USBの規格策定を管轄する団体USB-IFが、USBの「SuperSpeedロゴ」の表示推奨をやめ、その機器が採用する通信速度や給電可能な電力をわかりやすく示すよう改める方針を発表しました。
SuperSpeedロゴはUSB 3.0が発表された2007年に、それまでの旧バージョンとの速度をわかりやすく表示することを意図して導入されました。当時はUSB 3.0が5Gbpsで「SuperSpeed」、USB 2.0は480Mbpsで「Hi-Speed」と表示され、それよりも遅い「Full Speed(12Mbps)」、「Low Speed(1.5Mbps)」という表示も取り決められています。
その後15年が経過した現在までに、USB規格は複雑な発展を遂げました。通信速度は最大で40Gbpsにまで高速化し、2019年にはUSB 3.0をUSB3.1 Gen 1、USB 3.1はUSB 3.1 Gen 2、そしてUSB 3.2はUSB 3.2 Gen 2x2と、規格はそのままに名称だけが改められたことで、市場に出回っている商品が採用するUSBの通信速度などは、もはやパッケージの細かい仕様表記を確認しなければ把握しにくくなってしまっています。
このころになると、もはやSuperSpeedロゴはほとんど意味を成さなくなってしまっていました。しかしそれでもUSB-IFはSuperSpeedの表示に固執し、機器ベンダーには仕様を表す「USB 3.~」表記ではなく「SuperSpeed USB」に通信速度を添えて記すよう求めていました。
今回、USB-IFは消費者が混乱するUSB機器の規格をわかりやすくするため、新しいガイドラインとロゴの表記例を公開しました。この新しい表記ガイドラインでは、たとえばUSB 3.2 Gen 2x2の機器なら、その製品やパッケージにはわかりやすく「USB 20Gbps」と表示するよう推奨するようになっています。USB 3.2 Gen 2の機器なら「USB 10Gbps」となり、もはやそれだけでは何の情報も得られないSuperSpeedのロゴや文字はありません。
さらに、今後主流になって行くであろうUSB4対応機器も同様の扱いとなり、わかりやすく「USB 40Gbps」と「USB 20Gbps」の表示でブランディングをしていくことが推奨されます。おそらく、USB4 Version 2.0が製品として発売になる時には「USB 80Gbps」と表示されるはずです。
ただ、このように通信速度で表記することを推奨するのはあくまでSuperSpeedでいっしょくたにされていたUSB 3.0以上の機器が対象となります。物理的なコネクターがUSB-C、USB-A、USB-Bのいずれでも、規格上USB 2.0を使用している場合は”USB 480Mbps”とはならず、これまでどおりHi-Speed USBロゴでの表記を推奨するとのこと。
いまどきUSB 2.0以下を採用するのは、キーボードやマウス、せいぜいプリンターといった機器であり、消費者がHi-SpeedがたとえばUSB 5Gbpsの製品より相当に高速だと認識することはないはずです。むしろ「USB 480Mbps」と記せば、単位の理解が及ばず「USB 5Gbps」より高速だと勘違いされる可能性の方が高そうです。
一方、USB Type-Cケーブルに関しては、通信速度と給電能力の両方を示すロゴが推奨されるようになります。これに関しては、仕様上の名称やSuperSpeedといったブランディングを使わず、推奨内容に統一することが望まれています。たとえば、USB 5GbpsのケーブルでUSB PDによる給電能力が240wに対応していれば、「USB 5Gbps / 240w」のようなロゴ表記になるということです。またUSB 2.0でもUSB PDによる給電能力が240wにまで対応していれば、ロゴは速度表記せずUSB 240wといった具合になります。
今回の変更により、われわれユーザーがUSB製品を購入しようとしたとき、パッケージのロゴマークを見れば、必要な仕様を満たしているかどうかがすぐにわかるようになるはずです。ただ、今回の表示変更は、同じUSB-Cコネクターを使用する、インテルのThunderbolt規格でサポートする機能まではカバーしていません。
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