ニュージーランドの航空宇宙ベンチャーDawn Aerospaceが、ゆくゆくは地上と宇宙間で1日2便の運行を目指すロケット飛行機「Mk-II Aurora」の初めてのロケット推進飛行試験を完了しました。
Mk-II Auroraは3月29日から31日にかけ1日1回ずつ、計3回のロケット推進飛行を行いました。一連の試験飛行では、最高速度196mph(315km/h)の飛行速度を達成し、高度6000フィート(1830m)にまで上昇しました。これは、2021年にテスト用のジェットエンジンを搭載したMk-II Auroraで達成したときと大差ない記録ですが、Dawn Aerospaceのチームは今回の試験飛行は「主要なシステムと機能を検証する」ことを目的としていたと述べています。
この機体は全長4.8m、自動車ぐらいの大きさで、開発中のMk-IIIのための技術実証機としての役割を与えられています。Dawn Aerospaceはロケットを一般的な飛行機のように滑走路を用いて離着陸運用することを考えており、Mk-IIIでは最大250kgまでの人工衛星などを搭載して離陸、高度100kmで2段目ブースターに点火し地球低軌道(LEO)までペイロードを輸送する能力を備える計画。また質量1トンまでの積荷を宇宙弾道飛行(準軌道飛行)に運ぶことも可能だとしています。
滑走路を使用して離着陸するため、Dawn Aerospaceはニュージーランド運輸省の民間航空局からMk-IIの飛行場での運用許可を2020年12月に取得。一般的な宇宙ロケットの打上げでは、発射場の周辺にある空港ではロケットが大気圏を脱出するまで離着陸を待機します。これは万が一、打上げの最中に事故が発生した際、ロケットの飛ぶ空域にデブリが降り注ぐ可能性があり、二次災害を引きおこす可能性があるためです。しかし、Dawn Aerospaceの宇宙機は飛行機と同様の離着陸となるため、この制限が必要なく、またロケットの打上げ施設を使うこともありません。
Dawn AerospaceはMk-IIIが使用可能になる前に、Mk-IIを使っての商用飛行実現にも取り組むとしており、それも1日2回のペースでの離着陸を目指しています。Dawn Aerospaceのステファン・パウエルCEOは「Mk-II Auroraの成功に続いて、われわれはMk-III の開発を計画しています」「われわれの業界のCO2排出量の大部分は、ロケットの燃料消費ではなく、その製造過程に由来します。私たちの Mk-III 飛行システムは、96%を再利用可能とするように設計されています。これは、持続可能な未来という私たちのビジョンを実現するための鍵になるものです」と述べています。