ARグラス / メガネ型ディスプレイの Nreal Air が、3D動画ファイル再生機能への対応を予告しました。
2023年1月予定のアップデートではNreal Air本体をステレオ3Dモードと2Dモードに切り替えられるようになり、サイド・バイ・サイド形式のステレオ3D動画ファイルを立体視で視聴可能になります。
Nreal Air は約79gのサングラス型で、着用すれば「4m先に130インチ相当」の画面が浮かんで見えるARグラス。USB-CケーブルでスマートフォンやPCに接続して使います。
一応「ARグラス」を名乗るものの、先に発売された上位モデル Nreal Light と異なりカメラなど外向きのセンサは搭載しないため、現実のモノや地形を認識して重ね合わせる意味の拡張現実的な機能は限定的。
一方で、ピクセルまでくっきり見えるフルHDの解像度と、Nreal Lightより鮮やかに明るくなった表示品質、スマホだけでなくさまざまな機器に接続できる汎用性から「メガネ型ディスプレイ」「ポケットに入る大画面モバイルディスプレイ」として便利な製品です。
VLCで3840 x 1080 Side by Side 動画を再生
日本Nreal が12月7日に都内のイベントで発表した3D動画再生機能は、左右の目に別々の映像を映し視差効果で立体的に見せるステレオ立体視に Nreal Air のハードウェア・ソフトウェアが対応する内容。
すでに本国中国ではベータ版ファームウェアを通じて試験的に提供されており、現時点では3840 x 1080 (フルHDを左右に2枚換算)のサイド・バイ・サイド形式ステレオ3D動画ファイルの再生に対応します。
プレーヤーとして当初対応するのはモバイル版の汎用動画再生アプリ VLC。Nreal Air 本体の「輝度+」ボタンを長押しすることで、ステレオ3Dモードと2Dモードを切り替えられるようになります。
Nrealでは今後ネイティブを含む他プレーヤーへの対応やフォーマットのサポートを拡大してゆく計画です。
迫力はさておき高精細は活きる3D動画
実際に試したところ、短時間のサンプル動画だったためか、おお!鮮やか!見やすい!たしかに立体……かな?といった感覚(「体験」部分終了)。ただしこれはNreal Airの性能というより、元ファイルの奥行き表現に依存します。
Nreal Airのハードウェア的な特性でいえば、比較的視野が狭く(約46度)、フルHDのピクセルが詰まって高精細に見える点があります。
これはモニタとして見た場合、視線を大きく動かさなくても一覧しやすく、文字などが読みやすい利点になりますが、Nrealが120インチ!とアピールするほど大画面ではなく(※4m先換算)、視界を覆う迫力はありません。
一方、比較的視野の広い Oculus Quest 2などで立体映画を見ると、映画のスクリーンとして迫力がある程度の視野角ではまだ解像度が足りず、作品本来の表現より甘く粗く見えて没入感を損なったり、アーティファクトが目につくことがあります(アーティファクトは圧縮由来でも強く出るため、エンコードやビットレートしだいですが)。
ともあれ、Nreal Airのステレオ3Dモード対応は3D動画の再生環境が増えるという意味で良いニュース。Nrealの特性に最適化したコンテンツや、対応フォーマットの拡大、Nebulaアプリを通じたアクセスなど、今後が楽しみなアップデートです。