吸引・水拭き性能2倍のiRobot ルンバ コンボ j9+発表。他社ロボット掃除機と比較解説

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安蔵靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。デジタル家電や生活家電に関連する記事執筆のほか、家電スペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。

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2023年9月12日、アイロボットジャパンが「ルンバ コンボ j9+」をはじめとするロボット掃除機4機種を発表しました。ラインアップと価格は以下の通りです。

  • ルンバ コンボ j9+(9月22日発売) 直販価格19万9800円
    ダストステーション+自動給水機能を搭載する2in1タイプの最上位モデル

  • ルンバ コンボ j9+ SD(9月29日発売) 直販価格16万9800円
    ダストステーションを搭載する2in1タイプ

  • ルンバ j9+(9月22日発売) 直販価格13万9800円
    ダストステーションを搭載する吸引専用モデル

  • ルンバ j9(9月22日発売) 直販価格10万9800円
    ダストステーション非搭載の吸引専用モデル

▲ルンバ コンボ j9+を披露する米アイロボット創業者でCEOのコリン・アングル氏
▲左からルンバ コンボ j9+ SD、ルンバ コンボ j9+、ルンバ j9+

“全部入り”であるルンバ コンボ j9+以外のモデルは、最上位のルンバ コンボ j9+から機能が削られたものなので、ルンバ コンボ j9+の進化を中心に紹介していきましょう。


吸引・水拭きともに2倍以上に清掃性能がアップ

ルンバ コンボ j9+は2022年11月に発売された「ルンバ コンボ j7+」の進化モデルになります。進化ポイントは以下の3つです。

  • 清掃性能が吸引・水拭きともに2倍以上にアップ

  • 自動ゴミ収集ステーション「クリーンベース」に自動給水機能を搭載

  • 部屋ごとの汚れ具合を学習する「ダートディテクティブ」機能を新搭載


まず、進化ポイントを紹介する前にルンバ コンボ j7+から引き継ぐ基本性能について紹介します。

カメラ映像を分析して間取りや家具の認識、障害物回避を行う

ルンバ j7シリーズから、本体前面のカメラで部屋の間取りや家具の認識、自己位置の推定するだけでなく、ケーブルやペットのフンなど80以上の障害物を認識して回避する「Precision Vision(プレシジョン ビジョン)ナビゲーション」を搭載しています。

▲2022年2月発売のルンバ j7/ j7+から障害物を認識して回避する「Precition Vision(プレシジョン ビジョン)ナビゲーション」を搭載しています
▲ケーブルを認識して回避しているところ。分かりにくいですが、障害物を認識すると上部のランプが青く光ります

これはベッドを検知したらその部屋を寝室とラベリングしたり、冷蔵庫がある部屋をキッチンとラベリングするといった機能にも活用されています。

水拭きモップパッドを必要に応じて装着する「パッドリフティングシステム」を搭載

アイロボットは水拭き専用ロボット掃除機「ブラーバ」シリーズをラインアップしていたものの、吸引と同時に水拭きができる「2in1タイプ」としては後発になりました。しかしそれを活かし、他社にはない特徴として売りにしたのが、水拭き用のモップパッドを着脱する「パッドリフティングシステム」です。

▲2022年11月発売の「ルンバ コンボ j7+」から、水拭きモップパッドを自動的に着脱する「パッドリフティングシステム」を採用しています

カーペットやラグを検知するとモップパッドを本体上部に収納し、それ以外のフロアではモップパッドを本体下部に装着して水拭きを行うというものです。フローリングだけでなく畳も水拭きしてしまうため、アプリから水拭きNGゾーンに指定する必要はありますが、毛足の長いカーペットやラグを濡らさずに掃除できるのが特徴です。

▲モップパッドを上部から出し始めたところ
▲モップパッドを床まで下ろしていき……
▲本体真下に配置して水拭き掃除をします

ライバルであるBeijing Roborock TechnologyのRoborockシリーズやエコバックスのDEEBOTシリーズの最新モデルでは、モップパッドを1cm前後持ち上げるリフトアップ機能を備えているものの、毛足が長いと濡れてしまうリスクがあります。そのリスクがほとんどないというのがルンバ コンボシリーズの大きな特徴の一つになっています。

さてそれでは続いて、ルンバ コンボ j9+の進化ポイントについて詳しく見ていきましょう。

清掃性能が吸引・水拭きともに約2倍にアップ

ルンバシリーズは競合他社と違って吸引力の数値を公開していませんが、ルンバ コンボ j9+を含む今回発表の4モデルすべてでより回転数の高いパワフルなモーターを搭載し、吸引力がルンバ コンボ j7+など従来モデルの約2倍にアップしたとのことです。

吸引力の設定はアプリから行うことができ、常に最大2倍の吸引力を発揮する設定や、回転速度を落として静音性を高め、バッテリーを長持ちさせるといった使い方もできるようになっています。

▲ルンバ iシリーズ(j7/j7+も含む)に比べて清掃性能が約2倍にアップしたとのこと

水拭き性能については、ルンバ コンボ j7+では床面をなでるように走行していましたが、ルンバ コンボ j9+はモップパッドを床面にこすらせるように前後に動きながら掃除する「スマートスクラブ」機能を新たに搭載しました。

走行距離が伸びてより多く床面をこすることに加えて、滴下する水の量も増えることで、約2倍の清掃性能を実現したようです。

▲「iRobot Home」アプリの清掃モード設定画面。スマートスクラブ機能は清掃時間が伸びるため、初期設定ではオフになっています

自動ゴミ収集ステーション「クリーンベース」に自動給水機能を搭載

ルンバ コンボ j7+は後発ながらライバルに追いつけていなかった部分があったのに対し、ルンバ コンボ j9+はかなり肉薄した印象があります。それが新搭載の自動給水機能です。

▲ルンバ コンボ j9+はクリーンベースに自動給水機能を搭載しました

RoborockシリーズやDEEBOTシリーズの最上位モデルは、モップパッドへの自動給水から温水洗浄、温風乾燥まで自動で行うのが売りになっています。

しかしルンバ コンボ j7+は水タンクに給水するためにダストケースを本体から取り外す必要がありました。クリーンベースにゴミを吸引してくれるのにもかかわらず、給水のためにダストケースを取り外すというのはいかにも面倒です。

それに対してルンバ コンボ j9+では3Lの給水タンクを搭載し、必要に応じて本体内の給水タンクに水を充てんしてくれるようになりました。3Lの容量は通常使用で約30日間程度使えるとのことです。

クリーンベースは約60日間分のゴミを収集してくれるので、メンテナンスはモップパッドを取り外して水洗いする程度で済むようになりました。

▲クリーンベースのフタを開いたところ

クリーンベースのフタには紙パックと交換用モップパッドを収納できるようになっており、よりスマートに紙パックやパッドの交換ができるようになりました。

▲クリーンベース上部に容量約3Lの給水タンク、その下にゴミ収集用の紙パックを配置しています

部屋ごとの汚れ具合を学習する「ダートディテクティブ」機能を新搭載

ルンバシリーズは従来から吸い込んだゴミやほこりの量が多いと判断するとその周囲を念入りに掃除する「ダートディテクト」機能を搭載しています。最新のj9シリーズはゴミの量を学習して部屋ごとの掃除方法を自動的にコントロールする「ダートディテクティブ」機能に進化しました。

▲ルンバ j9シリーズは新たに「ダートディテクティブ」機能を搭載しました

掃除履歴からどの部屋のどのあたりにゴミが多く出るということを把握し、ゴミが発生しやすい部屋から優先的に掃除するプランを立てて掃除を進めるというものです。部屋やエリアごとに床の種類や使用した清掃モードも学習するとのことです。

アイロボットジャパン 執行役員マーケティング本部長の山田 毅氏は「ダートディテクティブは家中を探偵(ディテクティブ)してどれだけ家がきれいなのか汚いのかを可視化します」と語りました。

「例えば私の家だと家族が全員集まるリビングが一番汚く、次に私が帰ってくるのを犬がよく待っている玄関、子どもの部屋、私の部屋が一番きれいです。その順番にルンバが掃除を勝手にしてくれます。逆にきれいな方から掃除するということもできます」(山田氏)

密閉構造を採用する空気清浄機「Klaara(クラーラ)」を発売

アイロボットジャパンはさらに、新規カテゴリー製品として空気清浄機「Klaara(クラーラ)」も発表しました。




《安蔵靖志》
安蔵靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。デジタル家電や生活家電に関連する記事執筆のほか、家電スペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。

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