Twitterの新CEOイーロン・マスクが打ち出した「誰でも月額課金で青いチェックマーク(認証マーク)が買える」施策に関連して、懸念された「なりすまし」や著名人・企業などと紛らわしいアカウントへの対応策が明らかになりました。
イーロン・マスクによれば、Twitter で他者のふりをするアカウントは、明確に「パロディ」と表示しないかぎり、事前の警告なしで永久凍結の対象になります。
Twitter を買収したイーロン・マスクは、現在一部の地域で提供している月額課金プラン Twitter Blue を月8ドルに値上げするとともに、青いチェックマークの「認証マーク」を特典とする施策を準備しています。
アカウント名の後ろに付く青いチェックマーク「認証マーク」は従来、著名人や企業、報道関係者など、なりすましの害が多いアカウントに対して、Twitterが「プロフィールどおりの本人であることを確認しました」の意味で付与してきました。
基本的にはTwitter社が選定した特定のアカウントに与えられるもので、自分からリクエストする場合は地域の上位0.05%に入るフォロワー数であったり、特定リーグ以上に所属するスポーツ選手であるなど、厳しい条件が課せられていました。
(それにしては創業者のお母さんに与えたり、なぜ認証済みなのか分からないアカウントも多数ありますが)。
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イーロン・マスクはこの認証マークに対して、「貴族と平民のような現在の仕組みはクソ」「民衆に力を」と称して、月に8ドル払えば従来よりも広く一般ユーザーでも着けられる仕組みを用意させています。(エンジニアを「11月7日までに実施できなければ解雇」と脅したとの報道も)。
新 Twitter Blue 有料プランに加入すると、青いチェックマークのほかに「リプライやメンション、検索等で自分のツイートやアカウントが優先的に表示される」「広告が半分に減り、残りも関連性が高くなる」「長い動画を投稿できるようになる」など。
イーロン・マスクはこの8ドルの認証マーク配布について、「詐欺やスパム、Botと戦う唯一の方法」として、支払手段があり認証マークがあるユーザーは基本的に信頼できるTwitterを作ろうとしています。
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しかしこの「誰でも認証マーク」プランの当初から懸念点として指摘されているのは、多数の一般ユーザーの加入を前提としたこの仕組で、どの程度の「認証」(本人確認)があるのか、 逆に紛らわしいアカウント名に認証マークをつけて良からぬことを企むユーザーが増えるのではないかという点でした。
Twitter は新Twitter Blueに加入する際、身分証明書等を提出するような本人確認があるのか等を明らかにしていません。
もし仮に支払手段さえ登録できれば加入できるのであれば、従来は「本人であることをTwitterが審査して認証した」の意味であったところが、今後は「クレジットカード等の支払い情報が有効であったことを認証しました」マークになる可能性もあります。
イーロン・マスクがツイートしたのは、こうした懸念に対するコメント。
いわゆるなりすましアカウントや、誰か他人のふりをするアカウントに対しては、明確に「パロディ」である旨を表示しない限り、無警告で永久凍結になるとの内容です。
背景として、イーロン・マスクによる買収の前から、いわゆる悪意のある「なりすまし」行為はTwitterルールで禁止されており、凍結等の対象でした。
他のTwitter利用者の快適性を損なうような形で、個人、グループ、組織になりすましたり、捏造されたアイデンティティを使用したりする行為は禁止されています。
(Twitterヘルプセンター「パロディ、コメンタリー、ファンアカウントに関するポリシー」)
一方で、アカウントやプロフィールの一部に著名人などの名前を使いつつ、詐欺行為や悪意ある誤情報の拡散等を目的とせず、パロディの形式で表現したりファンの立場で発信するアカウントを区別して保護するため、アカウント名とプロフィールの両方に「パロディ」「偽」「ファンアカウント」等と明確に表示する条件を設けて処罰の対象外としています。
イーロン・マスクが発表した新方針も、原則的には従来のルールに沿ったもの。しかし従来は警告を与えてから凍結の流れになっていたところ、今後はTwitter Blue 有料プランへの加入条件としてパロディアカウントの明示を厳格化し、違反には即凍結をもってあたるとの説明です。
また「誰でも認証マーク」で懸念されたもうひとつの点、認証マークを取得してから名前を変更した場合は?については、名前を変更した時点で認証マークを一時的に失うとのルールが示されています。
明解なようでいて、実際の運用としては「なりすましでない」かどうかの判定は極めて難しい気もしますが(「ダース・ベイダー本人です」とかはともかく)、このように厳格なルールを設けることで、事後にでも永久凍結のリスクがあることは悪用に対して一定の抑止力になると考えられます。
(もちろん、認証マークが誰でも取得できるようになった直後のタイミングで、アシがつきにくい手段で8ドルを支払い、詐欺を働いて逃げることも可能ですが、少なくとも支払手段の登録が一定の抑止力にはなります)
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