー扱いしたのち立ち去った男(容疑者)が何者なのかまったく認識していなかったものの、警察ではマスク氏のセキュリティチームのメンバーであると考えてます。
警察はこの件について、マスク氏およびセキュリティチームから供述を得るための手続きを進めているとしました。
こうなると最初に私がストーカーです、と名乗り出たコラード氏は何だったのかと思えるところですが、もしかするとこの夜は、マスク氏のセキュリティチームがストーカーを捕らえようとするなかで、別々の人物に疑いをかけ追跡し、逃げられないよう進路を塞いで「お前が犯人だろう」と迫ったり動画を撮影していたのかもしれません。このあたりは今後の調べで整理され明らかになるのを待ちたいところです。
ちなみに、今回のストーカー案件のそもそもの発端になったとマスク氏が主張する、@ElonJet運営者のジャック・スウィーニー氏は、日曜日の時点でどこからも訴えられていないとのことです。