7月3日、AIを使ったオンライン翻訳サービスを展開する独DeepLが、日本法人「DeepL Japan 合同会社」を設立したと発表しました。
DeepLはこれまでにEUおよび英国に4つの拠点を置いて活動してきましたが、5つ目となる日本は、DeepLにとって初めて欧州以外に設置する拠点になります。
DeepLは2020年に翻訳サービスを日本語にも対応させており、CEOヤロスワフ・クテロフスキー氏は「個人や企業問わず多数のユーザーに歓迎されたことはとても印象的だった」と述べています。さらに、これまでの間に日本がDeepLにとって2番目に大きな市場に成長したことを受けて、日本国内での事業体制をより強固にし、日本企業との取引を迅速化するため日本法人を設立したと説明しました。
DeepL翻訳は今年初め、2つ目の製品としてAI搭載の作文サポートツール「DeepL Write」を発表しています。これは元になる文章を入力することで、文法の間違いを正すだけでなく、言い回しや語調、文体や言葉の選び方をAIによって提案するサービス。
DeepLは、翻訳ユーザーのうち一部の人々が、原文と訳文を入れ替えて逆翻訳を繰り返すことで、推敲のヒントを得ているという話を聞いたことから、DeepL Writeのアイデアを思いついたとのこと。もちろん、DeepL Writeにもニュアンスや文脈の理解に強い独自のニューラルネットワーク技術が盛り込まれており、ユーザーが入力した原文をさまざまなビジネス文書や学術的な文章などに仕上げるのに役立ちそうです。
ただ、記事執筆時点ではDeepL Writeは英語とドイツ語のみの対応。日本法人の設立が、このサービスの日本語対応を後押しすることを期待したいところです。
ちなみに、DeepLは今年1月に新たな投資ファンドとの提携により資金を調達。会社評価額は10億ユーロ(約1570億円)に達しています。全従業員数は600名を超え、そのうち日本拠点には7月1日時点で21人が配置されているとのことです。