Appleが動画配信サービス Apple TV+ の無料開放をスタートしました。日本時間で5日24時まで、通常は有料のApple TV+ 映画やドラマがすべて無料で見放題になります。
Apple TVはテレビに接続して動画や音楽、ゲームやスマートホーム機能を使うデバイス。と同時に、iPhoneやiPadに入っている動画アプリでもあり、Appleが各社の動画コンテンツを販売するプラットフォームでもあります。
そのApple TVで楽しめるApple TV+は、Appleが運営する独自の定額制動画ストリーミングサービス。
ネトフリやDisney+、AmazonプライムビデオにU-NEXTほど一般的ではありませんが、Appleの資金力を活かしてここでしか見られない独占の映画やシリーズものか多数あります。
通常は月900円またはセット売りApple Oneの一部ですが、無料開放期間は誰でも、iPhone / Androidスマホ、タブレット、各社のスマートTVやセットトップボックス(テレビにつなぐやつ)、なんとかスティック、PS5 / PS4 / Xbox等々で見られます。
どこかで見かけて気になったけれどApple TV+限定で見られなかった映画や作品を試したり、無料のうちにシリーズを一気見する機会です。
■ 珍しいSF推し
あらゆるジャンルの膨大な作品があり、好きな俳優や監督、キャラクターやシリーズを手がかりに、あるいはランキングから見てゆけば何かしら気になる作品があるはずですが、ユーザーが多い米国で受けることもあってか、いわゆるSF作品がオリジナルで充実しているのもサービスとしての特徴です。
■モンスターバース実写シリーズ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』
有名どころでは、怪獣ドラマの『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』。2014年のハリウッド版『ゴジラ』から続く映画やアニメ等々と同じ『モンスターバース』に属する作品で、タイタン(怪獣)たちの度重なる襲来が日常になった現代と、映画でも大きな役割を果たす組織モナークの誕生が描かれます。
主人公は『将軍』や多数の映画でも知られる女優のアンナ・サワイ(澤井杏奈)。ハリウッドスター カート・ラッセルとワイアット・ラッセル親子が、現代編と過去編の同一人物を演じるのも面白いところです。
「カート・ラッセルとゴールディ・ホーンの息子」と紹介されることの多かったワイアット・ラッセルですが、マーベルのMCUシリーズでは二代目キャプテン・アメリカを演じたり、5月公開予定の『サンターボルツ*』でも主人公チームの一員など、二代目を超えて活躍しています。
■アシモフ有名小説がついに映像化『ファウンデーション』そう来たか解釈を楽しむ
広い意味で人気IPのシリーズ化としては『ファウンデーション』も。アイザック・アシモフが生涯にわたり書き継いだ壮大なSF小説シリーズを初めて本格的に映像化した作品で、『ダークナイト』や『ブレイド』シリーズ等々の人気脚本家デヴィッド・S・ゴイヤーがショーランナーを務めます。
原作が長大でスコープも広いため、いつまで続くかわからないシリーズものフォーマットでどこをどう切り取るか、見せ場をどうするかが難しいところですが、キャラクターや舞台の再創造・入れ替えも含め、なるほどそう来たかという出来。
原作小説に思い入れがあるほど、翻案やビジュアル化を含め、いわゆる解釈違いで困惑する可能性もありますが、あくまでファウンデーションを元にした映像版、ゴイヤー版として見れば、豪勢なビジュアルや、原作であまり光の当たらなかった人物の昇格とドラマも含めてなかなか楽しめます。
■ 高評価の『SILO サイロ』『セヴェランス』『インベージョン』
オリジナルで人気のシリーズは、フォールアウト的なポストアポカリプス地下世界を舞台にした『SILO サイロ』、秘密保持のため会社にいるときと私生活では記憶を分離される措置を受けた主人公たちが恐ろしい秘密に気づく『セヴェランス』、タイトルからして明らかな侵略モノ、なのに侵略エイリアンの実体をなかなか見せず緊張感だけが高まってゆく『インベージョン』など。
■ 米ソ宇宙競争の改変歴史『フォー・オール・マンカインド』 新ギャラクティカのムーア節炸裂
個人的な推しとしては、もし米ソ宇宙開発競争が終わらなかったら?冷戦が宇宙に続いていたら?を描く『フォー・オール・マンカインド』。ショーランナーはスター・トレックやリブート版の『ギャラクティカ』で知られるロン・D・ムーア。特撮や抗争のアクションなど、いわゆるサイファイ番組のギルティープレジャーでしっかり楽しめるのはもちろん、物語世界の政治社会的な緊張を個人ドラマに接続するムーアの手腕が、現代もの架空史というテーマで光ります。
■ モモア主演の見たこともない未来文明『SEE 暗闇の世界』 盲人の国で目明きは狩られる異能者
人気スター主演と、見たこともない異世界が楽しめるのは『SEE 暗闇の世界』。主人公ババ・ヴォス役はアクアマンや『Dune』のダンカン・アイダホを演じたジェイソン・モモア。舞台は災厄で人類が視覚を失い現代文明が崩壊したのち、全盲者が新たな文明を築いた世界。
盲目の世界の優れた戦士である主人公のもとに、いまでは伝説にしか残らない『見る』力をもった双子が生まれたことで、世界を脅かす異能力者を捉えようとする女王と、双子を守って逃亡する主人公のドラマが始まります。シーズン3で完結済み。
■ 不思議の国ソ連の大冒険『テトリス』 主人公はキングスマンのタロン・エガートン演じるBPS社長
SFではない映画では『テトリス』もおすすめ。テトリスといえばあらゆるゲーム機でもスマホでも遊べる定番パズルにして『落ち物』ゲームの代表格ですが、もとはソビエト連邦時代のロシアで、政府機関の職員だったアレクセイ・パジトノフが個人的に開発したプログラムで、商用ではありませんでした。
映画『テトリス』は、あまりにも中毒性が高く国外にもコピーが出回り、PCゲームとして販売されていたこのテトリスに目をつけ、家庭用ゲーム機向けに発売しようと単身ソビエトに渡航、金のなる木を奪われまいと妨害する官僚と渡り合い、ライセンスを確保した日本のゲーム会社社長ヘンク・ロジャースの冒険を描く作品。主演は『キングスマン』のタロン・エガートン。
テトリスは任天堂のゲームボーイとともに世界中で大ブームとなり、本体に同梱された北米や欧州では特に、ゲームボーイの普及ひいては任天堂の携帯ゲーム機市場における覇権にも大きく貢献したタイトル。
映画ではヘンク・ロジャースが任天堂本社で当時の山内社長と会談するシーンなど、ゲーム業界のレジェンドたちがキャラクターとして登場するのも楽しめます。