タッチスクリーンMacBook Proが2025年に登場?若者取り込みのため方針転換か

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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アップルは創業以来、タブレットやスマートフォン以外のコンピューター製品にはタッチスクリーンを搭載しない方針を一貫しており、事実上それと近いことを意味する「iPadとMacの融合」についても何度となく否定を繰り返してきました。

しかし、ついにその方針を転換し、2025年発売に向けてタッチスクリーン搭載MacBook Proの開発を進めているとの未確認情報があります。

なぜMacBookにタッチスクリーンが搭載されないのか? その始まりは共同創業者にしてカリスマのスティーブ・ジョブズ元CEOが「タッチ画面は(ノートPCのように)垂直にしたくない。人間工学的にも最悪だ」と頭から否定したことでしょう。

この発言はiPad発売後であり、HPなどがタッチスクリーン搭載のWindows PCを投入したタイミングであることから、「MacBook本体と垂直にそそり立つタッチパネルは拒否」したと解釈できます。

なお2016年以降のMacBook Proに採用された(こともある)Touch Barも有機ELのタッチスクリーンではありますが、垂直ではなくキーボード上段に配置されているためノーカウントだと思われます。

が、アップルの社内情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者はニュースレター「Power On」最新号にて、2025年に発売予定の有機ELディスプレイ搭載MacBook Proが「初のタッチスクリーンMac」になるかもしれないと主張しています

なおGurman氏いわくTouch Barは「不発弾」とのことで、社内では多大な期待が掛かっていたが空振りに終わったと示唆しているようです。

この記事で指摘されている、現在のアップルがめざす目標は2つあり、1つは全製品のソフトウェアとサービスを統一すること。もう1つは独自開発チップへの移行を成功させ、PC市場でより大きなシェアを獲得することです。

これらを達成したければ、Macにタッチディスプレイを追加するのが最重要とのこと。それは次世代の製品ユーザーを獲得する一方で、複数のアップル製品を持つ顧客によりよい体験を提供することにも繋がるから、と説明しています。

さらにかみ砕けば、iPhoneやiPadなどが初アップル製品だった世代にはキーボードとトラックパッドのみのMacでは馴染みにくい。また同一ブランドのiOS/iPad用とMacアプリがあった場合、両方の操作がタッチパネルと非タッチ操作ではゼロから覚え直す必要があり、不便を強いられるということでしょう。

アップル幹部らはiPadとMacを融合させるつもりはない、それぞれのカテゴリーで最高の製品を作ろうとしているだけと主張。その上に「2つのカテゴリーをなくして1つにしようという壮大な陰謀」を憶測する向きがあるとして、バッサリと否定したことが何度もあります

しかし、iPadとMacアプリの融合は、アップル自らが始めたことです。2019年にはiPadアプリをMacに移植しやすくする「Project Catalyst」を発表し、その1年後にはM1チップ、すなわち初代Appleシリコン(独自開発チップ)とmacOS Big Surへの移行時に、iPhoneアプリをMacで動かすことを、開発者のオプトアウトがない限りは可能としています。

とはいえ、iOSアプリはタッチ操作専用に設計されているため、キーボードやトラックパッドでは扱いづらいことは、Macで一度でも利用した人であれば痛感しているはず。

そのため、Gurman氏は「アップルがすべてのデバイスでうまく機能するソフトウェアエコシステムを作りたいのであれば、製品は複数の入力方法をサポートする必要があります」と述べています。実際にiPadでは早くからキーボードに対応し、トラックパッドも利用可能となり、すでにタブレットのノートPC化は始まっているというわけです。

最近Gurman氏はタッチスクリーンMacの必要性を訴えつつ、アップル社内でプロジェクトが進行中だと繰り返し伝えています。つい先週も、同社のエンジニアが積極的に取り組んでいると報じたばかり

その初号機はトラックパッドとキーボードを備えたノートPCデザインを引き継ぎつつ、画面はiPhoneやiPadのようにタッチ入力に対応するとのこと。ただし、iPadOSとは融合させず、macOSを使う可能性が高いと述べていました。

先週は「まだ発売は確定しておらず、計画が変更される可能性はある」との但し書きつきでしたが、最新記事では「すべてが計画通りに進んだ場合は、他のMacにもタッチが追加されるかもしれない」とポジティブな論調となっています。

iPhoneやiPad、アマゾンの安いタブレット製品や冷蔵庫にまでタッチスクリーンが付いてくる今となっては、MacBookにタッチ操作がないのは逆に違和感を覚える人も少なくないはず。

マイクロソフトのSurface ProシリーズとSurface Laptopシリーズのように、将来的にiPadとMacも「キーボードが外付けか、内蔵か」のみの違いとなるのかもしれません。


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《Kiyoshi Tane》
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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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