Twitter がサードパーティ製クライアントアプリやサービスの全面禁止を開発者向けルールに追加しました。
1月19日付けで改訂された開発者契約では、Twitter APIやコンテンツ利用時の制限として「公式Twitterアプリケーションの代替または類似サービスおよびプロダクト作成」が加わり、いわゆるサードパーティ製Twitterクライアントアプリを明確に禁じています。
Twitter は約1週間前から、開発者への事前警告や事後通知のないまま、複数のサードパーティ製アプリの接続を遮断していました。
開発者からの問い合わせにも回答しなかたったため、各アプリの提供者はユーザーに対しての説明や対応に追われる状態が続いています。
1月18日になって、Twitterの開発者向け情報アカウントが「長年のルールを執行している。結果として、一部のアプリが機能しない場合がある」とツイート。
不具合ではなく意図的な遮断であることを認めましたが、サードパーティ開発者に対しては具体的にどのルールなのか説明がないままでした。
新たに1月19日付けで開発者契約を更新し、以前にはなかった「公式アプリの代替・類似サービスやプロダクト」禁止条項を追加したことで、今後はいわゆるサードパーティ製Twitterクライアントアプリは、現時点で機能しているものも含めて、完全に開発が禁止されたことになります。
代替・類似アプリの禁止項目は、実際の締め出しから約1週間後にしれっと加わった新ルールですが、Twitterの開発者契約としては、いつでも合意なく改訂できること、開発者契約の文書更新またはメール等の手段での通知をもってルールを更新する旨が含まれていたため、突然禁止項目を増やすこと自体は契約に含まれていたとはいえます。
またお決まりの免責条項も含まれるため、いかなる場合も、いかなる損失についても責任を追わないとは宣言しています。(こうした免責条項がどこまで有効かは事例によって異なるため、書けば良いというものではありませんが)。
イーロン・マスクによる買収以来、Twitterではサービスの維持に必要な最小限の人員を残して多数の開発者が解雇され、イーロン・マスクの関連会社から出向したエンジニアに置き換えられたことから、部門ごと消滅したり既存プロジェクトを中断したり、外部との連絡が途絶えるといった混乱が続いています。
ただそうした状況でも、Twitterの(外部)開発者向けプラットフォームのチームは業務を再開し、12月には「開発者プラットフォームへの強いコミットメントは変わりません」「この新しいTwitterにおいても、開発者プラットフォーム、なかでもTwitter APIへの投資を継続します。エコシステム全体の成功というわれわれの目的は以前と変わらず重要です」と宣言していたばかりでした。
(この場合の「エコシステム全体」とは、Twitter社とユーザーだけでなく、Twitter APIを利用するサードパーティのアプリ開発者やサービス提供者を含む全体の意味)
十年以上にわたってクライアントアプリを開発し、ユーザーとの関係性を築き、ビジネスの基盤としてきたサードパーティ開発者の苦難は言うまでもありませんが、Twitterに残る社内エンジニアやプラットフォーム担当者の混乱も察するに余りあります。
イーロン・マスクCEOといえば、「InstagramやFacebookなど他社SNSへのリンクやアカウント名表示だけで凍結」を撤回した際、謝罪とともに「今後は大きな方針変更に際してTwitter投票(アンケート)を実施する」と発言していました。
一部のユーザーのみを対象に、当人が設定した期限と選択肢のなかから選ばせることの意義をどう評価するかはさておき、今回のサードパーティ製クライアントアプリ禁止は開発者のみならず多くのユーザーに影響する変更ですが、イーロン・マスク的には「大きな」方針変更ではなかったらしく、現時点で投票はおろか何の発言もありません。