Google初のスマートウォッチ「Pixel Watch」に触れて振り返る、Apple Watchより長いその歴史(Google Tales)

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佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

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Googleがスマートウォッチのプラットフォームを発表してから8年、数年前から噂のあったオリジナルスマートウォッチ「Pixel Watch」がようやく発売されます。

Google、Fitbitの機能組み合わせた「Pixel Watch」発表。3万9800円から

Googleがスマートウォッチプラットフォームの「Android Wear」を発表したのは2014年3月のこと。Appleが「iWatch」を開発中という噂は2013年からありましたが、「Apple Watch」が発表されたのは2014年の9月なので、オリジナルはなかったものの、スマートウォッチ構想を発表したのはGoogleの方が早かったのでした。

▲只今予約受付中

▲発表時に公開された動画より(動画は現在、非公開に)

Appleデザイントップ(当時)のジョナサン・アイブが「腕時計を円形にするなんて意味ないよ」と主張しても円形ディスプレイにこだわり、Motorola(当時はGoogle傘下だったのでオリジナルと言えなくもない)やLG ElectronicsからほそぼそとながらAndroid Wear搭載ウォッチが発売されました。

それからずっと、Googleオリジナルスマートウォッチが出るのを待っていました。

そのうち(2018年3月)に「Android Wear」を「Wear OS by Google」に改称したり、2019年1月には比較的洗練されたデザインのスマートウォッチを販売していたFossil Groupのスマートウォッチ関連IPと人材を4000万ドルで買収したり、同年11月には独自OSのスマートウォッチを販売するFitbitを約21億ドルで買収すると発表したりして、そのたびに「これはいよいよオリジナルデバイス出る?」と期待したものでした。

▲Fossilはいまも「Wear OS by Google」搭載スマートウォッチを販売しています

Fitbitの買収は規制当局の調査などで時間がかかり、2021年1月にやっと完了。この年の年次開発者会議「Google I/O」で「Wear OS by Google」とSamsungの「Tizen」を統合するという発表(後に「Wear OS 3」という名称も発表)があり、基調講演にはFitbitのジェームズ・パークCEOも登場。これで、やっと、たぶん、Pixel Watchが出るな、と期待が高まりました。

で、2022年5月の「Google I/O」で「今秋に出すよ」と正式発表。ああ、長かった。

そして、10月6日に「13日に発売です」と発表。待ちすぎて実感がわかないくらいですが、感慨深いです。

▲10月6日のイベントでPxcel Watch紹介を担当したのは、Fitbit創業者でCEOのジェームズ・パークさんでした

日本で行われた記者発表会(スンダー・ピチャイCEOのサプライズ登場あり)で実物とご対面できました。

▲ニューヨークでの発表会では(昨年同様に)出番なしだったけど日本の発表会には出て、その後1000億円規模の投資を発表したピチャイCEO

Pixel Watchの実物を見て、待ったかいがあった!と思えました。側面がカーブした円形ディスプレイはベゼルがないように見え、ベルトとの接続部分もなめらか。写真で知ってたつもりでしたが、実際に見るとまたいいんです。

ケース(時計の本体)が直径41mmと小さめなので、かろうじて私の腕でもはみ出しません(腕が細いのでApple Watchの小さい方でもすごく大きく見える)。

Made by Googleイベントで「カメラのレンズの脱着方法をヒントにした」と説明されていたバンドの付け替え方法は、ちょっと難しそうでしたが、慣れれば大丈夫そう。

Googleサポートページより

今のところ着せ替えバンドは純正しかありませんが、売れ行きが好調であれば、サードパーティ製バンドへの道が開けるかもしれません……と書きながら調べたら、Amazonで既にサードパーティ製バンドが売り出されていました。ただ、互換性については保証されていないので、敬遠しておいた方がよさそうです。

Googleストアでの予約が始まって1日で、「在庫なし」になったバンドもあります。本体にはもちろんバンド(コーティング加工フルオロエラストマー製)が2サイズ付属しますが、1万円以上する革製バンドが在庫なしに。

▲Ivyカラーの革製バンド、いい色

楽しみにしていた人がたくさんいたんだと思います。私も楽しみです。

Androidスマートフォンも、プラットフォームの発表は2007年でしたが、しばらくはサードパーティ(第1号はHTCのG1)にデバイスを作ってもらっていました。Nexusが出たのは2009年、本気のPixelシリーズがでたのは2016年10月と、プラットフォーム発表から9年後でした。

それを考えれば、8年でオリジナルが出たんだから早いと言えなくもないです。

決済で使えるのが今のところSuicaだけだったり(私はPASMOユーザー)、LTEをサポートするのはKDDIとソフトバンクだけだったり(私はIIJmioユーザー)、日本では心電図機能が使えなかったり(Apple WatchはSeries 4から使用可能、ただし日本では2021年1月から)、バッテリー持続時間が公称24時間だったり(今使っているFitbit Luxeは48時間)しても、楽しみですっ。


追記:連載名を「Google Tales」に変更しました。

《佐藤由紀子》
佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

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