ソフトバンクが1.7億ドル出資したソーシャルアプリ「IRL」、95%がボットとバレて閉鎖

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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2021年にソフトバンクが1.7億ドルを投資し、評価額11.7億ドルのユニコーン企業として注目されていたソーシャルメディアアプリサービスのIRLが、6月27日をもってサービスを閉鎖しました。

IRLには、2022年年12月にユーザー数を偽り投資家を誤解させた可能性があるとして米証券取引委員会(SEC)が調査入りし、それを受けて取締役会はCEOのAbraham Shafi氏を停職処分にしていました(その後辞任)。

また、今年4月には取締役会による内部調査の結果、2000万人と公称していたユーザーのうち、95%が「自動化アカウントまたはボットアカウントによるもの」だったことが判明しています。

IRLは2017年に立ち上げられ、リアルな体験を好むというZ世代をターゲットに、ユーザーが興味のあるグループ活動やイベント開催へのアクセスを提供するソーシャルアプリと宣伝されていました。2021年6月にはソフトバンクのビジョン・ファンドによる1億7000万ドルのシリーズC資金調達ラウンドを経て、評価額が10億ドルを突破、ユニコーン企業のひとつに数えられるようになりました。このときのユーザー数は1200万人と言われていました。

IRLは小規模の新興企業らしいフットワークの軽さも見せ、新型コロナのパンデミックが拡大した際には、姿を消した対面式イベントに代わってeSportsイベントやコンサートのストリーミング配信などオンライン情報の提供に軸足を移すといった素早い方向修正も披露していました。

ところが、ソフトバンクの出資後しばらくした頃から、IRLの様子がおかしくなり始めたようです。たとえば2021年に、従業員数をそれまでの3倍以上に増やしたかと思えば、翌2022年には全体の25%を削減して周囲を驚かせました。またこの削減の前月ごろには、すでに会社の現状、特にCEOがよく口にしていた2000万というアクティブユーザー数に違和感を感じる従業員も出始めています。

Shafi氏はWhatsAppが55人の従業員だけで4億5000万のユーザー数を抱えるまでに成長したことを例に挙げ「このような象徴的で影響力のある企業の一員になることは、オリンピックで金メダルを獲得するか、もっとやりがいのあることだ」と従業員あてのメモで述べていました。

そして「だれもがオリンピック選手になりたいわけではないこともわかっているし、だれもが私たちの進むべき道を支持しているとも限らないが、自分の限界を押し広げ、自らが持てる可能性を知りたい人には、この社風が最適だ」としていました。そしてなぜか、会社には2024年までの運転資金として十分な現金があることを強調していました。

2022年当時の従業員は、その頃のIRLの銀行預金は1億ドル以上だったと述べています。しかし、現在のIRLが資金をどれほど残しているかはわかりません。IRLの広報担当は会社が保有する資本は株主に還元すると述べていますが、ソフトバンクが投じた資本をすべて回収するのは難しいかもしれません。


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《Munenori Taniguchi》
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