Twitter Blueの牽引役もレイオフ。マスク体制で台頭した「寝袋の人」

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Ittousai

Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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Twitter がプロダクト部門のエンジニアやディレクター、データサイエンティストなどを新たにレイオフしていたことが分かりました。

なかにはサブスクリプションサービス Twitter Blueの牽引役を務めたプロダクトディレクターで、イーロン・マスク氏による買収から急に表舞台への露出が目立っていた Esther Crawford氏も含まれています。

今回のレイオフについては、Platformer などが Twitter関係者を情報源として報じたのち、対象になった Crawford氏らも追認したかたちです。

イーロン・マスク氏はTwitterを買収した直後から大規模な人員削減を繰り返しており、昨年11月には社員に対し「長時間かつ高負荷な激務」「極限にハードコアな働き方」を求め、応じられないものは3か月分の手当てをもって退職せよ、その選択肢を捨ててついてくる覚悟のある者のみ雇用を続けると決断を迫るメールを送ったことが話題になりました。

(なお「極限ハードコア勤務」に同意しても雇用が維持されるわけではなく、直後にやはり解雇、しかも「三か月分の手当てで退職」を放棄したのだからと退職手当を一か月分に減らされた証言もあります)


買収直後のTwitter社内は当然のように大混乱で、辞めてゆく社員の口を完全に塞ぐのは難しいこともあり、「エンジニアは過去30日間にコミットしたコードをプリンターで50ページ分印刷して持参するよう求められたが、コロナ禍で使われていなかったプリンターはまともに動かず社内がパニックになった」「ラップトップの画面に表示でも良いと改めて指示があったが、結局コード面接は中止になった」といった騒ぎが克明に伝えられていました。

マスク体制になったTwitterの従業員には、新体制を公然と批判して解雇対象になる者、「極限にハードコアな勤務」は無理と離職するもの、審査なしの認証バッジ販売など新施策のリスクについて警告する報告書を提出してチームごと消える例などが続出しましたが、幹部を含めて大量の離職者が出れば、当然ながらその空白を埋めるように、新体制で台頭する一派もいます。

Esther Crawford氏はその代表格で、職場の床に寝袋とアイマスクで眠る姿を撮られたツイートに #SleepWhereYouWork なるハッシュタグでコメントして話題になっていた人物。

マスク体制の容赦ない解雇と過酷な労働環境が議論の的となっていた時期でもあり、Crawford氏は「偉大な事業を成し遂げるには犠牲が必要」等の発言からいかにも新体制に擦り寄って栄達を狙った的な言い方をされることもありました。

一方で、買収以前から「自分の長所は人より長く激しく働き多くの痛みに耐える覚悟があること」等々、労働倫理人生訓モチベーショントーク的な発言が多かったため、単にマスク体制と相性が良かったという見方もできます。

Crawford氏は買収以前よりプロダクト担当としてTwitterの新機能全般について発信していましたが、マスク氏が広告に依存しない新たな収益源として新Twitter Blueを強力に推進したことで、Twitter Blueの牽引役として新機能や計画について語る機会が増えていました。

Twitterは買収後に広報部門を廃止したため、またレイオフで多くのチームが廃止されたり責任者不在になったり、社内でも計画が共有されずCEOのツイートで方針を知るような状態になったことから、以前は部門ごとに活発だった情報発信が大きく減っていましたが、Crawford氏は例外的にTwitterの輝かしい将来や計画について発信を続けたことから相対的に露出が多くなり、マスク氏に次ぐ対外的な顔役とすらいえる状態でした。

Crawford氏はTwitter Blueの担当であったほか、直近ではペイメントの責任者を務めていたとされています。関係者からの正確な内部情報を伝えてきたThe Informationによれば、今回のレイオフはCrawford氏含めプロダクト部門で少なくとも数十名以上。


全面的な帰依を示して重用されていた代表的な人物がレイオフされるのはやや意外ですが、マスク氏自身が「Twitterを倒産の危機から救う必要があった」「まだ課題はあるが、損益分岐点に近づいている」と2月上旬にツイートしたこと、つまりこれだけ費用を削減してもまだ赤字状態であると明かしたように、さらなる人件費の圧縮が最優先という程度のことかもしれません。

プロダクト部門を総入れ替えする計画なのか、かわりに誰を任命するのか、今後のプロダクトロードマップにどう影響するのか等々は、いまのところイーロン・マスク氏にしか分かりません。

新Twitter Blueの一般展開に続いて、Twitterはユーザーへの広告収益レベニューシェアや、「Twitterコイン」を通じた投げ銭的な収益化手段の提供など、ユーザー間を含めて直接支払いを発生させ手数料収益を狙う姿勢を見せています。マスク氏的には従来のプロダクト部門は生産性が悪すぎる、切ってもっと早く動くチームに入れ替えたいと考えても不思議はありません。

レイオフについて、本人的なコメントは「私がTwitter 2.0に全てを捧げた姿を見て、楽観的な考えや身を粉にして働いたことが失敗だったと考えるなら大きな間違い」、馬鹿にして笑うのは外野であって戦っていないものだけ、ひどい騒音と混乱のなかで頑張ったチームを心から誇りに思う等。

Twitterにスタートアップごと買収されての入社だったことが示すように成功した実業家でもあり投資家でもあり、Twitterにレイオフされると滞在資格や家賃に困る社員とは違うとは思いますが、ともあれ次なる活躍をお祈りします。



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《Ittousai》
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