TikTok買収レースに世界一のYouTuber MrBeast が正式参戦。オラクルCEO「良い取引」と関心示す

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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人気のショート動画SNS「TikTok」は、今後米国でサービスを継続するには米国企業に買収されるか、少なくとも米国に50%を譲渡して「合弁事業」になる必要があるとされています。

1月19日に施行されたTikTok禁止法は、大方の予想どおり翌20日に大統領に就任したドナルド・トランプ氏の大統領令によって、少なくとも75日間は猶予されることになりました。しかし、その間に米国企業などによる買収が決まる可能性はあるのでしょうか。

買い手としてその可能性が早くから取り沙汰されていたのは、中国政府がTikTok売却を検討していると報道されたテスラのCEOであるイーロン・マスク氏や、元Activision Blizzard CEOのボビー・コティック氏でした。しかしその後もAI企業のPerplexity AI、米Amazon、動画共有プラットフォームのRumble、TV番組『マネーの虎』のアメリカ版『Shark Tank』で知られるケビン・オリアリー氏および資産家フランク・マコート氏による「The People's Bid for TikTok」と呼ばれるグループなどが買収の意志ありと報道されており、その行方は不透明さを増しています。ちなみに「People's Bid」は、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の発明者であるティム・バーナーズ=リー氏も投資しているとのこと。

さらに新しい情報としては、チャンネル登録者数世界一のYouTuber、TikTokフォロワー数も第3位の「MrBeast」こと、ジミー・ドナルドソン氏が、人材管理会社Employer.comのCEO、ジェシー・ティンズリー氏らと協力して、TikTokを全額現金で買収する提案を正式に行ったことが報じられました。この団体には、トランプ大統領が司法長官に指名したパム・ボンディ氏の弟、ブラッド・ボンディ氏が加わっている点も注目されています。

@mrbeast

Let’s save TikTok from going down again

original sound - MrBeast

一方、OpenAIとソフトバンク、オラクルが米国内における5000億ドル超の人工知能インフラ投資を発表した記者会見の場では、トランプ大統領が「誰かに言おうと思っていることは、それ(Tiktok)を買収して、半分をアメリカ合衆国に譲るという考えだ。半分を渡せば、許可も出す。米国という素晴らしいパートナーを獲得できる」とオラクルのラリー・エリソンCEOに話し、エリソン氏がそれに対して「私には良い取引のように思える」と答える一幕もありました。

@nbcnews President #Trump says he’s open to #ElonMusk original sound - nbcnews

エリソン氏が本気で答えたのかはわかりませんが、TikTokは米国でオラクルのサービスを利用しています。一部の法律専門家は、大統領令で禁止法の施行は猶予されたとはいえ、この措置が、連邦法に違反してオラクルが最大8500億ドルの罰金を科されるリスクを負うことに対し、法的な保護を提供していないと指摘しています(そのせいか、アップルとGoogleはまだそれぞれの米国のアプリストアにTikTokを戻していません)。

潜在的な買い手からはいくつもの手が挙がっている状況のTikTokですが、親会社のByteDanceは、当初こそ米国でのサービス継続のための買収提案に前向きとされていたものの、ここ最近はアプリ売却関連の動きをほとんど見せていません。

もし、TikTokが米国に同事業を売却する場合、そこにはアルゴリズムを含めた完全な形での売却とするか、機密などの関係からアルゴリズムを取り除いた状態での売却とするかという話もあります。ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏はもし、アルゴリズムも含む場合のTikTokの価値は、約1000億ドル、アルゴリズムなしでも、約400~500億ドルと評価すると語っています。ただ、これ対しては、ByteDance側はアルゴリズムを含めて売却する意志はないとされています。

TikTokの禁止問題は米国における話であり、日本国内での同アプリの使用にはほとんど影響はありません。それでも、大統領令で指定された期限内に話がまとまるのか、まとまらずに米国からTikTokが撤退するのか、はたまたなんらかの予想外な結果になるのかは、今後も気になるところです。

《Munenori Taniguchi》

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