サンフランシスコ消防局、要救護者の死亡はロボタクシーが救急車の道を塞いでいたせいだと批判。一方、Cruiseは反論

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Munenori Taniguchi

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先月、サンフランシスコで発生した救急搬送患者の死亡例に関して、消防局はロボタクシーが道路を塞いでいたせいで、救急車の現場への到着および要救護者の搬出が遅れたのが原因のひとつだと主張しています

これに対して、現地にロボタクシーが居合わせていたGM子会社のCruiseは、自動運転車は走行可能な進路を開けて停車しており、通行を妨げることはなかったと反論しました。

サンフランシスコ消防局の報告書によると、救急車は911番通報により緊急出動したものの、現場周辺でCruiseのロボタクシーが3台停車していたとされています。また、救急車が現地に到着してから、3台のうち2台は現場を離れ去ったものの、1台は停車したままだったことが、周辺の監視カメラ映像とCruise車両に残された映像データから確認されました。

Cruiseの広報担当者は、「停止している(Cruiseの)自動運転車は右側にスペースを空けており、車両の通行は妨げられることがなかった」ため、「自動運転車の後方に停車して要救護者を乗せた救急車も、そこを通過することが可能だった」と主張しました。しかし、映像データに関しては、機密資料であるとして公開を拒否したと伝えられています。

一方、NBC Bay Areaは、独自にCruiseのものとされる13分間の映像を確認し、その内容の大半がCruiseの主張通りのものであったと伝えています。そして、その映像では、要救護者がストレッチャーに乗せられ、救急車が現場を離れるまでに約90秒かかったことを示していたとしています。この映像では、救急車が出発する前に消防車が移動して左側に通行スペースを空けたため、そこを救急車が通過しようとしたものの、Cruise車両が通行を阻む格好になった様子を示していたとのことです。

これ以前から、サンフランシスコではCruiseだけでなくWaymoも含めて、ロボタクシーが複数台で道路上に停止して交通を妨げたり、消防車や救急車といった緊急車両が路上に停止しているのを認識できずに衝突したりする問題が多数報告されています。サンフランシスコ車両管理局(DMV)が公開している資料には、WaymoとCruiseは、2022年1月1日以降で、103件および68件の衝突事故が記録されているとのことです。


サンフランシスコ監査役会会長を務めるアーロン・ペスキン議員は、サンフランシスコが認可したロボタクシーの運行拡大に批判的な立場を取っており、今回の事例の前に、救急車に影響がおよんだ自動運転車の問題は、文書として報告されただけでも70例以上あると述べています。

今回の事例は、カリフォルニア公益事業委員会がCruiseとWaymoの両社に、サンフランシスコでの自動運転車の24時間営業運行を認可してから、わずか4日後に発生しました。また、Cruiseはこの件と同時期に、乗客を乗せた走行中に緊急車両に衝突、乗客が負傷する事故を起こしており、サンフランシスコ市当局はCruiseに対して公道上に展開しているロボタクシーの台数を削減するよう求めました。

《Munenori Taniguchi》

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