GM傘下の自動運転車メーカーCruiseが、2021年11月よりサンフランシスコで実施している完全自動運転のテストで述べ100万マイル(約160万km)を走破したと発表しました。
Cruiseによれば、これは安全のために運転席に搭乗しているドライバーが運転に関与しない状態で走行した距離であり、ほとんどがサンフランシスコ市内での走行によるもの。
Cruiseはカリフォルニア州の認可を受けて有料でのロボットタクシー事業を運営中しています。2022年初頭の段階ではわずか30台程度で開始したそのロボタクシー事業も、2022年9月には100台規模にまで拡大しており、将来的にはさらに5000台以上のロボットタクシーを投入していく計画とのこと。
Cruiseの技術部門SVP、Mo Elshenawy氏はリリース文で「記録したほぼすべてのマイルに、Cruise を急速に拡大させるための複雑なシナリオが詰まっている」と説明しています。
数か月前にCruiseがYouTubeに公開したロボットカーの車載カメラ映像のコラージュは、サンフランシスコの地の道路事情がいかにバラエティに富んでいるか、ストレートに言えばカオス状態かをよく表しています。たしかにこのような環境で揉まれれば、自動運転AIも相当鍛えられそうです。
たとえば「サンフランシスコでは郊外に比べ、一時停止標識を完全に停止しないクルマが46倍も多い」など、さまざまな道路環境が技術向上に有用なデータの大量収集に役立ったとも述べています。
Cruiseは走行する各ロボットカーから吸い上げたデータを、路上で発生するあらゆるシナリオとして継続的にコンピューターに学習させています。そのため、Cruiseのロボットカーはシミュレーションで学習しそれを実環境に応用できるとのことです。
Cruiseの自動運転車といえば、2022年6月にはなぜかある地点に10台ほどが集合して道路を占拠してしまい、交通の妨げになる現象も話題になったりしました。
このような現象はGoogleの自動運転開発企業Waymoが走らせるテストカーでも起こっており、サンフランシスコの行政当局は、今後大規模にこのようなことが発生すれば緊急時対応のためのリソースが足りない事態に陥りかねないとして1か月ほど前、カリフォルニア州の規制当局に書簡を送り、CruiseおよびWaymoにテスト規模拡大を急ぐことがないよう求めています。
それでも、Elshenawy氏は「私たちの安全実績を思えば、このチームの偉業がより鮮明に見えてきます」「今後数年間で、何百万人もの人々がこの完全自動運転の未来を、自身で体験することになるでしょう」と自信満々です。