2022年良かったもの四選+1。メガネ二本とゲーム機二台とヘッドセット (Ittousai)

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Ittousai

Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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2022年振り返りネタ、書きかけて放置したまま永久に Vampire Survivors で遊んだり年末催事に出たりしてましたが、2022年のうちに慌てて掲載します。スマートフォンやノート、スマートウォッチも当たり年でしたが、ここでは2022年を象徴するようなもの、新たな定番になりそうなもの優先。プラス、買ってみたら意外と良かったけれど全然話を聞かないゲーム機一台。

Nreal Air / Huawei Eyewear

今年は会う人会う人に片っ端からこのメガネ2種を薦めていた気がします。Nreal Air はサングラス型のモニタ、Eyewear はBluetoothメガネ。

どちらもコンセプトとしては自明で製品化の例も古く、競合も多々あるなかで、さまざまな条件から他とは一段も二段も違う、「普通に進められる」高いハードルをクリアした感があります。


Nreal Air でいえば、もっとも大きいのは高精細で明るくモニタとしての実用性を満たすこと、4万円台と手頃なこと。

そのほかサングラスとして持ち運べる可搬性、USB-Cケーブル一本で接続できる汎用性等々。逆にいえばUSB-Cで映像出力するスマホやPCが一般的になった環境も含めて、実用的なタイミングで出たことも大きい。

ケーブルがどうにも邪魔、光学系の都合もありサングラスとして実用は厳しい、視野角も狭い等々、いくらでも進歩改善の余地はあるものの、総合的に実用初号機として発展するのが楽しみな製品です。

Nrealの中の人によると、今後はカメラを載せてARを追求するモデルも、手軽なモバイルモニタとして欲しがる需要も満足させるラインナップを用意しているとのこと。

Huawei Eyewear のほうは、ファーウェイのエンジニアリング力の高さ、オーディオ製品の優秀さはいくら強調しても足りない一方で、「サングラスじゃなくてちゃんとしたメガネ」だったことがおそらく最大の要因。


ソフトバンク孫さんが着けていた OAKLEY O ROKRの昔からオーディオグラス、Blueoothサングラスは当たり前のようにあり、ファーウェイのEyewearも前モデルはサングラス志向でしたが、現行の Eyewear はメガネとして目立たず普段遣いできることが最大の利点。しかも日本中にあるメガネ屋OWNDAYSで、その場で安く簡単にレンズが作れます。

「普通のメガネ」であることは売れた理由、あるいは売れない理由を解消した点ではありますが、耳から離れたスリットから音が出ているにもかかわらず嘘のように聞き取りやすいこと、指向性が高く音漏れが少ないこと、音楽もジャンルを選べばBGM程度に聴く用途にも使えること等、ビデオ会議で実用的なマイクなど、オーディオ製品として極めて高度である点もあわせて、初めて両輪が揃い人気製品になった例です。

こちらも、メガネというファッションアイテムなのにわずか数種類の選択肢で満足するような人しか対象にしていない、快適すぎて常時着けてしまうのでバッテリーがまだ短い、不安定な専用充電ケーブル等々、まだまだ改善点はいくらもあるものの、初めて普通のメガネの上位互換というスタートラインに立った意味で画期的といえます。


Steam Deck

いわずもがな。PCのCPU/GPUが高性能化・高効率化・小型化するなかで現れた「ゲーミングUMPC」のSteam版。

日本国内では年末にようやく出荷されましたが、昨年発表で今年の頭から米国等では出回っていたため、中身の世代としては微妙に古め。とはいえ軽いゲームならば何の問題もなく、いわゆるAAAの大作でも多くは30fps~程度でしっかり遊べます。

他社のいわゆるゲーミングUMPCにはもっと新しい世代のAPUを載せていたり、Steam Deck の1280 x 800では文字が読みづらいゲームも快適な高解像度だったり、ディスプレイの表示品質が高いもの、もっとコンパクトなもの等々がありますが、 Steam Deck はコストパフォーマンス、大きなトラックパッドを左右に配した操作系の快適さ、SteamOSのシンプルさ、ソフトとハード両面のゲーム最適化等々が魅力。

デカいこともありあまり持ち歩きはしなくなり、かと言って自宅ならばゲーミングPCを使えば良く、重いゲームはファンがうるさくバッテリーもすぐなくなりますが、Steamのライブラリが Nintendo Switchなみの堕落した姿勢でどこでも遊べるのは決定的に大きく、PCゲームを遊ぶ時間が増えた一年でした。

(買った人向けTIP。大して重くないゲームのはずなのにバッテリーがすぐ死んでしまう場合、メニュー(...)で現れる本体のクイック設定から、消費電力(TDP)自体を制限してしまうと長持ちします。特にゲーム側に設定がないような場合に便利。)

当初はゲーミングPC持ちのユーザー、Windowsに慣れたユーザーを中心に、手元のSteamゲームライブラリが出先でも、寝転がっても遊べるサブ機として売れるはずですが、いずれ環境が整えば「ゲーム配信で見たあのSteam PCゲームが遊べて安い、デスクトップより場所を取らない」といった理由で、初めてのPCが Steam Deck という世代も現れる予感があります。

SteelSeries Arctis Nova Pro Wireless X / Nova 7X Wireless


2022年はド定番ゲーミングヘッドセットのArctis が新世代の Arctis Novaになった年でもありました。

ゲーミングヘッドセットはある意味で枯れた分野で、特に競技シーンでも使われる製品は、どんなゲームにも対応できる素直で解像感の高いオーディオと、感度が良く調整が容易なマイク、チャットまわりの操作感さえ確立していれば、さほど新技術への対応に追われたり、すぐ陳腐化するものでもありません。

……とはいいながら、便利と快適を求めるならアレもコレもと欲しい機能が増えてしまうのも事実。たとえばNova世代になる前からArctisの上位モデルが載せていたデュアルワイヤレスは、ゲーミングオーディオに没入しつつBluetoothでスマホアプリの音も聴けチャットもできる便利さで、各社の高級ゲーミングヘッドセットが競って導入する機能になりました。

Arctis Nova Pro Wireless はさらに、ゲーミングなのにアクティブノイズキャンセリングまで載せた製品。ベースステーションにPCとゲーム機など2系統を接続しておき切り替えられる汎用性も、NovaがつかないArctis Pro Wirelessから引き継いだ点です。

試す前は、公共交通機関や街なかで使うわけでもないのにANC要る??という印象でしたが、いざ使ってみると、ゲーム中では静寂な場面なのに空調や近くの雑音が貫通して気分を削がれることがなくなり快適(特にゲーミングノートのファン音)。競技シーンでは、会場の騒音で物音が聞き取りづらいような状況で強みになるはずです。

正直、最上位の Nova Pro Wireless は誰もが気楽に買うような価格でもなく、据え置きのベースステーションはディスプレイが便利であっても持ち歩き向きではないため、現実的にはもう少し手を出しやすい Nova 7 Wirelessあたりが売れ線になりそうですが、据え置きでPCやゲーム機を複数使っているゲーマーなら、価格相応以上のQoL改善が見込めるはず。

(なお国内向け正式販売で Xbox に対応するのはこの最上位 Arctis Nova Pro Wirelessの、アマゾン専売のXモデルのみ。

Xboxユーザーは選択肢が少なく悩みどころですが、Xboxにとってはそもそも選択肢があること自体が数年前より劇的に改善しているという話もあります。SteelSeriesにとってはこれが売れるかどうかで今後も Xbox製品を出すかどうかを決めるベンチマークという側面も)


番外・ Logitech G Cloud

ロジが海外で売っているクラウドゲーム専用機。またはゲームコントローラと一体化したミッドレンジ7インチタブレット。発表時はコンセプトのユニークさからほんのり話題になったものの、発売後は本国ですら空気感の漂う、なんとも影の薄い存在です。


ロジは周辺機器分野ではもちろん、最近はゲーミングでも大正義の大手メーカーにもかかわらず、思い出した頃に変な商品を出して爆死したり光速で忘却されたりしがちというお茶目な側面のある会社ですが、G Cloudも若干その例になりそうな雰囲気がないではありません。(逆にいえば、安定した大手であるからこそ新奇なコンセプトにチャレンジする余裕があるのかもしれませんが。)

それはそれとして G Cloud、実際に使ってみると、額面どおりのクラウドゲームまたはリモートプレイ端末として実に快適です。

「手持ちサイズに縮めたPC」であるところの Steam Deck やゲーミングUMPCと異なり、ファンが高音ノイズを立てることもバッテリーがすぐ死ぬこともなく、スマホやタブレットの感覚で気軽に使えます。Steam Deck 比では圧倒的に軽く持ちやすいのも良し。

クラウドゲームはお住まいの場所やネットワーク環境でプレイアブルなゲームが決まってしまう側面がありますが、Steam や Xbox のリモートプレイならローカル環境で飛ばすだけなので、宅内の電波環境やルータさえまともなら、遅延が大きく響くゲーム以外はカジュアルに遊べます。

たとえるならば、Nintendo Switchが Steam や Xboxのリモートプレイ、GeForce Now や Xbox Game Passのクラウドに対応した感覚。 (サードパーティアプリを導入すればPS5 / PS4でも)。インターフェースもばっちり日本語に対応しています。

クラウドゲームやリモートプレイ端末としては完成度が高く、ニッチとして淡々と売れる可能性もある一方、本国であまりにも売れなければ、クラウドゲームが普及しているとはいいづらい日本で展開しないまま、ひっそりと消えてゆく可能性もあります。G Cloudは公式で大幅値下げされたり、米国でセールされていたら確保すべきという意味で要注目です。

《Ittousai》
Ittousai

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