ニンテンドウ64互換機 Analogue 3Dが延期、7月出荷へ Analogue Pocket は白モデル再入荷 & アップデート

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Ittousai

Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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高精度な互換ゲーム機を開発・販売する Analogue が、NINTENDO 64互換の新製品 Analogue 3D を2025年7月出荷へ延期しました。

2023年末の初予告では「2024年発売」予定、2024年秋の正式発表と予約受付時には「2025年第1四半期」出荷予定だったため、順調に後ろ倒しが続いています。


Analogue 3D は、任天堂が1996年に発売した家庭用ゲーム機 NINTENDO 64 の互換機。当時発売された実機のカートリッジがすべて動作する「100%の互換性」に加え、実機コントローラのポートも当然4つ搭載します。

当時のカートリッジ・コントローラが使えることに加えて、4K HDMI出力、各社の Bluetoothや2.4GHz帯無線コントローラ対応、スクリーンショットの撮影など、現代的な環境にあわせ快適に遊べることが魅力の製品です。

Analogue 3D とは。FPGAを使った「100%互換性」うたう

単なるクローン以上の特徴は、回路構成を変更できるプロセッサFPGAを用いることで、N64実機のハードウェア構成自体を再現して高精度・低遅延で動作すること。

レトロゲームを互換性のない現代のハードウェアで遊ぶ場合、過去のゲーム機をソフトウェアとして再現して、そのなかでゲームを動かすエミュレータ方式が一般的です。

FPGAでロジック的にハードウェアを再現(シミュレート)するのも、ソフトウェアでエミュレートするのも究極的には同じことで、原理的な優劣はありません。

しかし現実的には、後者はモダンなOSの上にエミュレータが動作し内部でゲームが動く三層になり、土台となるOS側の制約を受けやすいこと、エミュレータ自体も完全を目指すと極めて高度に複雑になること、何より実装の目的が「妥当なコスト内で概ね当時のゲームが遊べる」レベルに置かれる商業的な理由などから、入力の遅延・映像や音の再現精度・特定ゲームの互換性など、どこかで妥協が発生することが大半です。

(ニンテンドースイッチのオンラインサービス Nintendo Switch Online +追加パックで遊べるNINTENDO 64ゲームでも、当初は大きな入力遅延が発生しており、「さすがに腕が落ちたなあ」と思ったらキャラクターが実機より一拍遅れて動くせいだった、というできごとがありました。これは原理的な問題というより、エミュレータの最適化が足りていなかったことが主な理由ですが。)

旗印は「ビデオゲーム保全活動」。4Kでブラウン管テレビの走査線やシャドーマスクまで再現

一方、Analogue は営利の互換ハードウェア企業ながら、ビデオゲームの保全活動を旗印に掲げ、当時の実機そのままの体験を目指すことをアイデンティティとしています。

FPGA上のN64再現に4年間を費やしたという「全ソフト100%互換性」や、入力遅延の低さ、フレームレートや描画タイミングの精度などに加えて、Analogue 3D は当時主に使われていたCRT(ブラウン管)方式テレビの映りの再現まで取り組むのも注目すべき点です。

64のゲームは多くが320 x 240ピクセルでしたが、Analogue 3D は約100倍にあたる3840 x 2160 の4K HDMI出力に対応。単純に引き伸ばすのではなく、64のゲームが前提としていたブラウン管テレビの描画方式から来る「走査線の隙間」や、物理的な構造による「シャドーマスクの形状」などを再現するモードを備えます。

販売中の携帯ゲーム互換機 Analogue Pocket もこの方針で作られており、3.5インチの小型画面にもかかわらず1600 x 1440 の高精細液晶パネルを採用。ゲームボーイやゲームボーイアドバンス、ゲームギア、PCエンジンGT / LT、アタリ Lynx など、それぞれが採用していたディスプレイの構造を再現して、サブピクセル配列やドットのスキマまで描画します。

完全新規に開発されたという3D OS は、現在公開されている画面写真から判断する限り、従来と同様のゲームデータベース機能、スクリーンショットの撮影やステートセーブ(どこでもセーブ)といった機能も備えます。

Analogue 3D の価格は249.99ドル。執筆時のレートで約3万8000円。Analogueの直販は日本国内向けにも発送してくれますが、結構な送料が必要です。現時点では売り切れとなっていますが、これまでの製品では限定モデルでないかぎり、または終売でないかぎり定期的に受注を再開しています。

なお Analogue 3D出荷延期と同時に、従来製品 Analogue Pocket と Analogue Duo のソフトウェアアップデート、再入荷も告知しています。

Analogue Pocket の更新は、バグ修正に加えて周辺機器の Analogue Dock併用時に、任天堂純正の Nintendo Switch 用メガドライブコントローラ、ファミコンコントローラ対応追加など。PCエンジン互換機のAnalogue Duo でも、アダプタを介してPCエンジンHuCardに対応する Analogue Pocket と共通のバグ修正が来ています。

再入荷はしばらく欠品だった Analogue Pocket ホワイトモデル。現在はいわゆる通常色にあたる ホワイト / ブラック ともに219.99ドルで購入できます。


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