Instagramがリリースした「Threads」アプリは、全世界アクティブユーザー数が10億を超えるInstagramとの親和性の高さもあり、リリースからたったの5日間で1億人超のユーザー数を獲得したのはついこの間のことです。
一方、アップルApp Storeのビジネスアプリ部門の世界第3位にも謎の「Threads」アプリが突然ランクインしてきました。この「Threads」アプリは話題の「Threads」アプリではなく、MetaやInstagramとは無関係な、Slack風コラボレーションツールの「Threads」アプリです。
このSlack風Threadsは、ベンチャーキャピタルのSequoiaから支援を受けて2019年にリリースされたビジネスコラボツール。市場分析会社data.aiによると、App Storeにおける毎月のダウンロード数は微々たるものでしたが、InstagramのThreadsがリリースされるやダウンロード数が跳ね上がり、iOS版は7月6~12日の間に全世界で88万回以上を記録。またAndroid版アプリもInstargamのThreadsリリース以降で100万回以上ダウンロードされています。
特にダウンロード数が多いのはドイツ、スペイン、イタリアといった欧州諸国で、いずれも総合ランキングのトップ10以内。これはInstagramのThreadsが、プライバシーに関する懸念からまだEU圏内でリリースされていないことが関係していそうです。
またこのSlack風Threadsは "threads.com" ドメインを持っていることから、InstagramのThreadsだと信じてウェブサイトを訪れ、そこのリンクからApp Storeに飛んでアプリを導入するユーザーも多い模様です。
InstagramのThreadsは "threads.net" ドメインを使用していますが、".com" に比べるとマイナー感は否めません。Slack風Threadsは、Twitterでこのドメイン名の優位性をからかうツイートを投稿しました。
なお、現在の "threads.com" サイトのトップページには「われわれはInstagramとは無関係です」と記したラベルが掲載されています。
ともあれ、Slack風の方のThreadsの共同創設者兼CEOであるRousseau Kazi氏は、「Threadsはパワフルなワードであり、インターネット発の用語です。様々なプラットフォーム上でThreadsを使うことは、ネットワークや会社とのつながりを維持するための最良の方法です。そのため、Metaがタウンスクエアのような環境を構築するために強力な看板を選んだことは驚きではありません」と述べています。
ちなみに、Threadsの商標はこのSlack風のThreadsが所有しているとしており、今後MetaもしくはInstagramに対して商標の取扱いやライセンスなど、関連する何らかのやりとりが両社間で発生する可能性はありそうです。またRousseau Kazi氏は以前、6年にわたってFacebookのプロダクトマネジメント職に就いていたことがあるのだとか。Kazi氏は、Meta CEOのマーク・ザッカーバーグ氏およびInstagram CEOのアダム・モセリ氏に関して、かつて「ともに働き、学び、最高のメンターとして知り合えた」と述べています。
蛇足ですが、Threadsの(Instagramユーザーへの)爆発的な人気により、各アプリストアには紛らわしい名前のアプリが多数登場している模様。InstagramのThreadsアプリの正式な名称は「Threads, an Instagram app」です。ダウンロードはApp StoreまたはGoogle Playからどうぞ。