ロサンゼルスの一部地域では、昨年からロボット関連のスタートアップ企業数社が、フードデリバリーロボットを使った食品配達をテストしています。
LAに限らず、同様の技術をテストしている街では、歩道を配達先までゆっくりと進んでいくロボットの姿はもはや見慣れた風景になりつつあるかもしれません。
しかし最近、これら食品配達ロボに対して、人々が蹴る、倒すなどの暴行を加えたり、配達中の出前料理を盗み出したりする場面の動画が主にTikTokなどでバイラル化しました。LAの地元メディアKTLA5は、このような人々のためにロボット配達事業を展開する企業が影響を受け始めていると伝えています。
@filmtherobotsla Hollywood’s food delivery robots are under attack, and they’ve decided to fight back. Be careful out there. #robotics #ai #fightback #selfdefense ♬ HOTEL LOBBY (Unc & Phew) - Quavo & Takeoff
食品配達ロボットのサービスを利用しているハリウッドの飲食店Blu Jam Caféのゼネラルマネージャー、スティーブ・アビラ氏も、冒頭に紹介したような配達ロボットへの暴力行為の被害に遭ったことがあり、料理を作り直さなければならなくなったものの「幸いにもその場合は払い戻しがある」と述べています。
一方、Uber Eats向けに食品配達ロボットを多数導入し、運用しているスタートアップ企業のServe Roboticsは、地元の報道機関であるKTLA5に対し、このような問題があることは以前から把握しているものの、実際の配達完了率は99.9%と高い水準を保ち、いまでは200以上のレストランにロボット配送サービスを提供できるようになったと述べており、被害はそれほど深刻なものではないとしています。なおこの会社は今後、ダラス、サンノゼや、カナダのバンクーバーといった都市へも、配達ロボットを導入する計画です。
別の食品配達ロボットメーカーStarship Technologiesは、ロボットは誰かが進路を阻むようであれば、それを迂回して通行するようになっているとしています。それでも邪魔をしてくるようなら、丁寧な言葉使いの音声で道をあけて貰えるようお願いするとのこと。
物珍しさから近寄る多くの人は、こうしたロボットのふるまいによってその場を離れるであろうものの、なおも執拗に邪魔をされたり、ロボットに手をかけるようなことがあれば、自動車の防犯ブザーのように大音量のサイレンを鳴らして相手を追い払うとともに、内蔵する12個のカメラ映像をすべて記録し報告されるようになっているとStarshipは説明しました。
結局のところ、バイラル化したような映像は、全体から見ればほんのわずかで極端な事例を切り取っただけのものと考えるのが正しそうです。ウェスト・ハリウッドで小規模に事業を営む顧客であるクラーク・チルダース氏は、配達ロボットについて「彼らは小さな企業を助けているし、誰にも害を与えていない」とし、動画のような例については「人々はただ注目されたいだけなのだろうと思う」と述べています。