速報記事を書くならNotebookLM Plusが便利(Google Tales)

テクノロジー AI
佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

特集

それにしても、ほぼ毎日AI関連のニュースが届きますね。私は普段、海外(主に米国)のIT系ニュースの速報をお届けする仕事をしているんですが、最近ではAI関連の速報を書かない日はほとんどありません。

振り返ると、最初にOpenAIの記事を書いたのは2015年(10年前かー)ですが、件数が増えたのは2023年初頭くらいからです。

2022年には1年で46件しかAI関連の記事を書いていなかったのが、2023年には234件、2024年には317件と、ぐんぐん件数が増えました(年間に書く記事の総数はそれほど変わらないです)。

ちなみに、この件数は、毎月書いた本数を記録するために使っているGoogleスプレッドシートから集計しました。このシートは、1カ月を1タブとしてC列に記事のタイトル、D列にURLを入力する、という、すっごくアナログなものです。

でも集計は、Gemini Advancedで最近使えるようになった、思考過程も見せてくれる推論AI「2.0 Flash Thinking Experimental with apps」に相談してスクリプトを作ってもらってやりました。

▲2.0 Flash Thinking Experimental with appsに相談

スクリプト書いて、と頼んだのではなく「どうすればいいですか?」と尋ねただけで「Google WorkspaceのGeminiとGoogle Apps Scriptを使えばできますよ」と言って、スクリプト本体とそのスクリプトの使い方を懇切丁寧に教えてくれました。

スクリプトなんて、初めて使いました。Excelのセル関数すら自分で組んだこともない私が。

Geminiくんが助けてくれなかったら、1タブずつ「AI」を検索して足し算するところでした。

スクリプトの解説もしてくれています。(私にはないけど)勉強する気力があれば、ここで学んで、自分でスクリプトを書けるようになれそうです。

記事本数記録も、そのうちAIに手伝ってもらって、もっと楽にできるようになるかも。

こんな感じで、日常でも仕事でも、AIにお世話にならない日はありません。

一番お世話になっているのはGoogleの“バーチャルリサーチアシスタント”、「NotebookLM」。以前このGoogle Talesでもご紹介しましたが、自分の意見や主張を入れない速報記事を書くには最適なツールです。

このNotebookLMも日々進化しており、先日にはパワーアップした「Plus」が「Google One AIプレミアム」(月額2900円でGemini Advancedと2TBのストレージが使えるプラン)のサブスクでも利用できるようになりました。

▲NotebookLM Plusが使えるようになりました

作れるノートブックの数も、1つのノートブックに放り込めるソースの数も5倍になり、「そろそろ入れ過ぎかな?」と心配せずにがんがん使えるようになりました。

NotebookLMのいいところは、こちらが提供したソース以外の情報をしれっと挿入したりしないところ。なので、いわゆるハルシネーションは起こさない(はず)だし、ネット上のうわさに惑わされることも(たぶん)ありません。

例えば大手IT企業の決算発表の記事を書くなら、プレスリリースやCEOのSNSへの投稿などをソースとしてアップロードし、なんなら自分が書いた過去のその企業の決算記事もアップロードして、「この記事と同じフォーマットで今回の決算の内容を記事にして」と頼めば、ほぼ望み通りの記事が出てきます。

私は数字が苦手で、記事内で売上高を平気で一桁間違えたりすることがあるんですが、NotebookLMを使えばそういう心配もありません。

YouTube動画もソースとして使えるので、業績発表後の電話会見の内容も追加できる! と思いましたが、今のところ公開されてから72時間くらいたってからじゃないと使えないので、これは速報には入れられません。

もっとも、YouTubeの(英語版の)自動生成トランスクリプトはほぼ完璧なので、これをコピペしたテキストをソースとしてアップロードすれば、アナリストからの意地悪な質問にCEOがどう答えたかなども記事に入れられます。これもAIのおかげです。

すぐに完璧な記事を書いてもらえなくても、内容について質問すると、いろいろ答えてくれます。答えの根拠になるソースの部分も提示してくれるので、万が一ハルシネーションを起こしていても確認できます。

ソースにないことを質問すると「それはソースには含まれていません」とちゃんと言ってくれます。

もちろん、たまに暴走することもあります。先日は、なぜか急にキリル文字でfinance関連の単語の洪水になったことがありました。

▲ロシア語の単語の洪水状態

これについてNotebookMLに「ソースにはロシアについての言及はないと思いますが、なぜロシア語が?」と問うたところ、以下のようなお返事でした。

▲ロシア語を表示したことについての説明

釈然とはしませんが、「NotebookMLは不正確な場合があります」とあるので、これ以上問い詰めるのは野暮というものでしょう。フィードバックはしておきました。これも改善の役に立つと思います。

このように、速報レベルの記事を書くなら、人間に残されたやることは、書いてほしいネタを見つけてくることと、うまく記事を書いてもらえるようなプロンプトを考えること、できてきた記事に問題がないかどうかチェックすること、くらいです。

ネタ探しも、「Google Discover」で関心のある記事にいいねをし続けるうちに、結構最新の海外IT系ニュースが表示されるようになってきたのでこれを参考にできます(私のメインのGoogleアカウントは言語設定を英語にしてあるので海外ニュースが表示されます)。

▲Google Discover

そうそう、Geminiなどの登場より前に「Google翻訳」のレベルが上がっていったときも「あー、私の仕事は近いうちになくなるなぁ」と思ったものですが、さらにその日が近づいている感じの今日このごろです。

《佐藤由紀子》

佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

特集

BECOME A MEMBER

『テクノエッジ アルファ』会員募集中

最新テック・ガジェット情報コミュニティ『テクノエッジ アルファ』を開設しました。会員専用Discrodサーバ参加権やイベント招待、会員限定コンテンツなど特典多数です。