3Dプリント製ロケットが世界初の打上げ試験、軌道到達はならず

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Munenori Taniguchi

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カリフォルニア州ロングビーチを拠点に商用軌道打ち上げサービスの開始を目指すRelativity Spaceが、世界初となる3Dプリンターで製造したロケット「Terran 1」の試験打上げを実施しました。

3月23日にフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の16番発射場から離陸したロケットは、Max-Qと呼ばれる、機体への構造的な負荷が最も大きくなる時間帯を乗り越え、さらに1段目ブースターの切り離しも順調にこなしました。

ところが離陸から約3分前後のところで、2段目ブースターが正常に噴射しない不具合が発生し、軌道到達は不可能と判断され打ち上げ中止の指示が出されました。Relativity Spaceは、問題が発生した原因については明らかにしていません。しかし「近日中には」情報のアップデートを提供するとツイートしています。

3Dプリントされたロケットの初めての打ち上げにおいては、Max-Qを超えることが「最も重要なポイント」だとRelativity Spaceは事前に述べていました。したがって、ロケットは目標としていた軌道には到達しなかったものの、打ち上げ試験としては成功と言えるかもしれません。

Relativity SpaceのArwa Tizani Kelly氏は「3Dプリンターで作ったロケットを軌道に乗せるという試みは、これまで誰もやったことがなかった。今日はうまくいかなかったが、3Dプリントされたロケットの打ち上げは可能だということを示す十分なデータを集めることができた」と述べています。

Kelly氏はさらに「私たちは、3Dプリントロケットが構造的に実用可能であることを世界に証明するための、大きなステップを完了した」と付け加えました。

Terran 1ロケットは全体の質量に対して約85%のパーツを3Dプリンターで製造しており、将来的には95%にまで引き上げていくことを計画しています。

今回のTerran1ロケットは高さが33mで、最大1.25tのペイロードを地球低軌道に送り届けることができるとされています。そして将来の商業打上げミッションを、1回あたり1200万ドル(約15.7億円)ですでに受注開始しています。

このTerran 1による商業打ち上げサービスがビジネスとして軌道に乗れば、Relativity Spaceはこのロケットで得た知見をもとに、「Terran R」と称する高さ66m、最大20tのペイロードを打ち上げられる大型ロケットの生産に向けて前進することになるはずです。

ちなみに、Terran 1は燃料に液体メタンと液体酸素を使う「メタロックス」を使用しており、今回の打ち上げがすべて成功していれば、史上初めてメタロックス燃料でペイロードを軌道に送り届けたロケットになるはずでした。メタンと酸素は、いずれも火星で現地調達できると考えられており、SpaceXのStarshipも、メタロックス燃料を使う設計になっています。



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