イーロン・マスク、Twitter買収取りやめの意向。Twitter側は履行迫り訴訟へ

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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大富豪イーロン・マスク氏が、金曜の午後に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類で、440億ドルのTwitter買収契約から撤退する意向を明らかにしました。書類によると、マスク氏はTwitterが買収合意に対して重大な違反をし、交渉中に「虚偽の誤解を招く発言」があったとしています。

「過去2か月、マスク氏は『「Twitterのサービス上のフェイクアカウントまたはスパムアカウントの蔓延を独立して評価する』ためのデータ提出を要求してきたが、Twitterはこの情報を提供できなかったか、または拒否した」とマスク氏の法律チームは書類で主張しています。

マスク氏は4月に発表した買収合意の直後から、「プラットフォーム上のスパムボットアカウントの数が5%に満たない」とのTwitterの報告は正しくなく、投資家やユーザーを騙していると主張しています。そしてTwitterに正確な数字を出すまで買収取り引きを停止すると述べていました。

これに対して、Twitter側は一貫して「マスク氏と協力し、求められた情報を共有する」と述べ、買収契約は全株主にとって最善の判断であり、合意した価格および条件で取り引きを完了すると述べてきました。また、Twitterのパラグ・アグラワルCEOは、十分な数のアカウントを無作為に抽出し、そのなかのボットアカウントの数の割合を調査して全体の割合として一般化するという算出方法を用いているとも説明していました。

そして6月には、依然としてTwitterが嘘をついていると主張するマスク氏に対し実質的にTwitter上のすべてのツイートにアクセス可能な管理ツール「firehose」をマスク氏に提供し、マスク氏側が直接Twitterの主張を確かめられるようにしています。

Twitterが万能ツールの提供を申し出て以降、マスク氏によるTwitterのボットアカウントに関する発言は減ったように思われました。しかしマスク氏はその主張を曲げてはおらず、今回のSECへの書類中で「Twitterはまだマスク氏がスパムやフェイクアカウントを完全かつ包括的に調査できるような情報を提供していないが、Twitterはその数を劇的に少なくしているようだ」と述べ「これまでに提供された情報をアドバイザーによって予備的に分析したところ、やはり問題とするアカウントの割合はTwitterの言う5%よりもはるかに高いと確信している」とこれまでと変わらない主張を表明しています。分析したその内容や「5%よりも高い」とする根拠は示していません。

Financial Timesは、マスク氏が買収合意からの撤退を表明したことについて、Twitter側が取り引きを成立させるために法的措置を講じるとするTwitter取締役会の声明を伝えました。またTwitter取締役会のブレット・テイラー会長は「われわれは、マスク氏と合意した価格と条件で取引を完了させることを約束し、合併契約を執行するために法的措置を取る予定である」とし「デラウェア州衡平法裁判所で勝訴すると確信している」とツイートしています。

マスク氏とTwitterが買収契約に合意したとき、その契約内容には、どちらか一方が契約から撤退する場合は10億ドルの違約金を支払うとの条項が含まれているとされます。これはマスク氏が440億ドルを用意できなかった場合、そしてTwitter側に別の買い手が現れるか、Twitter取締役会が買収反対に票を投じた場合を想定したものでした。

あくまでTwitterの対応が契約違反だと主張していることから、マスク氏が買収契約から違約金を払わずに出ていこうとしている事は明白です。そしてTwitter側は株主の利益のため契約を完了させると一貫して述べているので、Twitter取締役会が言うように裁判になる可能性は高く、そうなると法廷での闘争は長期におよぶ可能性がありそうです。

Source:SEC
via:TechCrunch, Engadget

《Munenori Taniguchi》
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