現在使っているM1 iMacとM2 MacBook Airにはストレージがキツキツなの以外は不満がなかったので、新しいMacを買うつもりはまったくありませんでした。それでも買ってしまったのです。Mac miniを。
では、なぜM4 Mac miniを買ったのか。どのモデルにしたのか、思考の変遷をたどりながら書いていきます。
■M1 Mac miniが動かなくなった
我が家には3台のApple Silicon Macがあります。最初に買ったのはMac mini。ほとんど最小構成でしたが、内蔵SSDが死んでしまい、外部ストレージから起動するようにして延命させていたのですが、macOSをSequoiaにしたらそれ以降起動しなくなりました。
次に買ったのは、M1 iMac。これが現在のメインマシンで、この原稿も書いています。メモリは16GB、ストレージは2TBにしているのですが、特に不満はありません。
モバイル用途には、M2 MacBook Airを使っています。スピード的にはこれが一番速いのですが、画面の広さでiMacを使ってしまいます。
現在、Mac miniを置いている寝室には、代わりにMacBook Airをセットし、外部ディスプレイやドングル経由でイーサネットやMIDIキーボード、オーディオインタフェースもつないで、完璧なセカンダリーPC環境を構築しています。
そんなタイミングで新しいMac miniが登場しました。まず考えたのは、M1 Mac miniの置き換えですが、既にMacBook Airをセットしているので、絶対に必要というわけではありません。
もう一つ考えた理由は、LLMなどメモリを大量に要求するAIソフトをローカルで動かすために、ユニファイドメモリをマシマシの64GBにしたやつ。ただ、これもAI用途だと中途半端なので、Mac Studioを待った方がいいのかなと、今ひとつ決定打になりません。そもそも高いし。64GBで2TBにすると、42万8800円。
そこでもう一つ考えを巡らせました。
「エントリーモデルなら、4分の1以下じゃん! これはお買い得なのでは?」
そこで、Last Straw。最後の一押しになったのは、670グラムという軽さです。
つまり、Mac miniは最軽量Mac。それが9万4800円で買える! しかも、我が家では最速マシン。
とりあえずポチりました。
■最軽量Macを本当に最軽量Macとして使うために
ただ、これを固定マシンとして使っていたら軽量もクソもありません。
持ち歩かないと。しかし、ここで、一つのシバリが生まれました。
「できるだけ軽くしたい。どこまで軽くできるかやってみたい!」
ターゲットは2つ。M4 MacBook Pro(1550グラム)とM3 MacBook Air(1240グラム)。こいつらには負けたくない!
では、モバイルMacとして使うために、670グラムの本体以外の部分を削っていくことにします。
あ、この際、モバイルといっても電源があるところでしか使わないので、バッテリーは考慮しません。
本体以外で必要になるのは、モバイルディスプレイ、キーボード、ポインティングデバイス。これらが揃っていればOK。
本当は、キーボードはMagic Keyboard、ポインティングデバイスはMagic Trackpadが最高なのですが、なにせどちらも重いし高い。
Appleシリコン搭載Macモデル用Touch ID搭載Magic Keyboard - 日本語(JIS)、Magic Trackpadはいずれも2万1800円。合わせたら4万3600円。重さは243グラムと230グラム。
670 + 243 + 230 = 1143
100グラムのモバイルディスプレイとかはなさそうなので、純正は諦めざるを得ません。
■最軽量キーボードを求めて
それでは最軽量の旅に出ます。Amazonで「軽量キーボード」を検索してみました。調べてわかったのは、Magic Keyboardの243グラムはけっこう軽かったということ。とりあえずの目標は200グラムですが、これはAnkerの「ウルトラスリムBluetoothワイヤレスキーボード」がありました。以前買ったもので、サイズ感はMagic Keyboardっぽいけど、軽い印象。これがちょうど200グラムです。
¥2,000
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
これより軽量なものだと、iPhone、Androidなどモバイル専用のものがあるので、Macでも動作する検索オプションを入れないといけません。
そうして見つけたのがVOKTEKGYというメーカーの2つ折りBluetoothキーボード。重量は157グラム。だいぶ軽くなりました。iPhoneのキーボードとして使えるので、常時バッグに入れておいても良さそうです。価格も1799円とお手頃。
現在のところ、この157グラムが最軽量です。
■トラックパッドかマウスか
トラックパッドはMagic Trackpadが230グラム。ここはできるだけ削りたいところ。サンワダイレクトの「400-MABT128」くらいでしょうか。これでも170グラムで6980円。
¥6,980
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
一方、マウスだと60グラムくらいのものがいくつか見つかりました。
しかし、USB Type-Aドングルのついたものが多く、Bluetoothで接続するものは意外に少ないです。
そんな中、ピックアップしたのはエレコムの「Slint M-TM10BBBU/EC」。乾電池含む重量が67グラムです。価格は1430円。
もっと軽いのはありそうですが、とりあえずこれで。
■モバイルディスプレイは悩みどころ
モバイルディスプレイはいくつか持っていて、ありものを使えばいいんですが、さらに軽量にしてみたいという欲が出てきまして……。
15.6インチは710グラム、12.3インチウルトラワイドは950グラムと、軽量とは言い難い製品です。
ここは軽さを重視して、10.5インチに抑えました。その代わり、256グラムの軽さ(スタンドは除外)。価格は1万3999円ですが、5000円のクーポンが適用できたので8999円。悪くない。10.5インチだと狭く感じますが、今も現役で使っている10.5インチiPad Proと同じサイズだと思えばなんとかいける気がします。
これらの組み合わせにすると、合計1150グラム。M4 MacBook Proにも、M3 MacBook Airにも勝てます。
つまり、M4 Mac最軽量モバイルセットの価格は10万7028円ということになります。
現行製品の中では最軽量となったわけですが、実はちょっと時代を遡るともっと軽いモバイルMacはあったわけです。
■真の最軽量Macは?
それは、MacBook。いわゆる12インチMacBookです。920グラム。どう頑張っても、M4 Mac miniモバイル仕様には達成できない数値。
メルカリで価格を調べると、3万円くらいで入手可能です。ちょっと欲しくなったのですが、そこで自制心が働きました。
うちにはMacBookが2台あるのです。2016年モデルと2017年モデルが。初代モデルはバッテリーが死んでいるため、買い足したのが2017年モデル。
これは、妻の歌声を作成するソフト「UTAU-Synth」が古いmacOSでしか動作しないため、バージョンを固定して使っていたのです。今ではAIベースに移行し、UTAU-Synthも現行OSに対応したので、不要となっています。
OSとしては先代macOSのCatalinaまで。でも、ちゃんと動いています。
(▲筆者所有の12インチMacBook USキーボード)
今のMacユーザーにとってはこの12インチMacBookはオーパーツ的なものに見えますが、Windowsに目を向けてみれば、すごいのがゾロゾロいますね。634グラムで14インチディスプレイの「FMV Zero」とか。
■キーボード+トラックパッド一体型という選択肢
このFMV Zeroのキーボード+トラックパッドを抜き出したような製品、「LIFEBOOK UH Keyboard」がありました。Macにも対応し、350グラム。2年前の製品であり、今は販売されていないのですが、こういうのが他にあれば……。
トラックパッド一体型キーボードは、iPadのMagic KeyboardやKeyboard Folioを代替する製品としてたくさん出ているのですが、ほとんどがiPadOSまたはiOS専用で、macOS対応を見つけることができません。
そもそも、iPad用純正キーボード+トラックパッドがMacで使えればいいのではないでしょうか。
そんな中、折りたたみタイプのキーボードでトラックパッドが付属したものを見つけました。WejaGOというメーカー製で、3つ折りにできて、その右端に大きめのトラックパッドが用意されています。重量は書いていませんが、同型の他社製品を見ると、222グラム。これならば、重量をさらに2グラム減らすことができます。こちらもオーダーしました。
もう一つ気になっているのが、MOKIBOという製品。見た目はただのモバイルキーボードなのですが、キーボードの全面をトラックパッドがわりに使えるという変わり種です。重さは263グラムと、WejaGOより40グラム重いのですが、そのコンパクトさには惹かれます。その発想からして、操作性が良いとは思えないのですが、まずは試してみようと思います。1万5400円で購入しましたが、現在品切れ中。
ここまでの時点で、最軽量の組み合わせは、M4 Mac mini (670グラム)+ WejaGO Bluetooth Keyboard & Trackpad(222グラム) + 10.5"モバイルモニター(256グラム)の合計1148グラム。
■スマートグラスならさらに軽量に?
やはり、ディスプレイの重さが効いてきます。これをさらに減らせるでしょうか? 例えば7インチディスプレイとかにすればさらに軽くはなりますが、さすがに老眼には厳しいものがあります。
そこで、眼鏡型ディスプレイの登場です。筆者は2022年にNreal Airを購入し、オプションの視力補正レンズもつけて使っていました。後にXREAL Airと改名されたその製品は、現在では第2世代と上位バージョンが出ています。XREAL Air 2 Proは77グラム。Air 2は72グラム。
¥61,980
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
筆者はもう1台、眼鏡型ディスプレイを所有しています。2022年にGREENFUNDINGがクラウドファンディングを成功させた「GRAWOOW(グラウー)」という製品。こちらは69グラムとさらに軽量。
現在も、いくつかのオンラインストアで購入できます。価格は6万円を切るくらい。
これをM2 MacBook Airに接続して試してみたところ、ちゃんと動作しました。M4 Mac miniでも動くはずです。
(▲眼鏡型ディスプレイはM2 MacBook Airに接続し、表示できた)
同様に、眼鏡型ディスプレイのVITURE Oneなども動作すると思います。
M4 Mac mini (670グラム)+ WejaGO Bluetooth Keyboard & Trackpad(222グラム) + GRAWOOW(69グラム)ならば合計961グラム。
あと41グラム……。これでも12インチMacBookには勝てませんでしたが、肉薄することはできました。
961グラムが筆者が到達できそうな、軽量Mac究極セットです。
どなたか、これを超えるモバイル(?)Macを作ることができたらぜひお知らせください。180グラムを切るキーボード+トラックパッドがあれば、実現できるかも。
さて、筆者はどうがんばっても7年前のMacBookに勝てないことがわかりましたが、新しいMac miniはM4プロセッサというパワーを持っているわけなので、それにさまざまなキーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイを組み合わせられるのは大いに可能性を感じるところです。
例えば、テクノエッジ編集部の拠点である技研ベースのように、ディスプレイやキーボードが用意されているシェアオフィスであれば、Mac miniだけ持ち込んで仕事することはできるでしょうし、ACアダプターが使える新幹線での長旅で執筆しながらならば、しっかりしたキーボードと眼鏡型ディスプレイという組み合わせも良さそうです。
今回は選択肢から外しましたが、Vision Proとの組み合わせももちろん、アリです。ただ、バッテリーと組み合わせると1kg近くになるし、高価なものなので持ち歩くのが怖く、筆者の場合はモバイル用途に使うことはなさそうです。