2023年のiPhone 15(仮)シリーズのうち、少なくともProモデルは従来のLightning端子を廃止してUSB-Cポートを採用することが確実視されています。
なぜかといえば、EUが2024年秋までに加盟諸国で販売されるスマートフォンやアクセサリーの充電端子にUSB-Cの採用を義務づける「共通充電機器法」を可決したためです。それは今月初めのことですが、数年前から法案は成立に向けて着々と進んでおり、アップルも準備している可能性が高いというわけです。
そんななか、アップルの幹部が「EUの決定を遵守する」、つまり将来のiPhoneをいずれUSB-Cに移行させると受け取れる発言をしています。
米The Wall Street Journalのイベントに登壇したのは、アップルのマーケティング担当上級副社長であるグレッグ・ジョズウィアック氏。その場でジョズウィアック氏が、上記の発言をしたしだいです。
しかしジョズウィアック氏は、EUの決定に満足していない様子です。ほぼ10年前、EUがmicroUSBコネクタを推進していた頃(2014年にはmicroUSBへの統一方針を決定)アップルとは意見の食い違いがあったとのこと。EU側の狙いは電源アダプタの種類を減らしてユーザーの負担を減らすことでしたが、アップルも同じ問題に違う方法で取り組んだ、と主張しています。
具体的には「ケーブルが着脱できる電源アダプタという、より良い手法を採りました。USB-AとUSB-Cの2種類があり、デバイスに合ったケーブルを選べます。その結果、10億人以上の人々がこの(Lightning)コネクタを使う上で、すでに持っているもの(充電アダプタ)を流用でき、電子廃棄物を大量に発生させることもなくなりました」とのことです。
つまりケーブルと充電アダプタを分離して、Lightning-USBケーブルおよびUSB-C-Lightningケーブルを導入したことで、すでに流通済みの他社アダプタも使えて環境保護に貢献している……と示唆しているようです。
ともあれアップルが事実上「iPhoneのUSB-Cへの移行」とれる発言をしたことは事実であり、意義は小さくありません。ジョズウィアック氏はひと言もiPhoneと特定していないようですが、第10世代iPadの登場でiPadもUSB-Cにほぼ切り替えられ、MacBookも数年前に移行している中では、何を意味しているかは明白でしょう(まだラインナップに残る第9世代iPadはLightningのままですが)。
アップルが現地政府の決定を遵守するのはいかにも当たり前に思えます。が、2020年のiPhone 12以降で電源アダプタの同梱を辞めた際に、ブラジル政府が是正を求めていたものの、同社は従わず罰金を申し渡されたこともありました。しかしブラジルとEUとでは市場の規模が大きく違うため、今回は穏やかに従うのかもしれません。
もっとも、アップルのUSB-C時代は30ピンのiPadコネクタやLightningよりも遙かに短命に終わるとの見方もあります。
あくまで同社の未来はワイヤレス充電にあり、iPhoneが充電端子を含めて外部ポートの一切ないポートレス化を果たせば、EUの法規制も逃れられるというわけです。iPhone 15 ProモデルにUSB-Cを搭載しても、しょせん一時しのぎと割り切っている可能性もありそうです。
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