イーロン・マスク氏が買収してからのTwitterは、賃貸物件の家賃やベンダーなどへの支払いを次々と停止していることが、不払いを訴える相手方からの訴えで判明しています。先週、サンフランシスコのAIスタートアップWriterから起こされた訴えにより、Twitterを相手とする訴訟は少なくとも6社目になりました。
Twitterの新オーナーは、唯一の取締役でありCEOとしてサービスに次々と手を加え、収益の改善を目指しています。しかし、マスク氏はTwitter買収時に440億ドルを負担しており、そのためにテスラ株数十億ドル相当を売却してもいます。
マスク氏は損益分岐点に近づいてきたとツイートしたりもしていますが、つい最近も人員削減を実行するなど、実際のところはまだまだトンネルの出口が見えない雰囲気が感じられます。
一方、企業に関する法律・公文書データベースサービス「PlainSite」によると、オフィス家賃やベンダーへの不払いの件による訴訟は冒頭のWriterからのものを含めて6社目を数えるに至りました。さらにまだ訴訟にまでは至っていないものの、大きな企業への支払いにも滞っているものがある模様です。
テクノロジー系のニュースサイトPlatformerは2月16日に、従業員が社内用Slackにアクセスできなくなったと伝えました。Slackは現在はSalesforce傘下の企業です。またTwitterが機能更新の進捗状況から法規制の順守まであらゆる手続きを追跡するために使っているツール「Jira」も停止してしまい、従業員は何もできることがなくなって休暇を取っていると報じました。
ただ、TwitterはSlackの料金も支払っていないものの、停止の原因は不払いではなく、マスク氏か他の誰かが、もはやTwitterにSlackが不要だと判断したためだとPlatformerは伝えています。ちなみにテスラはSlackではなくMattermostと称するコラボレーションツールを使用し、社内のメールと電子会議はマイクロとフトのOutlookとTeamsを使っているのだそうです。
余談はさておき、今回カリフォルニア州上位裁判所に提出された訴状によると、Writerが訴えた不払い金額は11万3856ドル、日本円にして1554万円ほどという、微妙な金額。Twitterほどの企業ならそれぐらい…という気もしないでもありませんが、1ドルでも惜しいのがいまのTwitterなのかもしれません。
ボストン大学の財政学教授ディス・ホチキス氏による「レバレッジド・バイアウト方式で買収された企業においてこのような不払い紛争は一般的でない」と指摘し、むしろ「破産まであと一歩のところへ来ている企業で起こる典型的な訴訟ケースだ」との指摘を伝えました。レバレッジドバイアウトとは、買収対象企業の資産価値や将来性を担保に資金を調達し、買収時の負債を買収対象企業そのものに負わせる方式のことです。
ちなみに、マスク氏は2月22日に「誰がなんと言おうと勝手だが、私は世界最大の”非営利団体”を 440 億ドルで買収したんだ(笑」とツイートしています。
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