Pixel Watchが3代目になりました。2022年の初代から使っていますが、少しずつ着実に使いやすくなっています。
今回の「Google Tales」は、9月10日発売の「Pixel Watch 3」を少し先取りで使ってみて気付いたことなどをご紹介します。
改善や新機能追加はちょっとずつだったりしますが、ここまでくれば、人にお勧めできると思いました。
▲Pixel Watch歴代パッケージ。3のパッケージは100%プラスチックレスになりました
■ハードウェアの進化
Pixel Watchはずっと直径41mmのワンサイズでしたが、45mmモデルも登場しました。これで、腕の太い男性にもお勧めしやすくなりました。価格や主なスペックの初代、2代目との比較表は最後においておきます。
私は45mmでは腕をはみ出しちゃうので41mmに。41mmモデルもベゼルが狭くなった分、画面が広くなりました。「大きい!」と感じるほどの違いです。公称では、ベゼルは16%狭くなり、アクティブな画面面積は10%アップだそうです。45mmの画面面積は40%アップ。
▲同じ41mmでも画面がこれだけ違います(右がPixel Watch 3)
広くなっただけでなく、明るくもなりました(公称では「2倍」)。また、常時画面オンにしている間の薄暗い状態を1ニトまで暗くできるようになりました。
こういう変化はありますが、充電方式と41mmモデルのバンドの脱着方式は先代と同じです。先代を持っている人は、充電器を寝室とオフィスに、など2カ所に配置できるし、これまで購入したバンドをそのまま使えます。付属のバンドは「フルオロエラストマー」製で、夏はすぐ汗疹(あせも)になっちゃう私にとっては換えバンド必須です。2万5300円したスリムバンドや9800円のストレッチバンドがそのまま使えるのでホッとしました。
■バッテリー充電時間の改善
個人的にはこれが一番嬉しい。公称で、0から満タンにするのに先代は「約80分」だったのが、3は「約60分」に。
Pixel Watchのバッテリーを0にすることは、まずないですが、約60分で0から満タンということはつまり、どんな状態でも1時間充電すれば満タンになるということです。
私は1日2回、朝起きて洗顔したりする約15分と、夜のお風呂と身支度の約1時間に充電しています。
先代は朝時点はだいたい65%くらいになっている(これは、その日の使い方によります)のが15分で90%くらいに、夜は30%→100%くらいでしたが、3では65%→99%、30%→100%になりました。朝の99%に満足です。
▲あと何分で満タンかが表示されるようになりました
ちなみに、バッテリー持続時間は先代も3も同じで、公称で「ディスプレイ常時オンで最大24時間」です。
なお、45mmモデルは本体が大きくなった分バッテリーの容量も上がりましたが、充電速度は公称で「約80分で100%」と先代と同じです。
■WearOS 5の新機能
たぶん先代もOSアップデートで使えるようになるであろう、「WearOS 5」の新機能もいくつかあります。
●アプリ一覧表示が二択に
目につくのは、アプリ一覧の新しい表示方法として、Apple Watchのようにアプリアイコンを円状に表示できるようになりました。Apple Watchのようなトライポフォビアになるようなぎっちりしたものではなく、単純に従来の行表示より一度に表示できるアプリ数が増えます(最大4個から9個に)。もちろん従来の表示方法も選べます。
▲アプリ表示方法が二択に
●PIN入力のぽちぽちが大きく
ちょっとしたことですが、PIN入力画面のぽちぽちが先代より大きくなって、入力しやすくなりました。
▲PINのぽちぽちが大きくなった
●Android TVのリモコン
WearOS 4から「ホーム」アプリの一部の機能(照明のオンオフなど)は使えていますが、新たに同じネットワーク上にある「Android TV」のリモコン操作ができるようになりました。
ホームアプリ→テレビで起動できます。テレビのオン/オフ、音量調整、Netflixやプライムビデオのコンテンツ選択、再生などが可能です。コンテンツ選択やチャンネル切り替えはちょっと面倒なんですが、オン/オフと音量調整は実用的です。
Nestのドアベルを導入しているご家庭は、Android TVよりさらに少なそうですが、もし使っているのであれば、ライブカメラフィード経由で宅配便を持ってきてくれた方をPixel Watch上で確認し、お話しできます。
▲うちでは使っていないので、これはGoogle公式画像です
●「レコーダー」での録音が可能に
Androidスマートフォン向けの「レコーダー」は録音したものがそのままトランスクリプトになるという、取材したりする人にとって超便利なアプリです。これが、Pixel Watchでも使えるようになりました。
「タイル」もあるので、外出先などでぱっと録音したいときに最短で2ステップ(レコーダーのタイルを表示してボタンをタップ)で録音開始できます。バックアップ先を設定すると、録音したファイルは母艦のスマートフォン(私の場合はPixel 9 Pro)のレコーダーアプリにバックアップされ、ここで文字起こしもできます。
スマートフォンのレコーダーは、ほぼリアルタイムで文字起こししてくれますが、Pixel Watchのアプリの場合は、Pixel Watchに一旦保存した録音ファイルを開いて「文字起こしを表示」を選び、母艦側で開くレコーダーアプリで文字起こしする言語を選んでやっと開始、というちょっとめんどくさいステップがあります。
▲「レコーダー」アプリ
それと、かなり大きな音じゃないと(またはPixel Watchのマイクを近づけないと)うまく録音できないので、とっさに思いついたアイデアの録音、みたいな使い方になるのかなと思います。
●Googleマップのオフラインマップ
PixelスマートフォンではGoogleマップのオフラインマップを以前から使えていますが、これがPixel Watchでも利用可能に。東京都心のマップをダウンロードしてみたところ、384MBでした。ストレージは32GBあるので、このくらい保存しておいても支障はないでしょう。もっとも、個人的には超方向音痴なので、少し大きくなったとはいえPixel Watchの画面上の地図で目的地にたどり着ける自信はないです。
▲オフラインマップをダウンロードしておくと、ネットワークがオフでも地図が見えます。
■Fitbitの新機能(朝のブリーフィングが意外と楽しい)
スマートウォッチって、主な目的の1つがフィットネスという方も多いと思います。
でも、Fitbitのトラッキング専用端末に比べると、Pixel Watchはなんといってもバッテリー持続時間が短いので、購入を迷っているという知り合いもいます。
例えばGoogleが販売している「Fitbit Charge 6」なんて、バッテリーが1週間もつので、それと比べると毎朝夕充電しなくちゃならないのはちょっとなぁ、というわけです(慣れればなんてことないんですが)。
でも、トラッカーではSuica使えないし、スマートウォッチとトラッカーの2本使用というのも面倒だし、そろそろPixel Watchにしてもいいんじゃないかと個人的には思います。
「朝のブリーフィング」という機能はトラッカーにはないPixel WatchならではのFitbitの新機能。これは、朝目覚めてしばらくすると表示される、「1日の予定を立てるサポート」機能です。睡眠状況、エナジースコア、週間エクササイズ目標の進捗、心拍変動、呼吸数、お天気情報をまとめて表示してくれます。
▲ある朝のブリーフィング
トラッカーと同じような、高度なトラッキング機能も使えるようになりました。
「カスタムランニングやリアルタイムのガイダンス、パフォーマンス分析情報を参考にできる」のだそうです。
私は運動とは縁遠く、ランニングすらしませんが、お散歩のときにウォーキングでリアルタイムのガイダンスをオンにしてみたところ、速度が速くなったり遅くなったり、心拍数が上がったり下がったりするたびに音声通知が鳴るようになりました。
真剣にトレーニングする人にとってはとてもいい機能っぽいです。でも、わりと静かな散歩道ではあまり鳴らしたくないなと思いました。
▲のどかな散歩道ではちょっと迷惑かも(イラスト:ばじぃ)
というわけでオフにしようとしたんですが、Pixel Watch全体の「設定」→「音声」で「着信音と通知をミュート」にしてもミュートにならない。
Fitbitアプリのスマートフォン側の「Fitbitの設定」にはそもそも音声に関する設定はない。Pixel Watch上のFitbitアプリにも「設定」項目はない。困った……。
Pixel Watchのアプリ一覧にはFitbit関連のアプリとして、以下の4つが表示されます。
Fitbitエクササイズ
Fitbit今日
Fitbit心電図
FitbitRelax
私がWatch上のFitbitだと思ったのは「Fitbit今日」アプリでした。では、「Fitbitエクササイズ」で設定を変えればいいのかな? と見ると、「Fitbitエクササイズ」→「設定」→「音声による合図」で「音声による合図」をオフにする画面がありました。ところがここをオフにしてもまだ音が鳴る。
ヘルプを見ると、どうやらこれは「アクティブな時間」と「アクティブな心拍ゾーン」の「変化アラート」なのでした。
正解は、「Fitbitエクササイズ」→「すべてのエクササイズ」→「ウォーキング」→「旗のアイコン」で開く「アラートとモード」→「心拍ゾーンモード」→「ターゲット心拍ゾーン」→「通知」をオフにする、でした。なんて深い階層なんでしょう!
アラートとモードには心拍ゾーンの他に「ペース測定モード」とか「1Kmスプリット」とか、運動する人にとっては便利なのであろう設定が5種類あるので、すべての通知をオフにするのは結構めんどうくさかったです。
そして、バイブレーションだけでアラートしてもらう、という選択肢はないのでした。
GoogleがFitbitを買収してからはや3年。既に子会社ではなく、LinkedInでも「now part of Google」となっておりますが、機能などについてはまだなんだか別会社な感じ。こういうユーザーインタフェースを統合するのはものすごく大変なことだろうとは思いますが、もう少し一貫性があるといいのになぁと思いました。
ちなみに、GoogleストアではFitbitのトラッカーも販売してはいます。
▲トラッカーの販売ページ
が、「製品を比較」を見ようとすると……
▲このページに飛びます
そういう意味でも(どういう意味だ)、そろそろPixel Watchをお勧めする次第です……。
Suicaが使えてメッセンジャーやメールの通知が(音じゃなくてバイブレーションで)もらえて、タイマーが使えて、時間が分かれば十分、な私にとっては、Pixel Watch 3は大満足な相棒なのでした。
▲Pixel Watch初代、Pixel Watch 2、Pixel Watch 3、Pixel Watch 3(45mm)のスペック比較表