カリフォルニア工科大学自律システム技術センター(CAST)およびノースイースタン大学の研究者らが、8つもの動作形態を備え、使用する環境に合わせて変形して目的をこなすロボット「M4」を開発しています。
M4とは「Multi-Modal Mobility Morphobot」を略した呼び名です。このロボットは、4つの車輪兼ローターを駆使し、ドローンのように飛行したり、自動車のように4輪走行したり、ミーアキャットのように立ち上がって障害物の向こうをのぞき込んだり、起立した状態で2つの車輪を前後に動かして歩いたり、しゃがんだり、2つのローターと2つの車輪を使って上り坂を駆け上がったりと様々な動作を行うことができます。
おそらく、最も使用頻度が高くなるのは4輪走行と、ドローン形態での飛行と考えられます。しかし、どこか高さのあるところの様子を搭載するカメラで捉えたい場合は、後輪にあたる2つの車輪を足にして立ち上がり、残りの2つの車輪をローターに変えてロボットを起き上がらせ、起立することができます。またローターは起立した状態で転倒しないようバランスを維持するためにも使用されます。
さらに、M4はホイールアセンブリーのジョイントを駆動することで、歩行動作をすることもできると研究者は説明しています。たとえば災害現場など障害物が散乱している場所、山岳地や河原などの足もとが険しく不安定な場所では、歩行動作にするほうがスムーズに移動することができそうです。ほかにも大地震などで倒壊したビルのなかから生存者を探したり、火星など惑星への着陸探査ミッションで、自律的な探査活動をするのに役立つかもしれません。また身近なところでは、自動宅配ロボットとしての用途も考えられます。
また、M4ロボットは自律的な走行機能を備えており、複雑な地形をどのように乗り越えていくかを自ら考えて行動できるとのこと。これまでにはカリフォルニア工科大学のキャンパス内の地形でその自律機能を試験していると、研究チームは述べています。
こうした多様な動作を実現するために、研究者らは自然界のいろいろな動物から影響を受けたと述べています。たとえば、ウズラの仲間に分類される鳥「イワシャコ」が急勾配を上る時に、翼と脚を上手く使う様子や、アシカが海や陸上で足ヒレで様々な動作をしている様子からヒントを得たとしています。
M4ロボットは現在はプロトタイプの段階で、特に歩行要素はまだ概念実証の段階にあるとのこと。とはいえ開発が進めば、将来M4は車輪式のロボットでは足を踏み入れるのが困難な地形でも、上手に歩けるようになることが想定され、ローターにも車輪にも脚にもなる多目的付属肢を持つロボットの利点を証明しています。
研究チームのリーダーであるAlireza Ramezani氏は「われわれの目的は、幅広く明確な運動モードを備えた驚異的な移動能力を示すシステムを設計することで、ロボットの運動能力の限界を押し広げることだ」とし「M4プロジェクトではこの目的をうまく達成できた」としました。
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