テスラは日本時間10月11日に開催したイベント「We, Robot」で、2人乗りの自動運転ロボットカー「サイバーキャブ(Cybercab)」と、最大20人が乗れるという「ロボバン(Robovan)」を発表しました。
銀色のクーペスタイルのEVに乗って発表のステージに現れたイーロン・マスクCEOは「ご覧のとおり、ロボタクシーのサイバーキャブに乗って来ました」「さらに20台あります」として、続々と現れる銀色のロボットカーを紹介。さらに「見てください。このクルマにはハンドルもペダルもありません」と述べて観衆の喝采を浴びました。
今回の発表においてマスク氏は、サイバーキャブの技術面についてはほとんど述べていません。これまでのテスラのEV発表では、そのクルマがいくつのモーターを搭載し、どれぐらいの出力があり、1回の充電でどれぐらい走行できるのかといったことをアピールしていましたが、今回のイベント配信のなかでは、あまり細部に関する話は聞かれませんでした。
ただ、マスク氏はサイバーキャブには充電プラグの差し込み口がないことに言及し、このクルマには誘導式の充電方法が採用されていることを明かしました。
わかりやすく言えば自動車用のワイヤレス充電であり、おそらくガレージに充電パッドのようなものを敷設して、その上にサイバーキャブを駐めておけば、次に乗るときには充電が完了しているといった運用が可能になると考えられます。Model 3やModel Yの購入を検討する人々も、オプションとしてでも用意して欲しい機能かもしれません。
サイバーキャブをひととおり紹介したマスク氏は、続くサプライズとして、一度に20人を輸送できる「ロボバン」を観衆に披露しました。
ロボバンの外観は未来的というか、レトロフューチャー的なデザインで、フロント・リアウィンドウはなく、運転席のあるべき場所はラゲッジスペースになっています。イベントに登場した車両は座席がある旅客用ですが、貨物輸送用のバージョンも想定されているとのことです。
このイベントでいちばんのサプライズだったロボバンですが、やはりこれがこのままの姿で製品化されるのか、いつ頃発売され、どこでどのように使われるようになるのかについては明確な話はありませんでした。
現実的な使い道を考えるなら、マスク氏のThe Boring Companyがラスベガスの地下に掘ったVegas Loopにこのロボバンを使えば、さらに人々の移動がしやすくなりそうです。ただ、あくまでロボバンはコンセプトモデルと考えるべきかもしれません。少なくとも、公道でこれを走らせるには最低地上高を大きく上げなければ、ちょっとした段差も超えられません。
マスク氏はテスラの今後について、まず来年に、カリフォルニア州とテキサス州で完全自動運転のFSDオプションをModel 3とModel Yに提供開始する予定だと述べました。
FSDはいまだドライバーがいつでもハンドル操作できるよう備えておかなければならないレベル2の自動運転機能ですが、それがドライバーの手をまったく借りずに走行できるレベル5を実現するのか、特定の条件下でドライバーの介入も必要なレベルにとどまるのかも気になるところです。
マスク氏はサイバーキャブの生産については自ら「楽観的に言いがちだが」としつつ「2026年……2027年より前には」開始する予定で、一般消費者でも「3万ドル以下」の価格で購入できるようになると述べました。
ちなみに昨年には、サイバーキャブやロボバンと同様にハンドルもペダルもない自動運転タクシーのOrigin AVを生産しようとしたGMの自動運転開発部門Cruiseが、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)に対して市販に向けた申請手続きを行いましたが、必要となる承認が得られず、今年7月にプロジェクトを中止するに至っています。