このChatGPT機能、もっと早く出ていたらだいぶ楽だったのに……。
そんなAIサービスが今日リリースされました。昨今話題の生成系AI、チャットAIを使いやすくするサービスです。
筆者が他界した妻の写真をAIで生成していることに対してさまざまなご意見を頂戴し、それに対する考えを記事にしたのが1月6日。SNSなどから拾ったコメントを分類し、いろいろな立場からの異論・反論・オブジェクションに対して回答していったのですが、非常に骨の折れる作業でした。もちろん、記事を書いたことによる成果は非常に大きく、その後はほとんど反論らしい反論は見かけなくなったのですが、事前にこうした反響をシミュレーションできていれば、記事内に予防線を張っておけたかもしれません。
そうしたセンシティブな話題のときの反響をある程度推定し、対策できるようなサービスが出ました。
清水亮さんが開発・運営している画像生成AIサービス「Memeplex」の新機能「GPTブロック」。日本ディープラーニング協会が昨日YouTubeストリーミングした「JDLA緊急企画!「生成AIの衝撃」~ ChatGPTで世界はどう変わるのか? ~」で清水さんがデモしたものです。
ChatGPTなどのチャットAIに複数の役割を演じさせ、特定の話題について議論させるアイデアは、深津貴之さん、清水亮さんがChatGPT登場の初期にGPT-3 APIを使ってやってみせてくれていましたが、それをやるためにはけっこうな準備やプログラミング技術が必要でした。今回紹介するGPTブロックは、筆者のようなノンプログラマーでも簡単に使えるものです。
GPTブロックの正式名称は「GPT Blockly by Memeplex」。Blocklyというのは、Googleが提供する、ブロックを使ったビジュアルプログラミングライブラリで、文字列を書き込んだ複数種類のブロックを組み合わせていくことで、プログラミングができるというもの。
GPTブロックは、これでChatGPT APIを制御し、ユーザーが望む議論をわかりやすく出力することが可能になります。なお、この新機能は有料のChatGPT APIを使用するため、Memeplexのブーストモードに限定、最短で30分5ポイントが消費されるようになっています。
用意されたブロックは3種類。テーマ、キャラクター設定とその発言の指向性、要約とその対象。例えばテーマを「AIアート作品コンテストにおける、亡くなった妻の音声と映像をAIで再現したミュージックビデオ作品のプレゼンテーション」とし、キャラクターとして審査員のプロフィールを設定すれば、そのキャラクターから想定される質問内容や主張をシミュレーションできます。
▲GPTブロックの作例
筆者は3月12日、つまりこの記事の執筆から2日後に開催される「第一回AIアートグランプリ」で、実際にこうしたプレゼンテーションを行うわけですが、その想定問答ができるというわけです。
やってみましょう。
使いたいブロックを右にドラッグコピーし、項目を記入・選択。各ブロックをガッチャンコさせればブロックが繋がります。要約ブロックは、複数キャラの発言をまとめる機能を持っています。
審査員のキャラクター設定に合致した回答がなされていて、なかなか興味深いです。プライバシーや尊厳の侵害、アートの役割についての言及もあります。
RUNボタンを押すと、1分もしないうちに回答が作成され、テキスト表示とともに音声(高速)で読み上げ始めます。今回はこんな具合でした。
映画監督遺族に対する尊重が欠けている。亡くなった人々のプライバシーや肖像権を軽視し、感情移入することがアートではない。
漫画家アートは人々の感情を表現するもの。尊重は大切だが、亡くなった人々が残したメッセージを伝えることで、彼らの存在が讃えられる。
テレビプロデューサーアートは人々の感情を表現するだけでなく、歴史や文化を伝える重要な役割も持っています。亡くなった人々の作品を尊重し、彼らが残したメッセージを伝えることで、より多くの人々が彼らの貢献を認めることができます。
弁護士同じく感じます。アートは、過去から現在に至るまで、人々の生活や考え方を反映しています。その尊重と伝承が、次世代に良い影響を与えることも期待できます。
CGアートの巨匠アートは歴史の鏡。尊重は真実の継承だ。
「遺族に対する尊重と、亡くなった人々の作品の伝承がアートの大切な役割であるという意見が述べられた。アートは感情や歴史、文化を表現する鏡であり、その尊重がそのまま真実の継承につながるという見解も示されている。」という要約も作成されました。
▲これだけの内容が一度に生成された
この記事を執筆している途中で新機能が追加されました。それぞれのキャラクターに沿ったプロフィール画像が自動生成されるのです。これは、チャットAIと画像生成AIを併せ持つMemeplexらしい機能と言えるでしょう。ただ、画面キャプチャと作例は作り直しとなりました。実装スピードが速すぎるよ……。生成系AI周りは全てそうなんですが。
筆者のプレゼンテーションと審査員のみなさんからの反応が実際にどうなるかは、YouTubeでの配信をご覧いただければと思います。筆者以外の入選作品はどれも高水準なもので、その作者にリアルで会って話ができるのも楽しみです。
AINOW・おざけん氏、スマートニュース川崎裕一氏、デジタルハリウッド大学大学院客員教授・白井暁彦氏をゲストに迎えたトークセッションも開催されます。司会は、いとうまい子さん。
配信は3月12日の午後3時スタートです。