米ゲーム歴史保存団体VGHF、所蔵資料をネットで無料公開へ。ゲーム雑誌7000冊以上、開発資料も

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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米Video Game History Foundation(VGHF)は、ゲーム雑誌やアートブック、CDやソースコードに至るまで、ゲーム関連の資料を全世界からブラウザで閲覧できるデジタルライブラリのあらましを初公開しました。

あくまで「どのようなユーザーインターフェースか」「どんな資料を検索できるか」を紹介している段階です。過去2年間にわたって構築されてきたライブラリは、2024年内に公開される予定です。

VGHFは、ビデオゲーム歴史関連の資料をアーカイブ化して保存する非営利組織。かつて未発売に終わったファミコン版『シムシティ』を発掘し、実際に動いている画面を公開したこともありました。

これまでVGHFの莫大なアーカイブを閲覧するには、米カリフォルニア州オークランドまで足を運ぶ必要がありました。それが世界中のどこからも無料で、市井の研究家や学者、一般的なゲーム愛好家に至るまで、距離に関係なく広く利用できるようになる見通しです

今回の動画では、最初に「なぜ、独自のプラットフォームを構築しているのか?」を説明。公開するだけなら、Internet ArchiveやGoogleドライブに置けばいいだけではないか、というわけです。

その理由は2つ。1つは、欲しい情報を直ぐに取り出せるために「適切にタグ付け」する必要があること。

自らデジタルライブラリを構築するのは「資料の全てを集めた永続的なホーム」や「ビデオゲームの歴史研究に適合した場所」にしたいためだと語っています。ライブラリ構築に取り組んだ2年のうち、検索システムやインターフェース作成にかなりの労力が割かれたそうです。

もう1つは、別組織のプラットフォームを使う場合は「著作権で保護された素材を扱うことは頻繁に行われる」ため、デリケートな問題が起きかねないからだと示唆しています。実際、Internet Archiveは著作権を侵害しているとして提訴されていました。


さて公開された検索画面は「検索するアイテム」「記録の種類による絞り込み」「検索する項目」「対象とする期間(何年から何年)」というシンプルなものです。まだデジタル化していない資料は「Unprocessed Materials」のタブで確認できます。

今のところゲーム雑誌については、全世界から集めた7000冊以上で、200種類ものシリーズ(一連の雑誌)あり。その検索ページは、画面の左に冊数や刊行期間、言語などの説明があり、右のドロップメニューでは各号へのリンクが貼られているという構成です。

また、ゲーム開発者やパブリッシャーから入手した開発資料も掲載。例としてコナミのゲーム『タイニートゥーンアドベンチャーズ』ロゴの公式仕様が公開されています。

ほかデジタルアーカイブには、デザイン資料やオーディオアセット(視聴可能なBGMもあり)、プレス資料やコンセプトアートなど、多種多様なものが含まれています。先日、終了が発表された世界最大のゲームイベントE3の過去映像も確認できます。


VGHFはビデオゲーム資料のアーカイブに留まらず、ベセスダやカプコン、SNKやディズニーなどが失われた資料を復元することに貢献もしています。法的なトラブルも回避しやすいはずであり、デジタルライブラリの正式公開を楽しみに待ちたいところです。

《Kiyoshi Tane》
Kiyoshi Tane

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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